モスクワ地下鉄の安全性やいかに

タス通信

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モスクワ地下鉄の脱線事故の死者は22人に達した。医療関係者がこれを伝えた。事故が発生したのは数十万人が移動する朝の通勤時間帯。専門家や市民はモスクワ地下鉄の不完全性と、ここ数年の事故の急増を指摘している。一方で、モスクワ地下鉄の幹部は、ここ10年の遅延件数が2分の1に減ったと言っている。

 ロシア通信によると、今年だけでモスクワ地下鉄では複数の大型事故が起きている。その中でもっとも大きかった事故は3月21日、アルバート・ポクロフ線のショルコヴォ駅とパルチザン駅の間が浸水したことによって発生。救助隊は約600人を救出したが、「モスクワ水路」会社の職員1人が死亡した。この事故の原因は地上で行われていた工事。この時に水道管が破損した。

 昨年6月5日にも大型事故が発生している。レーニン図書館駅とオホートヌイ・リャード駅(野禽市場駅の意味で、赤の広場に隣接する)の区間で電力ケーブルが焼け、煙が充満。4500人の乗客が避難し、50人以上が負傷した。運行再開には時間がかかり、首都の交通は混乱した。

 

市民は事故原因を知っているか

 モスクワ地下鉄のイワン・ベセディン社長によると、ここ13年で地下鉄の「乱調」件数が2分の1以下になったという。乱調とは、列車遅延を引き起こすあらゆる事象のことであり、技術的な不調が発生した場合も、人が線路に転落した場合も該当する。列車の車内で所有者不明の不審物が発見された場合もそうだ。不審物が危険なものであるかは判断できないため、任務部隊を呼ばなければならない。そして15日のような非常事態が発生した場合である。

 ベセディン社長はこう話す。「モスクワ地下鉄の乱調件数は2000年で4928件、2013年で2064件。また情報伝達の速度も勢いよく増しているし、何かが起こればすぐに公になることを実感している。このような状況で我々に求められているのは、より迅速な対応」

 モスクワ地下鉄の総延長は900キロメートル強。ここ数年で数十件の大型事故が発生している。元モスクワ市議会議員で、政党「ヤブロコ」の代表を務めるセルゲイ・ミトロヒン氏は、地下鉄の管理者の専門的技量、システムの透明性を問う必要があると話している。

 「これは首都の地下鉄で起こった初めての事故というわけではない。具体的な原因を誰も教えてくれない。ここ数年は技術的な不調ばかりで、全体としてかなりの件数になる…事故原因はもっと深いところにある。安全システムに関わっている人の問題かもしれない」

 市民はこれまでの事故の原因に関する詳細な情報を役人から聞いておらず、不透明なシステムに頼るばかりだ。

 

振動を感じた?

 モスクワ地下鉄アルバート・ポクロフ線の勝利公園駅とスラヴ通り駅の区間で列車が脱線し、22人が死亡した。

 モスクワ市民がこの2駅の区間の異常を指摘していたことは、特筆すべき点である。市民活動家のセルゲイ・モロストフ氏は交流サイト(SNS)「フェイスブック」の自身のページに、以前モスクワ市役所地下鉄課に正式な手紙を送付したと書いている。手紙では、アルバート・ポクロフ線キエフ駅-勝利公園駅-スラヴ通り駅の区間で、車両の振動があることを指摘したという。モスクワ市役所の回答は、「線路は技術規定および許容範囲に準拠しながら維持されており、接合部の逸脱は発見されず、接合部の隙間の寸法は技術規定に準拠している」だった。