遺骨収集グループ「イングリヤ」 =ミハイル・モルダソフ撮影
遺骨収集グループ「イングリヤ」
レニングラード州では、「イングリヤ」というチームがすでに何年も活動しており、37回の調査で2227人の赤軍の兵士と隊長の遺体を発見した。
何がこのような活動家を動かしているのかについて、「イングリヤ」のリーダーであるエヴゲニー・イリインさんがロシアNOWに語った。
イリインさんは兵役を終えて、レニングラード国立大学(現サンクトペテルブルク国立大学)歴史学部に入学した。ずっと無名兵士の調査をしたかったのだと いう。すでに同学部の教授となっていた2000年、イリインさんは歴史学部と化学学部の学生を集めて小さな調査チームをつくった。
「我々のチームは、年3回の調査を継続的に13年行っている、学生からなるレニングラード州唯一のチーム。略奪者との違いは目的だ。我々の目的は兵士を見つけるという堅実なものだが、略奪者は金もうけだけ」。
十数万の戦死者のうち埋葬されたのは37人
イングリヤが活動するキーロフ地区は、戦時中にレニングラードの運命を決めた場所だ。赤軍は1941~1943年の間に、陸上のバリケードを5回突破し ようとした。
そしてこの地区で、もっとも過酷な戦いが行われたのである。少なくとも12~13万人が死亡したと考えられている。共同墓地を含めて埋葬され ている人の公式人数は今日、37人にとどまっている。
「2012年秋に行われた最新の調査では、爆発で沼に落ちた戦車を見つけた。戦車の後ろには歩兵がいたはずだとチームのメンバーに話し、実際に25人の 兵士を戦車近くで発見することができた。そのうちの3人はメダルを持っていたものの、ずっと沼の中にあったために2個のメダルについては文字が判別できな かった。1個は読むことができ、その兵士の親戚も見つけることができた。奥さんはすでに他界しているため、近々そのお孫さんがクラスノヤルスク地方から訪 れ、慰霊する予定となっている」。
メダルが見つかって兵士の姓を読むことができた時、メンバーは非常に感動した。無名兵士の一人がようやく認知された瞬間だった。親戚も見つけることがで きると、この上ない満足感を得ることができる。メンバーはこの瞬間のために森林や野原に行き、テントの中で生活をして、血のにじむような調査作業を毎日く り返すのである。
ドイツとも協力して発掘作業
「ドイツ人とは密に連絡を取り合っている。このチームができて以来、ドイツの学校の子供たちを何度か案内している。2011年にはドイツの調査グループが来て、一緒に作業を行った」。
イングリヤのチームはドイツ国防軍の兵士の遺体を見つけると、ドイツ戦争墓地委員会に渡すが、埋葬場所は世界最大のドイツ国外ドイツ人兵士墓地であるソ ログボフカになる。この墓地はレニングラード州キーロフ地区に位置している。現時点で8万2000人のドイツ人兵士の墓がある。
ロシアのさまざまな調査部隊が活動した結果、約45万人の遺体が発見され、英雄として埋葬された。最後の兵士が埋葬されるまで、この戦争は終わらない。 「この戦争はいつか終わるのか」という質問に対し、イリインさんはこう答える。「最後の兵士が見つかることはないだろうが、それが実現できるように最大限 の努力をするのが我々の義務だ」。
ロシア・ビヨンドのニュースレター
の配信を申し込む
今週のベストストーリーを直接受信します。