ウクライナに戻る難民1日4千人弱

マクシム・ブリノフ撮影/ロシア通信

マクシム・ブリノフ撮影/ロシア通信

ウクライナと国境を接するロシア南部のロストフ州で、ウクライナ難民が急増しているとの非常事態宣言が発令されてから、すでに数週間が経過している。州には依然として、1日1万人から1万5000人のウクライナ人が避難してきている。一方で、1日3000人から4000人がウクライナに帰国しているという、出入国管理局の情報もある。戦闘状態が続くウクライナ東部に帰る人に話を聞いた。

難民は急増する一方だが帰国者も

 ロシアからウクライナに戻る人の数は、ロシアに避難する人の数より圧倒的に少ないが、それでも存在する。

ロストフ州のウクライナ難民

 現時点でロストフ州にとどまっているウクライナ人の数は1万5802人。うち子どもは6166人。ウクライナ人はロストフ州に入った後、ロシアの他の地域に移動したり、親戚や知り合いを頼ったりしている。

  ロシア連邦政府からウクライナ市民受け入れのための財政支援を受け取っているのは、ロストフ州のみ。メドヴェージェフ首相は26日、2億4000万ルーブル(約7億2000万円)を配分した。難民受け入れにかかる費用は1日550ルーブル(約1650円)で、うち250ルーブル(約700円)が食費だという。

 ロシア方面の道には、すし詰めのバス、乗用車、歩行者の集団がずらりと続いているが、反対方面の道で見るのはウクライナのナンバーをつけた交通機関のみ。このようなバスの中は、乗客がまばらだ。

 ウクライナ復路のバスの運転手の一人はこう話す。「(ウクライナの)ルハンシク州からすでに200人の子どもと女性を避難させた。もう3度目の出国。乗りたいと希望する人全員を乗せることができなかった。バス数台分の行列がある。国境付近では銃撃があるから危険だけど、出国の手伝いは続けないと。残るのはもっと危ないからね。難民の出国のため、毎回違うルートを考える。どう行くかは公表しない。乗客は大抵人づてに聞いて集まってくる」 

 

「糖尿病の父がウクライナに残っている」 

 乗客の女性の一人が会話に加わってくる。「私には2人の息子がいるの。10歳と7歳。隣人が2人を見守ってくれる。2人は子ども向けの難民キャンプに入った。心配じゃないかって?それは心配よ!だけど家に残るのは危険なの。下の息子は不眠になってしまった。子どもにとってどれほどの精神的なトラウマになると思う?大人でも誰もが耐えられるわけではないというのに。人の死、葬儀ばかりで...とても慣れることなんてできない」

 Tシャツ、ジーンズという姿のショートヘアの女性は、大きなカバンを肩にかけて、携帯電話を手にいらだっている。ロシア系だ。「私の父がウクライナに残ったんだけど、連絡が取れなくなってしまったの。糖尿病でインスリンを使用してて、薬の残りはわずか。生きるために1日数回注射しなきゃいけない。家を空けたら泥棒が入ったり、壊されたりするからって、あとうちにはニワトリ、ガチョウ、ウシもいるから、避難しようとしないの。なんとか説得するつもり。避難しないと」

 

子どもの犠牲者

 最近の正式な情報と言えば、ウクライナ最高会議保健委員会のタチヤナ・バフテエワ会長が公表した6月23日のもの。ずいぶん時間が経過している。ウクライナ東部の軍事衝突により、40人以上の子どもが爆弾や銃弾の犠牲になって死亡した。最後の犠牲者は生後10ヶ月の男の子。児童公園方向に放たれた、てき弾銃の銃弾が当たり、死亡した。

 国境付近で、国境管理を行っているウクライナ南東部の義勇軍と、ウクライナ常備軍またはウクライナ国家親衛隊の間で武力衝突があっても、ウクライナの出入国者の流れは止まらない。ロシアは一般市民を受け入れ、可能な限りの支援を行おうとしている。