宇宙でもペレストロイカを

ドミトリー・ロゴージン副首相「事故と失敗の悪循環を打ち破るために、恒常的な支援が必要だ」=タス通信撮影

ドミトリー・ロゴージン副首相「事故と失敗の悪循環を打ち破るために、恒常的な支援が必要だ」=タス通信撮影

7月2日に発生した打ち上げロケット「プロトンM」の爆発落下事故は、ロシアの宇宙開発に徹底したペレストロイカが必要不可欠であることを認識させた。だが肝心な改革の性質とその有効性は今のところ、まったく見えてこない。

「問題ありすぎ」 

 10年弱の間に発生した重大宇宙プロジェクトの事故件数は、軽く10件をこえる。このような宇宙開発の失敗原因が一つに限らないことは明らかで、ちょっとやそっとの対策では、正常な状態に戻すことなど不可能だ。宇宙産業の非効率な運営、老朽化した設備、高齢化が進む人材など、問題は多々あり、薄給では若い専門家も興味を示さない。ロシアの宇宙産業が解決しなければいけない他の課題も二の次になっている。

 ドミトリー・ロゴージン副首相は8月初め、このように述べた。「宇宙ロケット開発分野には問題がたくさんありすぎて、政府はこの分野の人間に解決を一任できない。事故と失敗の悪循環を打ち破るために、恒常的な支援が必要だ」。

 

宇宙産業と航空産業の統合を提案 

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宇宙予算削られる

 ロゴージン副首相は現状を根本から変える政府の対策として、宇宙産業と航空産業の統合を提案した。それも単純な統合ではなく、「統一技術政策」の枠組みの中での合体だ。

 このような統合の構築はすでに始まっているが、一分野内の統合ならまだしも、分野間の統合をいかにして行うのだろうか。

 実はこのような取り組みは過去にもあったが、結果は思わしくなかった。ソ連が崩壊し、一般機械製作省の宇宙総局が解散した後、独立系航空・宇宙局が現れたものの、どちらの産業でも大きな成果を得ることはできなかった。

 NPO「人口統計・移民・地域発展研究所」観察評議会のユーリー・クルプノフ議長によると、この統合では人事以外に「何も行われなかった」という。

 

この道はいつか来た道 

 今回の統合案については、クルプノフ議長はこう断言する。「これらの分野の劣化が20年続いているのに、さらに統合をしたらもたない。ロシアの航空産業と宇宙産業の”白鳥の歌”になるだろう」。

 このような統合が成功するのは、それぞれの分野が効率よく機能している場合に限られるという。好調な分野が一つになれ ば、ボーイング、ロッキード・マーチン、イーエーディーエスのような大手の出現も可能になる。

 K.E.ツィオルコフスキー記念ロシア宇宙航行アカデミーの準会員であるユーリー・カラシュ氏は、いかなる統合を行っても、「明確な目標の欠如」というロシアの宇宙開発の主な問題は解決できないと話す。

 「正しい目標を打ち立てるわけでもなく、例のごとく航空産業と宇宙産業の管理体制を変えろという。 こんな統合が、野心的な目標を立てて何かまったく新しいものを生み出すことにどうつながるのか、よく分からない」。

 

木に竹を接ぐ 

 ロゴージン副首相の提案は、経済面でも専門家を不安にさせる。モスクワ宇宙クラブのイワン・モイセエフ理事は、宇宙産業と航空産業にはそれぞれの固有の特徴があると指摘する。「両分野の経済基盤は異なる。航空産業の製品は、軍用機であっても民間機であっても大量生産されるが、宇宙機の発注者は、一部の例外を除いて国だ。国内でも海外でも、ここからすでに違っている」。

 現状で必要なのは、ロシアの宇宙開発のための危機管理計画であることは明白だ。これさえあれば、ロゴージン副首相自身も最近言っていた、宇宙分野における近い将来の科学技術の進歩の行き詰まりも回避できる。