外国企業の半数がサーバ移転中

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 ロシアで活動する企業に、ユーザの個人情報をロシア国内のサーバに保管することを義務づける、ロシア連邦法第242-FZ号が9月1日、施行された。アメリカの検索会社「グーグル」は、自社のサーバに適したプラットフォームを見つけることができた一方で、アメリカの交流サイト(SNS)運営会社「フェイスブック」は、特に動いていない。法律を順守しなかった場合、どのような問題が起こるのか。ロシアNOWが特集する。

 外国企業およびロシア企業はこれまで、ロシア人ユーザの個人情報の大部分を、ドイツ、イギリス、フランス、アメリカなど、より先進的なホスティング・サービスのある国に保存し、処理していたと、ロシアの情報セキュリティ企業「インフォルムザシチタ」のチーフ・アーキテクトであるアレクサンドル・ヴォルジンスキー氏は話す。

 世界的なIT企業のほとんどが、ロシアのサーバにデータを移転する決定をすでに行っている。グーグルは例えば、ロシアの通信会社「ロステレコム」のデータ・センターに自社設備を設置する契約を結んでいる。アメリカのIT企業「アップル」は、来年1月1日までに移転させることを約束した。データの移転作業を現在進めていると発表したのは、ドイツのソフトウェア会社「SAP」、韓国の電機メーカー「サムスン」、中国の電機メーカー「レノボ」、アメリカのコンピュータ・メーカー「IBM」。オンライン小売業者、オンライン・サービス会社、決済システム会社も対象となる(表参照)。

 「ロシア電子通信協会」の調査によると、アンケートに参加した外国企業の54%にデータ移転の用意ができているという。「各企業のデータ移転の進捗状況を把握するのは難しいが、恐らく、多くの企業がすでに作業完了に近づいている」とIT市場の関係筋は話す。

外国企業の準備のほどは

 外国企業の4分の1以上は、容量不足により、9月1日までに要求を満たせなかった。

 IT市場の関係筋によると、ユーザのデータ移転はサービス・インフラの移転をともなうという。企業は新しい場所でのデータ保存の技術的可能性を確保するだけでなく、新しい従業員も見つけなければならない。これらすべては追加的な投資を要する。「大手企業の総コストは数百万ドル(数億円)に達する可能性もある」とヴォルジンスキー氏。主にサーバおよびストレージ・システムの購入、エンジニアリング・サービス、またデータ保護設備、通信チャネル設備、ソフトウェア・ライセンスの購入などの費用だ。ロステレコムと契約を結んだグーグルの場合、自社サーバ用スペースの賃貸契約額が月10万8000ルーブル(約20万2000円)である。このような大手企業は、数百台から数千台のサーバを必要とするという。

 ロシアには外国企業に容量を提供できるデータ・センターもある。「これらのデータ処理センター(DPC)はスペースと設備の両方を提供する。どれも容量に優れていて、新法をふまえながら積極的に展開している」とヴォルジンスキー氏。

 

フェイスブックはロシアに残るか

 ロシアのマスメディアは8月26日、新法にともなうデータ移転計画がフェイスブックにはないと伝えた。これはフェイスブックのトーマス・クリステンセン代表と、ロシア連邦通信・情報技術・マスコミ分野監督局のアレクサンドル・ジャロフ長官の会談の後で、明らかになった。監督局は後にこの情報を認めたが、フェイスブックがデータ移転を公式に拒んだわけではないと説明した。

 とはいえ、IT市場の関係筋によると、フェイスブックはユーザの情報を個人データではないと主張するという。「ユーザ自身が自分のデータを情報システムに残し、それによって一般のアクセスを認めている。また、すべての情報が異なるコンピューティング・リソースに分配され、個別のリソースが特定のユーザに関連づけられることのないように保存されている」と、IT市場の関係筋はロシアNOWに説明する。

 監督局は、ロシア人の個人データの保存に関する法律に違反があった場合の罰則を、年末まで適用しないことを約束した。つまり、外国企業には2016年1月1日までの猶予が与えられたことになる。しかしながら、ロシアNOWが取材を行った専門家によると、データ移転作業には6~24ヶ月ほどかかるため、設定された時間内に完了させるのは、やはり非常に困難だという。「大手企業は恐らく、期限内に完了できるだろう。そうでなければせいぜい10~15%程度の作業を残すか。このような新法があってもロシア市場に参入したいという企業幹部の意欲の現われだ」とヴォルジンスキー氏。

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