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北カフカス中央部のカラチャイ・チェルケス共和国にあるロシア科学アカデミー特別天体物理観測所の、イーゴリ・カラチェンツェフ教授率いる天体物理学者グループが、新たな矮小楕円体銀河(dSph)を発見した。銀河は「KKs3」と命名された。宇宙望遠鏡「ハッブル」を使った発見である。研究者によると、新たな銀河の質量は天の川の質量の1万分の1だという。
研究者はこの成果を王立天文学会の月刊誌で発表した。M31(アンドロメダ銀河)近傍における体系的調査によって、ここ10年で約30個の矮小球が発見されている。このような銀河は、M81グループで10個以上発見された。空の広大な領域の展望と高感度が必要とされるため、孤立した球状物体を見つけることは極めて困難である。
ハッブルなら星がはっきり
カラチェンツェフ教授は、この発見に15年を要したと、ロシアNOWに話した。「カラチャイ・チェルケス共和国のセミロドニキ山にある特別天体物理観測所で、独自の地上望遠鏡BTAを使って、長い間活動してきた。近傍銀河、すなわち5%の精度で測定することができる距離の銀河の画像を数千枚撮影することができた」
セミロドニキ山の特別天体物理観測所にある地上望遠鏡BTAは、1977年に稼働開始した。当時これは世界最大の望遠鏡だったが、現在ではその鏡の直径で世界18位まで下落している。
カラチャイ・チェルケス共和国で活動する天体物理学者は、BTAの観測プログラムの記録によって、ハッブル望遠鏡の観測時間申請の承認を国際委員会から受けることができたという。「ハッブルの画像は揺れず、銀河の手がかりとなる星がはっきりとした点に見えるため、我々の発見はハッブルでしか実現できなかった。一方で、大気はすべての地上の望遠鏡を大きく阻害する」とカラチェンツェフ教授。
ハッブルの後継機も
アメリカ航空宇宙局(NASA)が軌道に打ち上げ、世界のすべての天文学社会に四半世紀貢献しているハッブル望遠鏡。その使用は申請制である。オーストラリア、中国、ロシアなどの世界中の研究者は、独自のプロジェクトを実現するために、ハッブル望遠鏡の観測時間を毎年申請している。
競争率は高く、7件のうち1件しか認められない。それでも、カラチェンツェフ教授によると、認められることは可能だという。新しい「頭脳」とアイデアを呼び込み、望遠鏡の効果を最大限にするために、NASAは世界中の天体物理学者に望遠鏡を使わせている。
最近ハッブルの状態を点検した技術者の評価によると、ハッブルはあと5年は効果的に稼働するという。しかしながら4年後には、軌道に向けてはるかに強大な宇宙望遠鏡「ジェイムズ・ウェッブ」が打ち上げられる。その主鏡の直径は、ハッブルの2メートル強に対して、6.5メートル。透過力や他のパラメータが著しく向上している。これらの望遠鏡用の光学部品すべてを、NASAはアリゾナ州でつくっている。
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