アルカイダが対露で団結呼びかけ

AFP/East News
 国際テロ組織「アルカイダ」の指導者アイマン・ザワヒリ容疑者は1日、イスラム過激派に対し、西側、ロシア、シリア、イランに対抗するため、内部分裂を克服し、力を結集するよう呼びかけた。だがイスラム過激派が内部の対立を忘れ、共同戦線に立てるのかについては、疑問が残る。

 「ロイター」通信によると、ザワヒリ容疑者の呼びかけは、イスラム過激派組織と関連のあるウェブサイトに投稿されたという。

 「アメリカ人、ロシア人、イラン人、アラウィー派、『ヒズボラ』は、我々との戦いで結束している。我々が内部の対立を止め、敵に対して努力を結集させることはできないのだろうか」とザワヒリ容疑者。この呼びかけがいつ記録されたのかは不明だが、ロシアについて言及があることから、シリアで軍事作戦を開始した2015年9月30日以降のようだ。

 イスラム過激派がどれだけ団結できるのかについて、意見はさまざまだ。中東の過激派の一部がここ何年も、内部紛争に揺るがされている一方で、アルカイダは他の過激派組織にとっての大きな潜在性と魅力を維持しながら、活動形式を変えている。これがアルカイダの下部組織周辺へのイスラム過激派の集結の一因になるかもしれない。

 

「誰への呼びかけにもなっていない」

 中東の過激派の結束を阻んでいるのは、経済危機を背景に近年強まっている資金の流れの管理をめぐる競争である。また、イデオロギーや宗教観の相違も多々ある。このような状況で「誰への呼びかけにもなっていない」と話すのは、ロシア戦略研究所アジア・中東センターのエレーナ・スポニナ・センター長。

 同時に、アメリカ、ロシア、他の「忠実ではない」者への対抗の呼びかけ自体に、別段真新しいことはない。戦略的評価・分析研究所のアジア専門家であるセルゲイ・デミデンコ氏によると、イスラム過激派のコンセプトにおいて、西側諸国とロシアはいわゆる「戦いの地」であり、ジハードすなわち聖戦を常に行わなければならないのだという。イスラム過激派はすべての敵対者に対しても、このような方針を維持している。

 

アルカイダの動員

 ザワヒリ容疑者の呼びかけは、「イスラム国(IS)」との競争におけるアルカイダの「点数稼ぎ」だという意見もある。つまり、ISがエジプト東部のシナイ半島でロシアの旅客機を墜落させたとの声明を発表したため、アルカイダが独自の反応を示した、というのである。

 「アルカイダは動員し、戦いの前面にも出て、点数を稼ごうとしている」とロシアNOWに話すのは、アメリカ・カナダ研究所中東紛争分析センターのアレクサンドル・シュミリン・センター長。アルカイダの動員はシリアとイラクでイスラム過激派と戦っている勢力にとって問題になり得るし、西側諸国およびロシアにおける攻撃にもなり得るという。

 

ロシアにとっての脅威

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 アルカイダの戦闘員が、中東の強力な組織の戦闘員、ISと協同できるのかについて、専門家の意見は異なる。ISの非妥協性および過激主義、また過激派組織の指導者の競争が、これを阻む。指導者の競争は、ISが当初、アルカイダの支流として登場したことで、深刻になっている。

 一方で、ザワヒリ容疑者は9月上旬、アルカイダはISを認めないものの、西側に対抗するために結束する用意があると言っていた。この結束は、アルカイダの活動形式を変える一因になるかもしれない。

 ロシア科学アカデミー東洋学研究所のウラジーミル・ソトニコフ氏によると、アルカイダは近年、中央集権的な組織ではなくなってきており、地域の支部の自立性が増しているという。これによって、地域の支部が、ISを含む状況に応じた同盟と積極的に手を組むことが可能になっており、過激派のすべての敵(ロシアを含む)にとって、脅威になっている。ロシア国内にはすでに、アルカイダ関連の秘密の下部組織があると、専門家は考える。「アフガニスタンとパキスタンを通じて、北カフカスを中心とするロシアのイスラム過激派に、何らかの資源が供給されている」とソトニコフ氏。ロシア国内での攻撃は、送りこまれる戦闘員ではなく、すでにロシアにいるイスラム過激派によって行われる可能性があるという。イラクのテロ集団が関与していると考えられている、2013年12月にボルゴグラードで起こった2回のテロに、ソトニコフ氏は改めて言及した。

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