ウクライナ和平が進まないワケは

左から右に向かって、ウクライナのパーヴェル・クリムキン外相、フランスのジャン=マルク・エロー外相、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー外相、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相=

左から右に向かって、ウクライナのパーヴェル・クリムキン外相、フランスのジャン=マルク・エロー外相、ドイツのフランク=ヴァルター・シュタインマイアー外相、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相=

ロイター通信
 ウクライナ東部の紛争解決に関するドイツ、ロシア、フランス、ウクライナの外相による「ノルマンディー4者協議」が11日、ドイツの首都ベルリンで行われた。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイアー外相によると、「当事者の立場がかけ離れている」ため、大きな進展はなかったという。

 ウクライナ東部の紛争は平和的解決に近づかなかった。前回のフランスの首都パリで3月3日に行われた外相による「ノルマンディー4者協議」と同様、合意にいたることはなかった。ウクライナ東部における選挙の実施について意見が一致していないのが主な原因である。

 選挙は、昨年2月にベラルーシの首都ミンスクで首脳による「ノルマンディー4者協議」が行われた際、和平合意に盛り込まれている。ウクライナの中央政府によって選挙が承認され、組織されれば、完全な政治プロセスを始めることができる。プロセスの最終目標は、ウクライナの東部と他の地域との平和的な共存メカニズムの構築だ。選挙の実施の必要性を、ロシアも、ドイツも、フランスも認めている。

 

ロシアの立場

 ウクライナ東部での選挙の実施に反対しているのはウクライナの中央政府だけであると、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相はベルリン協議後に話した。ウクライナの中央政府と東部は選挙について直接話し合わなければならないが、今のところ、「中央政府側はこのような対話に消極的」だという。

 ミンスク和平合意のすべての項目が実施されることの重要性が、今回の協議で改めて確認されたと、ラブロフ外相は話した。選挙以外の項目は、東部の特別な地位に関する法案の採決、これに関連するウクライナ憲法の改正の承認、および紛争地域の関与者に対する恩赦の宣言などである。

 これらの項目の実施がウクライナの中央政府側で止まっていると、ロシアは考えている。憲法改正案は昨年の夏、第1読会を通過したものの、ウクライナの過激派により、ここで止まったままとなっている。

 

ウクライナの立場

 一方で、ウクライナの中央政府はロシアが悪いと言っている。選挙よりも、東部の安全確保の解決策を見つける方が先だと考えている。「今すぐ安全性が保証されない限り、選挙について話すことはできない。安全性がないのなら、(選挙に向けた)準備期間などありえない」とウクライナのパヴロ・クリムキン外相は話した。

 ウクライナの中央政府は、ウクライナ東部にロシアの軍人が多数いるとし、東部からの引き上げを先に、と主張している。このロシアの軍人の人数というのはかなり変化する。ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は20万人と言っていたが、ウクライナ外務省は3万4000人と最近発表した。ロシアはウクライナ東部におけるロシア軍の存在を完全に否定しており、ウクライナの中央政府に証拠を提示するよう求めている。

 ウクライナは東部の安全確保の解決策として、配置されたロシアの集団への装備を止めるため、ロシアと東部の国境を封鎖すべきだと言っている。ウクライナの中央政府は、東部の義勇軍の恩赦を回避しながら、ウクライナ法で選挙を実施することを望んでおり、解決策が先で、選挙は後としている。

 ロシアは、このような順番を、恩赦を宣言したくない気持ちのあらわれであり、ミンスク和平合意に反すると指摘している。和平合意では、ウクライナの中央政府への国境管理移譲よりも、選挙が先になっている。ラブロフ外相によると、ウクライナの中央政府が言っている選挙での安全性とは、作り上げられた問題だという。

 

ミンスク和平合意か共和国の国家化か

 このような状況の中、クリムキン外相は、「ノルマンディー4者協議」の出席者が合意にいたれないため、ミンスク和平プロセスが凍結される可能性もあると発言した。国際政治鑑定研究所のエヴゲニー・ミンチェンコ所長は、和平プロセスの凍結とはウクライナ東部の共和国の段階的な国家化を意味すると話す。このようになれば、ウクライナの中央政府はもはや東部を管理下に戻せなくなる。