=PhotoXPress撮影
一瞬ドキリ
ショイグ国防相は「大々的なプログラマー”狩り”を始めている」とショッキングな発言をし、事情を知らない列席者を一瞬困惑させた。だがこの”狩り”と は、エリートのスカウトを意味する。今後5年でロシア軍には、大量かつ多種多様なソフトウェアが必要になるため、IT人材の確保が急務なのだ。
選ばれたプログラマーからなる新しい科学中隊などが、ソフトウェアをつくることになる。ショイグ国防相によると、極めて困難な数理処理を、「わかりやす い(経済、情報、速度の)量と数字」に変換することが求められるようになるという。また、軍には迅速な解決が必要となる課題が、非常にたくさんあるという。「一方では一部現状の打破を試み、他方では科学中隊をつくることで、軍事科学を発展させる新たな世代が形成されればと願っている」。
今や狭き門の科学中隊
ショイグ国防相のこの発表は、タイミングが良かったと言えるだろう。翌日には、N.E.ジュコフスキー・Y.A.ガガーリン空軍士官学校科学中隊の、入隊者の受け入れが完了している。この選抜の倍率は3倍という厳しさだった。
90人の志願者のうち、国防の科学的課題を解決する際に役に立つ研究を行っている35人が、空軍士官学校のあるヴォロネジ市に送られた。志願者の個人記 録は、9ヶ所の州および共和国の軍事委員部で調査された。ショイグ国防相は、科学中隊にコネで入った者はいないとし、今後もそのようなことは起こらないと 話した。
今回入隊できなかった志願者も、今後海軍や航空宇宙防衛軍で科学中隊が組織される際に必要になるため、予備人員として登録されることになる。
ショイグ国防相は大学の学長らに対して、科学中隊の機構とその名簿が承認されたことを話した。科学中隊の新兵には、優れた中隊長と科学の指導者が割り当 てられた。中隊長に選ばれたのは、最近空軍士官学校の大学院を卒業したばかりの、30歳のヴィクトル・メルズロフ少佐だ。小隊長は空軍のオレグ・ストラ シュコ上級中尉、アレクセイ・リズグン上級中尉、マクシム・スタドニコフ中尉。
主な任務は各分野の科学研究
任務、人員、部隊の名称はどれも個性的だ。12人の学生が所属する予定の、水文気象学的プロセスおよび高・中圧空気分離のシミュレーション小隊は、ロシア軍のどこを探しても他にない。また13人が所属する予定の、飛行機、航空機エンジン、飛行機航法・レーダー装置の構造改善・完成小隊、10人が所属する 予定の、敵の機械との無線電子戦、潜行度評価、自動制御システムの情報保護の小隊も特別な組織だ。
科学中隊は今後、どんな任務をこなしていくのだろうか。まず科学中隊が軍隊規則から除外視されることはない。新兵訓練が始まり、7月10日には軍人宣誓 を行う予定だ。短機関銃の発砲の方法を学び、武装合同作戦に関する基礎知識を習得し、国防および攻撃における自分たちの役割を認識する。
他の兵士と同様、特別作業をこなし、ランニングし、朝の点呼・点検および夜の確認に参加する。それでも主な任務の目的と機能は、あくまでも科学研究であ り、科学中隊の日課の中で、特別教育、技術教育、戦闘教育、その他の教育に必ず科学的課題がある。厳しい兵舎生活が強いられることはなく、4人部屋の比較 的快適な寮室で生活することになる。各自の就寝スペースには、すでにパソコンが設置された。
「最初の半年は試行期間で、その後は学生を集めながら、科学中隊には科学研究・設計業務を依頼していく」とショイグ国防相は説明した。
*記事全文(露語)
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