石黒浩氏がビデオ講演

=AP通信撮影

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最新技術を一般に紹介する「ナレッジ・ストリーム(Knowledge Stream)」の一環として、ロシア初の民間新事業支援制度「デジタル・オクトーバー(Digital October)」のセンターで1月28日、世界でもっとも有名なロボット工学者の一人である石黒浩・大阪大学教授のビデオ講演が行われた。

石黒氏はまず、2006年に製作した自身のアンドロイドを座らせて、会場を驚かせた。最初は多くの人が、目の前にいるのがアンドロイドだとは気づかなかった。1時間の講演のテーマは、開発史、ロボット分類、現代の人間生活におけるロボットの役割だった。

体調が悪い大学教授は話すだけで、代わりにアンドロイドが表に出てくるなんて、これまでに想像できただろうか。今後は俳優の代わりにロボットが舞台で演技するようになるのだろうか。このような実例はすでにある。

すでにロボット時代到来

石黒氏の後に演壇に立った、メール・ル・グループ(Mail.ru Group)の最高経営責任者であるドミトリー・グリシン氏は、我々がすでに”未来の世界”で暮らしていて、ロボットの著しい発展と日常生活への導入が始まっていると話した。

「その時は来た。20年前には5~6人の学生が集まって、自分たちのロボットをつくり、それをうまく販売するなんてことは考えられなかったが、今はそれが可能だ」。グリシン氏は、ロボットの科学的な部分だけでなく、このような開発品をビジネスに変える能力が重要であることも強調した。

ロボットを人間の生活に導入する場合、精神的および社会的な側面、ロボットに対する規則なども重要で、このポイントこそが、議論を巻き起こしている。

ロボットに“顔”は必要なのだろうか。ロボットは、必ずしも人間をそのままコピーする必要はない。ましてや、人間そっくりに似せる技術は高額で、それに見合うだけの価値は常に認められるわけではないのだから。

電子ヒツジが1匹、電子ヒツジが2匹・・・

ロシアの国営ナノ産業企業「ロスナノ」の取締役顧問であるウラジーミル・カモロフ氏は、このように話す。「ロボットは人間の生活を楽にするものであって、外見の問題は二の次だ。美人を見たければファッション・ショーに行けばいい」。それでも、人間に似た特徴を与えることは、自動車の衝突試験や化学防護服の検査の際に必要になってくる。

来たるべき世代の人々は、自分たちの未来の社会をどうするか、どのような場所でロボットを使って行くのかを考えていかなければならない。ロボット技術アカデミー(ペルミ市)の会員であるミハイル・メルズリャコフ氏は、子供にロボット技術の基礎を教えている。「うちの子供たちは何でもできる。すでに子供たちのアイデアを、ほぼ準備の整った新規事業として活用することが可能だ。子供に具体的な課題を与えると、その解決策を数千バージョンも見つける」。

もしかしたらロボットが、電子ヒツジが1匹、電子ヒツジが2匹・・・、と数えるような時代も来るかもしれない。

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