下院が「同性愛宣伝禁止法案」を可決

同性愛者の権利擁護者たちが同性愛宣伝禁止法案に反対し抗議デモを繰り広げるなか、同性愛者の権利擁護に反対する活動家たちは、虹の旗を踏みにじった。=ロイター通信 / マクシム・シェメトフ撮影

同性愛者の権利擁護者たちが同性愛宣伝禁止法案に反対し抗議デモを繰り広げるなか、同性愛者の権利擁護に反対する活動家たちは、虹の旗を踏みにじった。=ロイター通信 / マクシム・シェメトフ撮影

6月11日、ロシア下院(国家会議)は、「同性愛宣伝禁止法案」を第2、第3読会で可決した。

同姓愛を宣伝する行為に対して罰金 

 ロシア下院(国家会議)が「同性愛宣伝禁止法案」を第2、第3読会で可決するなか、ロシア内外の人権擁護者たちは懸念を表明した。

 ロシア下院は、未成年者を対象に同姓愛を宣伝する行為に対して罰金を科す法案を、ほぼ全会一致で可決させた。法律として執行されるには大統領の署名が必要だ。

 この法案は、「健康と発育に対して潜在的に有害な情報から子どもを保護する法律」など現行の法律を改正するもので、定員450名の下院のうち436名が賛成した。

 6月11日中に、2、第3読会と続けて可決された同法案は、「未成年者が非伝統的な性的態度を持ったり、非伝統的な性的関係が魅力的なものであると考えたり、 伝統的な性的関係と非伝統的な性的関係が対等な価値を有するという歪んだ見解を抱いたりするように誘導することを目的とする情報の伝播」への対策がそ の目的であるとしている。

 この法律が大統領の署名を経て正式に公布されれば、同日付で施行される予定だ。

 

抗議集会 

 この法案に対し、ロシア国民の中には公共の場で憤慨をあらわにする人たちもいる。法案が下院で可決された6月11日には、下院の建物の近くで政府当局の許可なしに反対集会を開催しようとした活動家約20人が拘束されたと、モスクワ市警察の報道官はインターファクス通信に対して語った。拘束された活動家たちは、全員が警察署に連行された。

 その少し前に、独立系ラジオ「エーホ・モスクヴィ」(エコー・モスクワ)は、この法案を支持する集会と、“ロシア国民の宗教的感情を保護する”法案に反対する集会が、下院前で行われたと報じた。LGBT(同性愛者、両性愛者、トランスジェンダー)を擁護する活動家たちも下院近くに集まり、抗議集会を開こうと試みた。

 

オンブズマンの警告 

 一方で、ロシア連邦人権委員会代表(オンブズマン)のウラジーミル・ルキン氏は、この法案の「無分別な」適用に対して警告を発している。

 「主な課題となるのは、この法律の執行です。無慈悲、無分別に適用すれば、人間の犠牲や悲劇につながる可能性があります」とルキン氏はインターファクス通信に対して述べた。「このような法案を起草して推進しようとしている人たちは、自分たちが被害者の立場に立っているという印象を植え付けることが、宣伝に最も効果的な方法であると内々感じてはいるものの、おそらく無視しているのでしょう」。

 「(第1読会で使用されていた)『同姓愛』という言葉は使用されません。『非伝統的な性的関係』という表現を使います」と報道陣に対して説明したのは、下院の家族・女性・子供委員会の委員長を務めるエレーナ・ミズリナ氏だ。

 

「伝統と呼んでも差別は差別」 

 国際人権組織のヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、この禁止に対する危惧の念を表明した。

 「ロシアは、差別を“伝統”と呼ぶことで、それが立派なものであることを装うために大変な労力を費やしていますが、法案でどんな表現を使おうとも差別 的であることに変わりはなく、これはLGBTの人たちの基本的な人権侵害にほかなりません」と、ヒューマン・ライツ・ウォッチのLGBT権利擁護プログラ ム責任者であるグレアム・リード氏は述べた。