10月23日、グリーンピースの砕氷船の拿捕および乗組員の拘束に関する事件の容疑は「海賊行為」から「フーリガン(暴徒)行為」に切り替えられた。=タス通信撮影
10月23日、ロシア連邦取調委員会のウラジーミル・マルキン報道官は、グリーンピースの砕氷船の拿捕および乗組員の拘束に関する事件の容疑は「海賊行為」から「フーリガン(暴徒)行為」に切り替えられた、と声明した。同報道官は、この決定について、拘束された者たちが供述を拒否したため、取調委員会は考えられるすべての容疑を検討する権利を有していた、と説明した。
海賊からフーリガンに切り替えたのはなぜ
マルキン報道官は、次のように述べた。「拘束後の容疑者らの態度も、事件の速やかな真相究明を妨げています。もちろん、彼らには、自分にとって不利な証言を行わない権利があり、この権利には疑問の余地がありませんが、容疑者による供述の拒否は、取調機関に対し、打算的な動機による石油採掘プラットフォームの占拠、テロを目的とした行為、不法な学術活動、スパイ行為など、ありとあらゆる背景を検証する根拠を与えるものです」。
その際、マルキン報道官は、この具体的状況においては如何なる非暴力的行為も問題となりえない点を指摘し、こう述べた。「もしも固定されたプラットフォームを不法かつ意図的に占拠したり掌握したりするならば、誰しも、その人が指針としていた動機にかかわらず、国際法規に悖る罪を犯したことになります」。
今後、グリーンピースの活動家らは、「武器として使用されるものを用いて、組織されたグループによって為された、権力の代表への抵抗に関連した「フーリガン(暴徒)行為」という刑法の条項に該当する罪に問われることになる。
これに伴い、考えられる自由剥奪の刑期も、これまでに想定されていた15年以下ではなく7年以下となる。マルキン氏は、「目下、すべての暴徒に対する新たな告訴の手続きが開始されています」と述べ、さらに、取調機関が「権力の代表に対する暴力の行使」という罪状で一部の暴徒を告訴する可能性も除外していない点を指摘したが、これが適用されると、刑期はさらに5年延びることになる。
先に、グリーンピースの法律家らは、アークティック・サンライズ号の乗組員の行動を海賊行為と認めることは決してできない、と声明していた。
事件の概要
9月18日、グリーンピースの活動家らは、バレンツ海にある「ガスプロム」社の石油採掘プラットフォーム「プリラズロームナヤ」にボートで接近し、投げたロープを伝って攀じ登ろうとして宙吊りになった。現場に急行した国境警備隊員らは、登攀を試みた二人のエコロジストを拘束し、翌日、砕氷船アークティック・サンライズ号に乗り込んで30人を拘束した。拘束された者たちの国籍はさまざまで、彼らは、ムルマンスクで、裁判所の決定により、二ヶ月拘留されることになった。
一方、砕氷船アークティック・サンライズ号がその国旗を掲げて航行していたオランダの政府は、国際海洋法裁判所(ITLOS)にロシアを提訴した。オランダは、速やかに砕氷船を解放して船員とエコロジストを釈放するよう求めている。これに対し、ロシアは、その訴えに応じるつもりはない、と声明した。ロシア外務省によれば、エコロジストたちは、排他的経済水域および大陸棚に関するロシアの法律に違反した。
ロシア領だが公海上
有限会社「インマリン」の主任法律家であるヴィクトリヤ・ジダーノワ氏によれば、国連海洋法条約には暴徒行為に関する規定がないため、海賊行為という罪状がなくなったことで、国際海洋法裁判所の審理が中止される可能性がある。
同氏は、こう述べる。「海賊行為という罪状がなくなれば、正式に国際的なエレメントがなくなるので、おそらく、提訴は取り下げられるでしょう」。
とはいえ、同氏は、活動家たちがロシアの領海か公海のどちらで拘束されたかがまだ立証されていないため、拘束された活動家たちの問題がこれで解決されるわけではまったくない点を指摘し、こう述べる。「『プリラズロームナヤ』は、形の上ではロシア領ですが、公海上にあります。しかし、ロシアの国益が経済的に保護される経済特区にあるので、問題は、今も、こうした国際的なエレメントによって縺れたままです」。
グリーンピースは、今後も乗組員の釈放を目指していく、と声明した。「グリーンピース・ロシア」の法律家であるアントン・ベネスラフスキー氏は、海賊行為で船が拿捕されることはありえたとしても暴徒行為で訴えられる根拠はない点を指摘し、こう語る。
「ロシアの領海はほど遠く、排他的経済水域はロシアの管轄ゾーンではありませんから、その水域においてロシアの法律で罰せられうる犯罪が生じるとしたら、それは、ロシアの船舶に対する海賊行為か排他的経済水域のルール違反かのどちらかしか考えられません。公海上でオランダの船が行った暴徒行為について、ロシアの連邦取調委員会がどうこう云うことはできません。容疑が切り替えられた以上、拘束された乗組員の保全処分も見直されてしかるべきです」。
*元記事
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