モスクワに迫る煙霧被害

タス通信

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少雪の冬、乾燥した暑い春と夏により、今年は1月から森林火災が始まった。現在燃えているのはトヴェリ州。原因である泥炭発火、現在の状況についてロシアNOWが特集する。

 連邦林業庁のデータによると、ロシアの森林火災領域は8月4日の時点で82万ヘクタール。

 国際環境保護団体「グリーンピース」森林プログラムの調整担当、アレクセイ・ヤロシェンコ氏はロシアNOWの取材に対し、実際の火災領域は公表されている領域の2倍以上、少なくとも200万ヘクタールだと話した。

 森林火災の観点から、現在もっとも困難な状況にあるのは、サハ共和国。次にイルクーツク州とクラスノヤルスク地方の一部地域。濃い煙霧をもたらしている泥炭火災は、トヴェリ州の4地区で発生している。状況が悪化すれば、モスクワにも煙霧被害が及ぶ可能性がある。

 ヤロシェンコ氏によると、トヴェリ州には「秋までの消火が難しい火災領域が2~3ヶ所」あるという。

 それでも公式の統計、および非公式の統計から、今年の火災は2010年のレベルには達していないようだ。グリーンピースによると、2010年の火災領域は500万ヘクタール。正式なデータはその2分の1。農業が深刻な影響を受け、穀物輸出は停止された。泥炭火災と煙霧により、ロシア西部では心臓血管疾患による死亡者数が急増した。

 

国内の泥炭

 ロシアの泥炭沼の総面積は56万8000平方キロメートル。主に北西部、西シベリア、カムチャツカに集中している。

 泥炭は高い湿度と困難な空気通流の条件のもと、沼沢植物が完全に分解されずにできる可燃有用鉱物。泥炭の主な生態学的機能は炭素の堆積。また、水の自然フィルターでもあり、不純物や重金属を吸収する。

 エネルギーの燃料として、また化学産業の原料として使われてきた。ロシアでは1913年、世界初の泥炭発電所が建設された。

 泥炭の開発が活発に行われていたのはソ連時代。1975年には9000万トンが採掘され、世界第1位となった。2位と3位のフィンランドおよびカナダでは、100万トンしか採掘されていない。

 採掘されるようになってから、植物の肥料として、また家畜や家禽のリターとして広く使われていた。だがガス産業の発展とともに、泥炭を使うことが得策ではなくなった。

 

衰退分野

 泥炭の採掘が減ると、泥炭開発地の多くが放棄されるようになった。正確な放棄地の領域は不明だが、数十万ヘクタールほどになるようだ。

 泥炭は気温50~60度、湿度40%以下で自然発火する。泥炭地の腐朽はどの季節でも、いかなる難燃条件でも起こり得る。

 2002年に発生した泥炭火災が完全に消えたのは、春の河川の増水期。雪の下でも燃え続けた。

 

最近の被害

 泥炭火災の深刻な影響のひとつは煙霧。モスクワでは2002年と2010年、煙霧被害で視界が50~300メートルまで狭まった。2010年夏は観測史上もっとも暑く、3ヶ月間で22回最高気温を更新。高温には異常乾燥が伴った。モスクワでは1ヶ月間、日中の最高気温が30度を下回らなかった。7月は平年の降水量が90mmなのに対し、13mmにとどまった。

 2010年の火災で、ロシアでは60人が死亡し、約2500棟の建物が燃えた。損害を被ったのは134市町村。うち消滅したのは8市町村。

 2010年以降、干上がった泥炭沼に水を入れる作業が行われている。これは泥炭火災防止の効果的な手段のひとつ。

 「理想的な方法は、沼地の生態系を取り戻すこと。ロシアでは違う方法が採用され、沼の代わりに水たまりをつくる水工学設備や、水路が建設された。これは土壌水を増やすだけで、沼沢植物を復活させる条件をつくるわけではないので、泥炭の表面には依然として火災危険性があり、必ずしも効果的とは言えない」とヤロシェンコ氏は述べた。