地球環境は回復不能点をこえたか

Alamy/Legion Media撮影

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地球環境が、20~30年前とは大きく異なっているという点に、疑いの余地はない。今後の環境がどうなるかについて、世界の研究者の意見はさまざまだが、我々の文明社会にとって危機的な、水不足などの問題を、環境変化がすでに引き起こしていることは確かだ。

 イギリスの科学雑誌「ネイチャー」で10月中旬、ハワイ大学マノア校の研究者らが割り出した、地球の「気候逸脱点」が発表された。これは現在の最高気温が将来最低気温になる、つまり異常気象が普通と見なされる時期がいつ到来するかを予測するものだ。この危機はジャカルタで2029年、メキシコ・シティーで2031年、東京で2041年、北京で2046年、モスクワで2063年とされている。

 昨今見られる地球大気の温度上昇は、本当に長期的な傾向なのだろうか、それとも「季節的な」現象なのだろうか。研究者の世界では、これについての一致した見解はない。

 地球温暖化理論では、最近の気象観測データが使われている。ロシアの気象観測所のデータによると、年間平均気温はここ100年で1℃上昇しており、うち0.4℃は1990年代の上昇分。環境分野で権威のある国際機関「気候変動に関する政府間パネル」の予測によると、今後10年で平均0.2℃の上昇、さらに次の10年でも同様に上昇し、21世紀末までには地球の気温が1.8℃から4.6℃まで上昇するという。

 

温暖化は不可逆的か自然のサイクルか 

 モスクワ大学生物学部総合生態学講座のアレクセイ・ギリャロフ教授は、グリーンランドを覆う氷床の融解が、さらなる地球温暖化を引き起こすと考える。 「氷の総質量が減っていることが見て取れる。これは恐ろしいことだ。淡水が大西洋に流入し、南からの深海塩水の流れのメカニズムが止まり、その後淡水がグリーンランドの表面まで上昇し、冷え、海底まで流れるから。これは地球の海洋大循環の主な原動力であり、西ヨーロッパを温暖化させるものだ」。

 しかしながらロシア科学アカデミー極東支部地域問題総合分析研究所の研究員であるエレーナ・グリゴリエワ氏は、現在の気候過程を地球温暖化と考えていない。

 「昔の芸術家の絵画が参考になる。現在年間を通して+10℃のイギリスが、16~18世紀の絵画では屋外でスケートをしている。つまり環境は不安定で、現在の我々のデータは不完全。地球的な環境の変化が起こるのは限られた短期間」。

 

気温上昇がもたらす最大の問題は水不足 

 気温の上昇は感染症の蔓延、高温によるストレス、それに関連する精神的な問題を引き起こす。また高温地域の不均等性が大移民を発生させ、人口密度が極めて高くなる地域では、軍事・政治的安定に不安も生じる。

 だが温暖化で何よりも問題となるのは、飲料水の不足であり、すでに世界的な「資源をめぐる争い」の原因にもなっている。人間はすでに水不足に悩んでいる。国連のデータによると、2025年までに地球の半分以上の国で深刻な淡水不足が発生し、2050年までに地球の最大4分の3の人々が喉の渇きを経験するという。国際水管理研究所の研究者は、現在の経済成長率と人口増加率が維持された場合、2050年までに水の需要は現在の3倍に高まり、また飲料水が20年後には足りなくなると考えている。だがすでに地球上の6人に1人、すなわち10億人以上が、程度の違いこそあれど、飲料水の不足で困っている。

 

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 ロシアの状況はまだ恵まれているようだ。地表水資源の豊富さで世界第1位である。バイカル湖だけでも世界の湖の淡水の約20%を占めている。またバイカル湖の淡水貯水量は2万3600立法キロメートル、さらに毎年約60立方キロメートルの淡水が生成されている。

 しかし、ロシアの乾燥した地域や、人口密度が高く、人口が増加し続けている新興・発展途上国で、いかにして必要な水を確保すればいいのだろうか。研究者や専門家は、経済要素にもとづいた解決策を考えているようだ。そのような地域に必要な資材、設備をすべて持ち込めば、水を節約し、食料を確保することは可能になる。だが、商品を移動するには、政治的・経済的条件に従わなければならず、現代の対立の時代にそれが常に可能となるわけではない。