中国は宇宙競争でロシアを追い抜くか

AP通信撮影

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2011年の公開データによると、中国はハイテク製品、特に航空宇宙関連製品を、年間30億ドル(約3000億円)輸出した。一方でロシアは11億ドル(約1100億円)。中国は宇宙分野で上位に進出しているのだろうか。

 世界の公式統計によると、13の国と組織が所有する地球撮影用宇宙機24機が昨年、地球周回軌道に打ち上げられた。遠隔探査衛星を一番多く打ち上げたのは、8機の中国で、2007年から4回目の首位となる。ロシアは3機で、中国に大きく水をあけられた。

 

遠隔探査衛星打ち上げ数でほぼ毎年世界1 

 ロシアは2020年までに、レーダーや光学などのあらゆる種類の探査衛星を確保し、外国の宇宙機からのデータ購入を一切行わないようにする予定だ。ロシア連邦宇宙局のワレリー・ザイチコ局長補佐によると、このために遠隔探査衛星を4機から一気に26機まで増やすという。さらにロシアのサービス市場におけるロシア製機器の割合は、25%から80%まで拡大する。

 だがデータを得られたところで、これは宇宙活動のほんの一部でしかない。有人宇宙飛行という、専売特許とは言わないまでも、ロシアの得意な部門があるではないか。だが事実は動かしがたい。

 

事実その1 

中国の月面探査機打ち上げ近し

中国では初の着陸探査機を月面に打ち上げる準備がほぼ整っている。さらに2020年までには、月に大規模な有人探査隊を送る予定。

 中国の初の有人飛行から軌道上での宇宙飛行士の作業までの道のりは、ソ連より1年早く進んだ。ソ連の宇宙飛行士が初めて宇宙ステーション 「サリュート1号」に乗ったのは、ユーリイ・ガガーリンの有人宇宙飛行から10年後の1971年だったが、中国の太空人(宇宙飛行士)が初めて宇宙ステー ション「天宮1号」に乗ったのは、楊利偉による中国初の有人宇宙飛行から9年後の2012年だった。

事実その2 

 中国の宇宙船「神舟」の元になっているのが、ソ連の宇宙船「ソユーズ」であることは有名だ。だが中国は根本的に改造、改善したため、今や中国独自の有人宇宙船と言っても間違いにはならないだろう。特に軌道上での切り離しだ。太空人の搭乗部分だけが地球に帰還し、他の部分は自動実験所として宇宙に残る。また”先生”と”生徒”の大きな違いとしてあげられるのが、「神舟」の優れた出力重量比と内部の大きさだ。

 

事実その3 

 長期滞在型軌道複合体、すなわち宇宙ステーションは、ロシアの有人宇宙開発の誇りであることは間違いない。だが国際宇宙ステーションの組み立ては、アメリカの再使用型宇宙船のおかげで実現したようなものだ。さらにロシアのモジュールは完全に展開されていないし、新しいロシアの宇宙ステーショ ンは、今のところいくつかの提案がなされているだけで、まだ存在していない。宇宙ステーションの数量について言えば、中国はまだまだロシアには及ばない。しかしながら実績と同様、追いつくことは可能だ。中国は2020年までに、近地球軌道で約60トンの3モジュール宇宙ステーション「天宮3号」を組み立てる予定。

 

事実その4 

 ここで重要となってくるのは、両国の宇宙産業におけるハイテクの割合だ。中国の「人民日報」紙は9月末、次のように伝えた。「中国の研究開発費は現在世 界3位に達している。先進国との差が徐々に縮小し、中国の科学技術大国の地位が固められている」。2012年の世界の研究・試作設計への支出のうち、 14.2%を中国が占めている。中国より上位に位置したのは、31.1%だったアメリカのみ。ヨーロッパはEUとして24.1%。ロシアはわずか1.9% で、はるかに及ばない。

 中国政府はさらに、世界の「組み立て工場」からハイテク製品の開発・生産国になるというアイデアを、積極的に推進している。一部の隣国からは、自国の研究者が中国に吸い取られていることに対して、苦情も出ている。特に日本からその声が上がっている。

 

出藍の誉れ・・・ 

 このような状況において、ロシアは何ができるのだろうか。ロシア最高財務責任者クラブのタマーラ・カシヤノワ副理事によると、ロシアの研究者の主な問題 は、資金的な条件を含む、必要な条件が整っていないことだという。一方で、K.E.ツィオルコフスキー・ロシア宇宙航行アカデミーの通信会員であるユー リー・カラシュ氏は、「ロシアの技術者や設計者の能力は、科学技術の先端に課すことのできる、革新的で野心的な深宇宙の課題を解決するに十分」であると話 す。

 だが時は待ってはくれない。中国の宇宙開発は現在、その質においてロシアと同等である。”先生”と”生徒”は量的に離れているものの、世界の宇宙開発のトップに立とうとする努力と、バランスの取れた現代的な科学技術政策によって、中国はこの差をすぐにうめるだろう。