スノーデン氏のモスクワ滞在を余儀なくさせるアメリカ

木曜日にモスクワからハバナへ飛び立つ予定のアエロフロート機にCIA元職員のスノーデン氏が搭乗するかどうかが注目されている =ロイター通信撮影

木曜日にモスクワからハバナへ飛び立つ予定のアエロフロート機にCIA元職員のスノーデン氏が搭乗するかどうかが注目されている =ロイター通信撮影

CIA(アメリカ中央情報局)元職員のエドワード・スノーデン氏について、依然として矛盾したうわさが飛び交っている。ロシアのトランジットビザを取得してシェレメチエヴォ空港をすでに後にした、という説もあれば、パスポートが失効している同氏はチケットが購入できないので南米のエクアドルによる亡命申請の受け入れを待たねばならない、という説もある。いずれにしても、今回のスキャンダルが露米関係に緊張をもたらすことは必至だ。

3日間有効のロシアのトランジットビザを取得?

 ロシア通信によれば、スノーデン氏は、3日間有効のロシアのトランジットビザを取得した可能性があり、消息筋は、同通信社に対してこう語っている。

 「第三国への入国のために必要な書類と航空券を所持している乗り継ぎ客は、ロシアのトランジットビザを取得できる。それらを所持していれば、スノーデン氏は、空港の領事係にトランジットビザを申請する権利を有しているわけで、そのようにしたことは十分考えられる」。

 スノーデン氏は、6月24日と25日のモスクワ・ハバナ便の航空券を予約したが、24日は搭乗しておらず、25日の便の予約はフライトの数時間前にキャンセルされた。エクアドル政府によって発給された亡命受け入れの書類が、第三国への入国を許可する書類となりうる。これについては、先にスノーデン氏を法的にサポートする内部告発サイト「ウィキリークス」の代表が指摘している。

 

「政治亡命を許可までには数ヶ月」 

 しかし、CIAの元職員が亡命受け入れの書類を取得したかどうかは今も不明だ。26日(水曜日)、エクアドルのリカルド・パティーニョ外相は、政治亡命を許可する決定には数ヶ月を要しうると述べ、AP通信は、「アサンジ氏の亡命受け入れの際にもふた月を要しており、我々がそれ以上早く決定を行うことはないだろう」とのパティーニョ外相の発言を伝えている。

 ツイッターには「パスポートの失効と仲介国(その支援によって同氏が亡命先を見出しうる)への圧力のために、スノーデン氏は、永久にロシアに留まることになるかもしれない」との情報が流れ、「ウィキリークス」の代表らは、「それはアメリカ国務省の最善の策ではない」と補足している。

 

長居すれば露米は緊張、露中は結束? 

 ロシアの外交防衛政策会議幹部会議長であるフョードル・ルキヤノフ氏は、CIA元職員のエドワード・スノーデン氏をめぐる状況は、仮に同氏がモスクワに長居するようなことになれば、露米関係に悪影響をもたらすとみなし、こう述べる。

 「同氏が政治的理由でモスクワに長居することも考えられるが、そうなれば、これは露米関係にとって喉に刺さる棘となるだろう。この一件はアメリカにとって不愉快きわまりない醜聞だからだ」。

 ロシア国家会議(下院)国際問題委員長のアレクセイ・プシコフ氏は、CIA元職員のエドワード・スノーデン氏の事件に関連したロシアおよび中国に対する米国の威嚇は、何の成果ももたらさず、ロシアと中国の結束を強めるにすぎない、とみなしている。

 

プーチン大統領:「露情報機関はスノーデン氏と協力していない 

 25日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、スノーデン氏は乗り継ぎ客としてモスクワに到着しロシアの国境を越えてはいないが、氏の到着はロシアにとって全く予期せぬものとなった、と述べた。

 プーチン大統領が指摘したところでは、ロシアの情報機関はスノーデン氏と協力しておらず、同氏が行き先を選択するのが早ければ早いほどロシアにとっても氏自身にとってもよい、という。

プーチン大統領は、また、ロシアは然るべき協定を結んでいる国にしか外国人を引き渡すことができず、米国とはそうした協定がない、という点を指摘した。

 

楽観論も 

 だがアメリカは、協定がなくとも米国はロシアに何百人もの犯罪者を引き渡してきたとして、スノーデン氏の引き渡しをなおも要求し続けている。

 アメリカ国務省は今のところかなり抑えた調子であるものの、ジョン・マケイン共和党上院議員をはじめとする一部のアメリカの政治家は、これで米露関係の“リセット”の行方は怪しくなったと明言している。

 とはいえ、さほど悲観していない専門家もおり、カーネギーセンターのメロル・ストゥルア氏は、モスコフスキー・コムソモーレツ紙上で、米国はロシアとの利害関係を考慮してロシアに対する厳しい非難を避けている、とし、「シリア、イラン、アフガニスタンという三つの単語を並べれば明らかだろう。同僚である、カーネギー財団のメチユ・ライアンスキ氏は、『アメリカはロシア以上にあらゆる分野における米露間の協力を必要としている』と述べている」と記した。

 

*出典:ロシア通信コメルサント紙、モスコフスキー・コムソモーレツ紙