アンケートで「最も民主的な政治家はプーチンとブレジネフ」

タス通信

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ロシアの調査機関「世論基金」は、ロシア国民が民主主義をどう解しているかを物語る調査結果を公表した。データによれば、大多数の国民にとって、ロシアに民主主義があることは重要だが、回答者の三分の一は、民主主義とは何かと訊かれて返答に窮した。専門家らは、こうした状況は教育システムの不備に起因するものと考えている。

 ロシア国民は、民主主義とは何かを答えられなかったが、国内におけるプロセスはまさに民主的なものと呼べると考えている。国民のそうした回答は、学校のプログラムの不備を物語っている。社会学博士でセンター「クルィシタノーフスカヤのラボラトリー」の代表であるオリガ・クルィシタノーフスカヤ氏は、こう語る。「実際には民主主義の定義は簡単で、それは、ユネスコによって定められており、公正な選挙、言論の自由、国家の活動の管理といった八つの項目から成っています。問題は、学校のプログラムに在ります。すべての子供が民主主義とは何かを学んでから卒業することが必要です。そうすれば、それがこの国にあるかどうか判断できるわけですから」 

自由から混沌への移行 

 情報量の不足にもかかわらず、「世論基金」の調査の回答者の三分の一は、ロシアには今日「必要なだけの」民主主義はある、とみなしているが、別の三分の一は、またしても返答に窮した。オリガ・クルィシタノーフスカヤ氏は、教育システムの不備のためばかりでなく、社会の意識に対する拙劣なプロパガンダによっても、民主主義とは単なる自由の同義語なのだという空説が生まれたとし、こう述べる。「自由が多ければ民主主義があり、自由が少なければ民主主義はない、というわけで、ロシアの最近の歴史の最も劇的な時期の一つであるエリツィン時代が最も民主的な時代とみなされているのです。自由は混沌へ移行し、それは、多くの人を民主主義から逸脱させました。人々は、弱い国家を目にして、自分たちには無秩序は要らないと判断したのでした」

インフォグラフィック提供:ナタリア・ミハイレンコ

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 「世論基金」のデータによれば、ロシア国民の大半は、民主主義を「公開性、言論と思想の自由」あるいは「人権の遵守」と解しており、民主主義は「国の統治への国民の参加」であるとみなしている人は、12%にすぎない。

 「世論基金」のアナリストであるイリーナ・オシポワ氏は、ロシア国民の大部分が、民主主義を主権在民や国の統治への社会の参加といった基本的定義ではなく、その価値で理解している点を指摘したうえで、こう述べた。「私は、それが問題の本質の無理解を物語っているとは思いません。単に、回答者には、自分の意見を述べるほうが簡単であり、学校の定義よりも民主主義の発露のほうが大事なのです。また、多くの人が返答に窮しているのは、社会学が学校にお目見えしてからまだごく日が浅いためです」

 全ロシア世論調査センターが2007年に公表したデータと比較すると、民主主義を言論や出版や信仰の自由(当時は55%だった)および国の経済的繁栄(44%)と解釈する人はかなり減り、2010年、同センターの調査の回答者は、民主主義を厳格な法秩序(21%)および権力の選択性(18%)と定義した。また、当時、ロシア国民の11%が民主主義を「空しい法螺話」と呼んでいたが、現在、民主主義をきわめて否定的に捉える人は2%にすぎない。 

それはいつ在ったのか 

 この国に民主主義が顕著だったのはどんな時代かとの基金「世論」の質問に対し、ロシア国民の37%はやはり返答に窮した。オリガ・クルィシタノーフスカヤ氏は、それは国民に定見がなく、回答者が最も民主的な時期を本能的に見定めようとしているためと見ており、こう語る。「人々は、民主主義を、何か好いもの、何か目指すべきもの、ときには、何か西側から来たもの、と理解しているのです」

 ロシア国民の三分の一は、ウラジーミル・プーチン氏の時代が国にいちばんたくさん民主主義があった、と考えており、12%は、大統領の最初の二つの任期(2000~2008年)を、27%は、現在の三番目の任期を、最も民主的な時代とみている。最も民主的な政治家としてプーチン氏に続くのは、ソ連の指導者レオニード・ブレジネフ氏。クルィシタノーフスカヤ氏は、こう述べる。「もちろん、プーチン氏に反対する人たちは、国家がより民主的になったとは思っていませんが、個人的な好き嫌いを離れるならば、市場の制度も民主的な価値も現実的な発展を遂げ、選挙もより透明なものになった、と言えましょう」

 同氏は、権力やすべての段階における選挙に対する社会の管理が現れて、市民社会が活性化して、人権擁護団体が増えた点を指摘し、こう述べた。「人々は、国家が何をしているかを知りたがり、その一挙手一投足を管理したがっているのです」

 イリーナ・オシポワ氏は、市民活動の興隆もしくは衰退について語るべきではないとし、こう述べる。「とくに動きはなく、それは、これまでもかなり低かったし、今もそうありつづけています」。ロシア国民の3%しか国の政治活動に積極的な参加をしていないという「レヴァダ・センター」の調査データも、このことを裏づけている。

 モスクワ国際関係大学教授で歴史学博士のワレリー・ソロヴェイ氏は、ウラジーミル・プーチン氏を最も民主的なロシアのリーダーと呼んだ回答者らは、人気と民主性という二つの概念を混同しているとして、こう述べた。「たしかに、プーチン氏は、ソ連崩壊後の歴史において最も人気のあるリーダーですが、どうみても彼が民主的な政治家であると言うことはできません」

 しかし同氏は、プーチン氏が大統領選挙で公正に勝利した点を指摘し、こう述べた。「彼には狡いことをする必要はなく、氏の優位は歴然としていました。こうしたことから、プーチン氏は民主的な政治家であるとみなされているのでしょう。彼は公正に勝利したのであり、西側の専門家らもこのことを指摘しています」。

 オシポワ氏によれば、政治家らが現在どれほど盛んに自分の目的のために民主主義の様々な解釈を利用しているかを判断することはかなり難しく、これについては実施された調査において何も語られなかった、という。

 

*以下の資料を参照

ホォム・ル

全ロシア世論調査センターのアンケート

レヴァダ・センターのアンケート