国家を歌いながら反汚職デモ

反汚職デモの参加者、モスクワ=

反汚職デモの参加者、モスクワ=

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 「ロシアの日」の6月12日、国内で反汚職デモが行われた。一部のデモは、警察との衝突、大勢の拘束という結果に発展した。

 ロシアの多くの都市で12日、野党指導者アレクセイ・ナバリヌイ氏とその支持者らが主催した反汚職デモが行われた。これはナバリヌイ氏の2度目の大規模なデモである。最初のデモは3月26日、国内の約100市町村で実施された。これは2011年以来の規模であった。

 モスクワのサハロフ大通りのデモについては、あらかじめ許可を受けていたが、ナバリヌイ氏はデモ開始の17時間前に、許可された場所での演出と音を当局に拒まれたと説明し、動画サイト「ユーチューブ」で中心部のトヴェリ通りに集まるよう、「緊急」の呼びかけを行った。デモ当日未明、モスクワ市検察庁のウェブサイトで、トヴェリ通りでデモを行おうとすることは違法であり、「治安当局は挑発的行動を阻止するために必要な措置すべてを講じなくてはいけなくなる」と警告した。

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 デモ開始(予定ではモスクワ時間午後2時)の数時間前、トヴェリ通り沿いおよび周囲の通りでは、特別警察隊(OMON)の特殊車両(容疑者・被告輸送車両)および隊員が待機していた。デモは12日の国の祝日と重なっていたため、トヴェリ通りには大勢の一般通行人も集まっていた。モスクワ市行政府は記念行事として、さまざまな時代の復元フェスティバルを開催中であった。

 

トヴェリ通りで何が

 デモの開始時間が近づくと、トヴェリ通りの歩道には、若者が集まってきた。ほとんどが復元イベントとは関係のなさそうな高校生や大学生であった。金属探知機付近ではすでに、押し合いへし合いになっていた。デモ参加者の多くは、ロシアの国旗を手に持ち、反汚職を呼びかける自作のプラカードを持っていた。昔の戦車などのある復元エリアを散歩しに来た人々と、会場で明らかに邪魔になっているデモの参加者らの間では、言い合いもあった。

 「何でデモしてるかって。嫌だと皆が思ってるから。ナバリヌイの裁判のことを言ってるわけじゃない。嘘つかれて、頭にきてるの」と、巻いたポスターを手に持った若い女性は話した。デモ参加者は、金属探知機と警察の間を通り過ぎるまでポスターを開かないようにし、またOMONがバリケードや特殊車両で見えないようにしているその先で何が起こっているのかを把握しようとしていた。

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 ムードが変わったのは午後2時5分。プラカードを持ち、大きな声でロシアの国家を歌いながら立つデモ参加者に、警察が集団で近づいた。「これで退学は決まりだな」と若い学生は他の若者に言った。若者はバリケードを突破した。プラカードを持つ若者は、群衆から一人ずつ連れて行かれた。

 20分ほど経過すると、デモの集団に囲まれ、守られている、拘束されそうになっている人が、上から下から引っ張りだされていた。拘束者が特殊車両に乗せられるたびに、デモ参加者らは、「ロシアの日おめでとう」、「恥を知れ」などと叫んでいた。

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「困った人々」

 デモの主催側はデモまで到達できなかった。ナバリヌイ氏の妻は、短文投稿サイト「ツイッター」の夫のアカウントに、夫がデモに向かおうとして自宅の玄関先で拘束された、と書いた(前回のデモには5分参加できた)。警察によれば、拘束の理由は、無許可のデモの呼びかけに関連しているという。別の主催者イリヤ・ヤシン氏は、地下鉄駅からトヴェリ通りに向かおうとして3分後に連行された。

サンクトペテルブルクの反汚職デモ=AP通信サンクトペテルブルクの反汚職デモ=AP通信

 サンクトペテルブルクでも、警察は同様の動きをした。マルソヴォ・ポーレ(カンポ・マルツィオ)広場では、OMONが優しい警告の後、「ロシアは自由に」と叫ぶ人々を囲み始め、特殊車両に乗せ始めた。ウラジオストクでも、デモの事前の許可はとられていたが、主催側が場所を無断で駅の広場に変更していた。広場では、コサック文化フェスティバルが行われていた。拘束されたのは22人で、うち3人は未成年のようである。

 ノボシビルスクでは5000人以上がデモに向かったが、特に問題は起こらなかった。警察に事前通知することなくクワドロコプターを使ったとして、2人が拘束されただけであった。ウファ、バルナウル、イルクーツク、その他の都市でも、混乱も挑発もなく、デモが行われた。

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 モスクワの当局は、今回の件を、祝い事とムードを台無しにしようとする「困った人々の挑発100%」だと考えている。「作業プロセスが進み、警察の行動は時計のように調整されている。何らかの一斉排除の課題などはなく、状況を挑発し続ける者に対して正確かつプロの仕事が行われている」とモスクワ市安全課はコメントしている。野党側は、モスクワで200人以上が拘束されたと発表している。

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