占星術の人気高まる

Getty Images/Fotobank 撮影

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ロシアには今、たくさんの占星術学校がある。通っているのは一般市民。学校で教えられているのは占星術、天文学、心理学、医学など。星占いを信じる人、占星術師、占星術を教える人に話を聞いた。

 ロシア人は占星術に関心を持っている。新しい知り合いの人物像の確認を目的としていることが多く、あとは抱えている問題の答えの模索や、人生で起こっている事象への理解などがある。 

興味ある異性との相性は占星術で

 アンナさんは占星術師のサービスを受けたことはないが、人の特徴について書いてある占星術をいつも読んでいる。「十二宮や東洋占星術の特徴を合わせた占星術が好き。手当たりしだいに誰でも調べるわけじゃなくて、男の人と知り合いになったら、星で照合する。正しい選択ができるみたい」

 マリーナさんは「出生占星図」で何度か占った経験を持つ。これを問題回避の手軽な手段だと考えている。「人生で同じ事象にばかり遭遇していて、その説明がつかなかったから、占星術師に相談しに行ったの。活動の種類を変えるべきだと言われて、その通りにしたら、すごく楽になった」。言われたことをしっかりと守っていれば、人生を台無しにするようなたくさんの嫌なことを回避できるという。「誕生日をもとに、何を食べるべきか、何色の服を着るべきか、どの街に住むべきかがわかる。占星図で調べるということと、それを守って何かを変えることは違う。私の娘が結婚を考えているのだけど、婚約者と嫌な目にばかりあってうまくいってない。占星術師に聞いたら、結婚を2月にすべきだって」 

さまざまな悩みを抱えて占星術師のもとへ

 この分野の専門家によると、占星術では計算が行われるため、心理学者よりも占星術師の方が信頼されやすいという。現代人には、いかなる理論よりも数字が身近なのだ。

 エヴゲニヤさんは10年以上占星術を行っており、週に23人が相談に来る。「例えば、あるコーチングの先生が、私のところに自己認識のために人を送ってくる。個人的な問題を抱えた人も来る。ある時、役職についている女性が私のところに来て、自分が女性であるがゆえに昇進できないとの悩みを打ち明けてきたので、活動に適した時期を計算した」。どこでうまくいき、どこでうまくいかないかなど、相性占いをするカップルも多い。

 エヴゲニヤさん自身は電気技師で、個人的な問題を解決しようとしたことが、占星術を始めるきっかけだったという。「初めは社会人格学を使ったのだけど、答えが足りなかった。唯一答えを与えてくれたのが中国占星術。とても現実的でわかりやすかった。このような占星術をインドみたいに出生時に使えば、新生児の素質がわかるから、何を期待できるのか、何が苦手なのかをはあくできる」 

占星術学校も人気

 ロシアでは疑似科学というレッテルが消えた1990年代初めから占星術が活発になったと、科学占星術学校のセルゲイ・ベズボロドフ校長は話す。「スラヴ文化では星への畏怖の念があるため、ロシア人の関心はとても高い。20年生徒を受け入れているが、ここ5年では年間400人にもなっている。以前は空想的なものととらえられていたが、現在は多くの人にとってなじみのある分野になっている。占星術に悪いイメージはない」

 ベズボロドフ校長が占星術を知ったのは、医学生だった時。「先輩にこの科学について教えてもらった。人の医学的解釈の一部として占星術を使っていた」

 「現在の生徒は、占星図を作成するために、占星術、心理学、医学の基礎を学んでいる。週2回授業を受け、2年後に卒業する。これは古典的な西洋の占星術の基礎講座で、この他に古代中国、古代インド、マヤ、ケルト、ドルイドの占星術などを学ぶ。現代占星術は複雑な計算を要するため、コンピュータの知識が必須。独自の計算プログラムを15種開発した」とベズボロドフ校長。

 ベズボロドフ校長自身も新聞用に何度も占星図を作成し、またテレビにも出演しているが、正確な占星図は個人用につくられたものに限ると話す。「正確なデータのために、出生日時、出生場所などを組み込む必要がある。我々は超能力者ではなく、これは精密科学」 

ジリノフスキーも星占いが好き

 高官もよく占星術を使っているが、それを隠そうとするという。「多くの人が個人向け占星図を持っている。下院(国家会議)には占星術支持派が2人いる。ゲンナジー・ジュガーノフ共産党党首と、ウラジーミル・ジリノフスキー・ロシア自由民主党党首。2人は占星術の大ファンで、占星術師を超能力者や信仰治療師などと一緒にすることを許さない」とベズボロドフ校長。

 外国では活動のライセンスを得る試験はあるが、学校については聞いたことがないという。

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