自爆犯はモスクワに向っていた?

ロシア通信撮影

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ロシア南部のボルゴグラード市内を走行していた路線バスの車内で21日、ダゲスタン共和国出身のイスラム教徒の女(30)が自爆テロを起した。情報機関はかなり前から、テロ犯と見られるナイダ・アシヤロワ容疑者を監視していた。容疑者を知る人々によると、容疑者は病気で苦しみ、イスラム教にのめり込んでいたという。警察当局によると、最近は若者がインターネットで勧誘されてテロリストになる場合が多く、悪人には似ても似つかないという。

ボルゴグラードで途中下車?

 ロシア連邦捜査委員会の関係者は、22日も事件の捜査を続けた。委員会の公式代表者であるウラジーミル・マルキン氏によると、事件当日に少なくとも50人の事件の目撃者に聞き取りを行ったという。容疑者はダゲスタン共和国の首都マハチカラで、モスクワ行きの長距離バスに乗り、ボルゴグラードで下車していたことが明らかとなった。下車した場所はロシア連邦内務省ボルゴグラード・アカデミー近くで、時間は事件の1時間ほど前。なぜここで降りたのかについては、まだわかっていない。

 専門家によると、爆発物の威力は、マスメディアで伝えられた威力よりも小さな500~600TNT換算グラムで、中にはボルトが充填されていた。

 捜査関係者によると、容疑者はモスクワまでの乗車券を購入していたが、バスがボルゴグラード市をほぼ通過したところで下車し、市の中心部まで戻った。これが元々の計画だったのか、途中で変更したのかについては、現在も捜査中。

 容疑者が爆発物をボルゴグラードで受け取った可能性もあると、情報機関は見ている。テロへの警戒が厳しいマハチカラでは、バスに乗車する前に身体検査で爆発物が発見される可能性があるため、よりリスクが高くなる。マハチカラではかなり前から、市外へ向うバスでこのような検査を行っている。

 

容疑者は逮捕間近だったという話も

 容疑者とその仲間は、長きに渡ってロシア情報機関の監視下にあった。数日以内に拘束することが決定していたという話もある。容疑者本人は追跡されていることに気づいていたため、同じ場所に長くはとどまらなかった。

 情報機関によると、このような犯罪集団は近年、深刻な”人手不足”に陥っているという。メンバーはすでに殺害されているか、または刑務所に収監されているかのどちらかだからだ。そのため、最近の原理主義的テロリストは、大学を卒業したての若者や、未成年の学校に通う生徒などだという。大半がインターネットを通じて勧誘されている。

 

容疑者を知る近所の人はショック

 ボルゴグラードの自爆テロ犯が、ダゲスタン共和国の人口わずか2500人の小さなグニバ村の出身者だったことに、地元の住民は動揺を隠せない。

 アシヤロワ家の近所の住人で、地元の新聞の編集者であるパチマト・ナジュムジノワさんはこう話す。

 「あの家族をよく知っている。家はあまり大きくない。郵便局員の母親のラヴザトさんは、娘たちが家を離れてから一人暮らしをしている。ナイダは5歳になるまで児童養護施設で暮らしていたが、ナイダが生まれていたこと、母親が手放していたことは誰も知らなかった。1980年代に児童養護施設が閉鎖されることになって、ナイダの祖父のもとに、孫を預かっているとの手紙が施設から届いた。ナイダはこの時に引き取られた」。

 容疑者がグニバ村を離れて久しい。当時はそれほどイスラム教にのめり込んでいなかったが、3年前頃から変わったという。別の近所の人はこう話す。

 「ダゲスタンの村では、ほとんどの住人がイスラム教の信者だが、他の人を勧誘したり、年上の人に何を信ずるべきかを説教したりする人はいない。だがナイダはこれをやっていた。その結果、ナイダの父親は公に娘との親族関係を拒否。その後ナイダが結婚することになって、母親は一人でモスクワに行き、結婚式に出席した。母親はナイダの夫がよくできたトルコ人だと自慢していた。ナイダは歯の状態が悪く、トルコ人の夫は口腔科の高額な診療費をすべて負担していた」。

 何らかの病気に口腔科で感染したのかなどの詳細は不明だが、ナイダは歯の被覆冠の痛みに悩み、深刻な感染症から被覆冠を取り外さなければならなくなった。骨が腐食する肉腫だったという話もある。その後トルコ人の夫が離婚を申し出たため、ナイダは治療費のない状態に陥り、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)で手術代を募ろうとした。犯罪集団がこの情報を見つけ、ナイダの医療費を負担し、自分たちに依存させた可能性もあると、隣人は考える。

 

その後ロシア人と結婚

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 マハチカラの犯罪集団の中で、ナイダは自身の姓をアマツラフマンという別のイスラム教の姓に変えた。ナイダの2番目の夫は、その集団のメンバーの一人である、ジラフというニックネームのロシア人。

 ナイダはジラフことドミトリー・ソコロフと、モスクワのアラビア語教室で知り合った。ソコロフはイスラム教に改宗し、マハチカラの犯罪集団のメンバーとなり、爆弾技術者の役割を果たすようになった。警察当局によると、マハチカラの店で起きた別のテロ事件の爆発物を製造したのが、ソコロフだという。

 ダゲスタン共和国の当局者はこう話す。「アブドゥル・ジャッバルという名前にしたソコロフは、マハチカラの犯罪集団のメンバー。自爆テロ犯マディナ・アリエワが、マハチカラ市中心部でテロを起こした際に使用した、爆発ベルトもつくっている。このテロ事件では1人が死亡、15人以上が負傷した」。