ロシア通信撮影
調査資料によれば、同機は、離着陸滑走路と地上走行路の間にほぼ垂直に落下し、燃料タンクの爆発により炎上し、翌朝ようやく完全に消火された。ロシア連邦調査委員会・沿ヴォルガ運輸調査局のアレクサンドル・ポルチニン長官によれば、未明にも再び炎上がみられた。
ロシア通信によれば、ポルチニン氏は、乗員が何らかの原因で再着陸を試みようとしていたため、一回で同機を着陸させられなかった原因を明らかにする必要がある点を指摘し、パイロットが着陸に際してトラブルを報告していたのか、との問いに対しては、着陸前に航空機と地上管制官の交信があった、と答えるにとどまった。
それより先に、同機を担当していた管制官らに対してすでに尋問が行われた、と報じられた。テレビ局「ロシア24」の番組で、管制官のキリル・コルニシン氏は、パイロットの一人が再着陸を試みようとしていることを告げた、とし、こう語った。「そのパイロットが、機体は着陸できる態勢にない、と言うので、私は、着陸の標準値を伝え、向こうも了解しましたが、文字通り数秒後に事故が起きました」。
ロシア連邦調査委員会・沿ヴォルガ運輸調査局のポルチニン長官によれば、同機が飛び立ったモスクワの空港では、調査員らによってすでに燃料や潤滑油などのサンプルが採取され、タタルスタン航空では、航空機の技術的状態やパイロットの飛行準備に関するすべての書類が押収された。
乗客全員の遺体が発見されたが、死亡者には、イギリス人のドンナ・キャロライン・ブルさん(1960年生れ)とウクライナ人のマルガリータ・オシュルコワさん(1958年生れ)の二人の外国人が含まれていた。
また、同機には、タタルスタン共和国で著名な人物が搭乗しており、死亡者リストには、タタルスタン共和国のイレク・ミニハノフ大統領の子息や連邦保安局・タタルスタン共和国管理局のアレクサンドル・アントーノフ長官の名もあった。
ブラックボックスは、墜落後にできた漏斗状の穴から翌朝になってようやく回収された。今のところ解析されておらず、専門家らは、事故原因をかなり慎重に推測している。
非常事態処理本部の消息筋がインターファクス通信に語ったところでは、翼の作動に問題があった可能性も除外できず、再着陸を試みようとした際にエンジンの牽引力が不足していたことも考えられる。しかし、国家会議・運輸委員会のミハイル・ブリャチャク第一副議長は、航空機に技術的欠陥があった可能性は極めて小さいとみなしている。
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国家会議・運輸委員会のアレクサンドル・スタロヴォイトフ副議長は、着陸を行う技能がパイロットに不足していた、と述べ、ロシア科学アカデミー・運輸問題研究所のオレグ・ベールイ所長も、同意見であり、ロシアの航空会社が、騒音規制がネックとなって国外では運行できなくなった国産機を、近年、使用しなくなった点を指摘し、こう述べる。「ロシアでは、国産機を使用しなくなっても、パイロットの養成には従来の国産のトレーニング装置が用いられています。航空会社は、自社で専門家を育成しようとはせず、即戦力の専門家を採用していますが、彼らが身につけているのは、ボーイングではなくロシア製のTU(トゥポレフ)の操縦法なのです」。
ロシア運輸監督庁・社会評議会・民間航空委員会の議長で功労パイロットであるオレグ・スミルノフ氏も、ボーイング737型機で飛行した経験が不十分なパイロットらの操縦ミスの可能性を除外していないが、主たる原因は航空機事故の前提条件の多さにあるとし、こう語る。「2011年には、ロシアは、航空機事故の面でワーストワンとなり、2012年には、良くなりましたが、2013年には、すでに二件の事故が起きています。問題は、民間航空の管理システムのお粗末さにあります。飛行の許可を与える人と事故の調査を行う人が同じなのです。たとえば、米国では、独立の機関が調査を担当し、その長官は、大統領によって任命され、すべての航空会社が、その指示に従っています」。スミルノフ氏は、事故は死亡したパイロットの責任であるとされるケースがほとんどで、構造的問題の解決は先送りされている点を指摘し、こう語る。「ロシアには、飛行の安全に対する責任を負う国家機関が一つもありません。専門家らはこの点を指摘しており、誰もがそれを認めていますが、この問題を解決する人はいません」。
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