イーゴリ・ルサク/ロシア通信
サンクトペテルブルク国立情報技術・機械・光学研究大学(NIU ITMO)のキャンパスにあった、アイフォン4の形をしたジョブズ追悼碑が今月3日、撤去された。所有者は「西欧金融組合」(ZEFS)社。当初はアイフォン碑の廃棄を発表していたが、その後インターネットの投票に判断をゆだねることにした。現時点で再建立を希望する票がトップになっている(54%)。
ロシア最大のSNS「フコンタクチェ」はこの件に関心を持ち、修正費の負担と自社オフィスへの移築を提案している。NIU ITMOのウラジーミル・ワシリエフ学長も、大学が自費でアイフォン碑の修正を行い、元の場所に設置すると発表した。
建立したものの
サンクトペテルブルクに高さ188cm(ジョブズの身長と同じ)のアイフォン碑が建立されたのは2013年1月。ロシアでは初、世界ではハンガリー、ウクライナに続いて3番目のジョブズ碑。建立には数百万ルーブルかかっているが、正確な数字は明らかにされていない。
「最初は天才スティーブ・ジョブズに関する美しい伝説を間に受けていたし、他の情報技術(IT)業界の多くの人と同様、アップル社が信奉していたアメリカのITモデル、アプローチの路線をたどった。だからサンクトペテルブルクが世界的な情報連携に加わる用意があることを示すつもりで、アイフォン碑を建てることを決めた」
だがZEFSの幻想は、アメリカの中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデンの暴露によって、打ち砕かれた。「アップル社の製品は、アメリカの情報機関が世界中のユーザーを完全に操り、監視するための道具。アメリカとのサイバー戦争は誰よりもロシア市民にとって大きな打撃となる」とドルゴポロフ取締役会長は確信を持って話す。
その後アップル社のティム・クック最高経営責任者が自身の性的指向を公表したことが、決定打となった。ドルゴポロフ取締役会長の性的少数派の問題に対する立場は非常に保守的である。「いかなる状況でも罪を普通にしてはいけない。寛容さとは社会の免疫をマヒさせる毒」
モチベーションを高めてくれる
NIU ITMOの関係者はアップル社の製品を積極的に使っている。NIU ITMO学生自治会のアレクサンドル・ゴロワトゥイ会長は、アイフォン碑が学内で愛されていたと話す。「業界のこれほどのリーダーの話は学生や大学職員のモチベーションを高める。自分のプロジェクトが最近、全然利益をもたらしていない、まったくダメだと落ち込んでいる時に、ジョブズ追悼碑を目にしたら、前進、成長しなきゃって思える」
NIU ITMOにとってアイフォンとは、アップル社の製品ではなく、伝説的な人物の記念品であると、関係者は強調している。
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