ヴォルゴグラードで連続爆破テロ

ヴォルゴグラード市で、30日朝のラッシュアワー時、ベッドタウンから市中心部に向うトロリーバスが爆破され、現時点で14人が死亡、28人が負傷して入院した=ロイター通信撮影

ヴォルゴグラード市で、30日朝のラッシュアワー時、ベッドタウンから市中心部に向うトロリーバスが爆破され、現時点で14人が死亡、28人が負傷して入院した=ロイター通信撮影

ロシア南部のヴォルゴグラード市で、昨日29日の鉄道駅での自爆テロに続き、30日朝のラッシュアワー時、ベッドタウンから市中心部に向うトロリーバスが爆破され、現時点で14人が死亡、28人が負傷して入院した。負傷者のなかには、生後半年の乳児も含まれており、重態だという。駅での自爆テロでは、17人が死亡、40人以上が負傷している。

30日朝、ラッシュ時の満員のトロリーバスで

 新たなテロは、月曜日の朝、ベッドタウンから市中心部に向う、満員のトロリーバスで起きた。車体は原型をとどめぬまでに破壊され、隣家の窓ガラスも爆風で割れた。死亡者は現時点で15名に達している。負傷者数は、保健省の調べによると28名。負傷者のなかには、生後半年の乳児も含まれており、重態だという。

 テロの手口については、当初は、車内に爆発物を置き、遠隔操作で爆破したと伝えられたが、その後、露捜査委員会は、前日と同じく男性による自爆テロとの見方に傾いている。

 「私は家を出たところで、爆発の轟音と悲鳴を聞きました。それから現場を目にしたのですが、初めはそれがトロリーバスとは分かりませんでした。それほど車体の外側が吹き飛ばされて中が剥き出しになっていたのです。何もかも吹き飛ばされて、ガラスも外壁も残っていませんでした」。ヴォルゴグラードに住む女性は、ロシア通信に対してこう語った。

 

29日にヴォルゴグラード駅で自爆テロ

 前日、30日に鉄道のヴォルゴグラード駅で起きた爆破テロでは、捜査当局の調べでは、17人が死亡、40人超が負傷している。爆発物の威力はTNT火薬換算で10キロ以下と推定される。

 「爆発があまりに大きかったので、私たちが住んでいる建物全体がぐらぐら揺れました。私たちの建物が爆破されたと思ったほどです」。駅の向かいの商店で働く店員はこう述べた。「駅の正面入口の階段には、人々が横たわっていました。上に彫像がある、2階正面の窓からは煙が噴き出していました」

 駅では、複数の目撃者の証言によると、1人の女性が他の駅の利用者と同じく、駅の入り口に設置されているX線機器にカバンを置き、自身は金属探知器を通過したときに、爆発が起こった。

 当初は、女性による自爆テロと報じられ、複数の筋が、この女性はロシア南部のダゲスタン出身であるとの推測を伝えたが、後に、捜査員会は、男性の自爆テロの可能性があると、報道を修正した。また、現場検証の結果、作動しなかったF1手榴弾が見つかったという。

 

最近2ヵ月間で3回の爆破テロ

 ヴォルゴグラード市は、ロシア南部の 都市で、チェチェン共和国などの紛争地域からは比較的遠く、来年2月に冬季五輪が開催されるソチ市からは700キロメートル近く離れている。ところが、この1昼夜の2度の爆破テロにくわえ、10月21日にも 同市でテロが発生したばかりで、2ヶ月間に3度の大規模なテロが起きたことになる(10月には、ダゲスタン出身の女性がバスで自爆テロを起こし、7人が死亡、37人が負傷している)。

 セルゲイ・ゴンチャロフ氏は、ロシア連邦保安庁の特殊部隊「アルファ」の元隊員からなる連盟の会長で、「ロシア治安対策連盟」の会長も務めているが、ロシアNOWに対してこう語った。最近、ヴォルゴグラード市では、いくつかの政治家グループの間で対立が激化し、治安対策がおろそかになっていたとの噂がある。「そのほか、10月の最初のテロの後で、治安機関は、テロの組織者をすべて殺害したと報告しているので、今回の新たなテロは、これに対する報復であり、同時に、彼らがまだこのような作戦を遂行できるというデモンストレーションとも見える」

 またゴンチャロフ氏は、今回の2度のテロは、ソチ冬季五輪とは結びつけにくいと付け加えた。その理由は、五輪までまだ1ヶ月以上あるからだが、いずれにせよ、こうした事件が国のイメージにマイナスになることは明らかだという。

 

内政、ソチ五輪への影響は

 一方、ラジオ局「ロシアの声」の政治評論家ドミトリー・バビチ氏は、五輪とは直接関係ないと確信しているという。「もし、五輪と関係があるなら、1月か2月にテロを起こしたほうが意味が大きい」

またバビチ氏は、今回のテロは、ロシアの内政に影響しないと考えている。「ロシアの内政と社会の特性のせいで、テロは、西側で起きた場合のような影響力をもたない。100人殺されようが、200人殺されようが、北カフカスやテロリストに対する政策は変わらない。プーチン大統領は、モスクワでの劇場占拠事件や、北オセチア共和国のベスランでのような恐るべきテロが生じても、政策を変えない。これは、イスラエルの政策と共通しており、正しいと思う。もし、一度でも譲歩すれば、次々にテロが起きるだろう。だいたいテロを起こすこと自体、そんなに難しくないのだから。シャミール・バサエフがブジョンノフスク病院占拠事件を起した後、チェチェンでの軍事行動を控えたら、たちまちテロが頻発した」バビチ氏は、ソチ市では厳重な安全システムが構築されていることも付け加えた。「ソチではテロは起きないと確信している。十分厳重な安全システムが構築済みなので、あえてテロを起こすのは過激主義者にとって高くつく」。

 最後にバビチ氏はこう結んだ。「スポーツ選手は勇敢な人達で、最も安全とは言えないような地域にも遠征に行く。例えば、サラエボ冬季五輪は、かなり緊迫した状況の下で開催された」