アサド電撃訪露の意味するもの

AP通信撮影
 ロシアのシリアでの軍事活動は、かつてない外交攻勢をもともなうことになった。シリアのバシャール・アサド大統領の電撃訪露およびプーチン大統領との会談は、アメリカとその同盟国にとり不意打ちとなった。

 10月20日のセンセーショナルなアサド電撃訪露の詳細は、 翌21日、クレムリンの大統領広報部とシリア大統領府で明らかにされた。シリア大統領府の伝えるところによると、非公開の一対一の首脳会談、拡大会議、ワーキングディナーの3つの会談が行われたという。

 「シリア国民は事実上単独で、既に数年間、国際テロリズムに抵抗し、戦ってきており、甚大な損害を被っているが、最近は大きな成功を収めている」。プーチン大統領はアサド大統領との会談の席で、こうした判断を示した。

 またプーチン大統領は、シリアの「政治プロセスに応分の貢献をする」用意があることを確認。その際、ここで問題になっているのは、長いスパンの正常化だと説明した。

 この会談に対するヨーロッパの反応は控えめだった。「ロシアは、シリア国家を保てるような展望を切り開かねばならないのだろう」とドイツのシュタインマイアー外相は声明するにとどまった。

 米国の反応はネガティブで、「ロシアは、自国民に化学兵器を使用しているアサド大統領の前に、赤い絨毯を敷いてやる必要などなかった」とホワイトハウスは述べた。

 最も激しい反応はトルコからのものだった。「シリア国民がアサドから一息つけるように、彼がもっと長くモスクワに留まっていたほうがましだったろう」。こうトルコのアフメト・ダウトオール首相は言った。

 

政治的シグナル

 今回のクレムリンでの会談およびそれを取りまく状況について、専門家らは、外交攻勢開始のシグナルだと受け止めている。 

「アサド訪露には2つの側面がある。イメージ的なものと政治的なものだ。前者について言えば、ロシアはこの訪問によって、アサド氏は合法的に選ばれた大統領であることを想起させようとしている。しかも、この大統領は決して孤立していない、と」。こう説明するのは、PIRセンター理事のドミトリー・ポリカノフ氏だ。

 この会談の政治上のサインはというと、氏によれば、「ロシアとアサド氏抜きでシリアを正常化させるのは不可能であることを思い起こさせること」

 「クレムリンでの会談は、第一に、アサド氏はロシアにとって特別なパートナーであり続けるとのシグナルを示すもの。今回の訪問で、アサド早期退陣をめぐる議論は止むはずだ」。ロシア外務省の元第一次官で政治研究センター所長を務めるアンドレイ・フョードロフ氏はこう述べる。

「第二に、これはイランに向けての重要なジェスチャーでもある。イランはつい最近まで、ロシアはある段階に至ると西側との取引のためにアサドを引き渡しかねない、との深刻な疑念を抱いていたから」

 フョードロフ氏によると、今回の訪問の状況自体が特別な意味をもっているという。「今回の訪問は、予め発表はされなかったが、公になされ、我々はそれを隠そうとはしなかった。そうすることもできただろうが。こういう尋常ならざるデモンストレーションを行うことでロシアは、自分の手持ちのカードをはっきり並べて見せた」。同氏はこう付け加えた。

 

急遽ウィーン会談開催へ

 ロシアがこういう予想外の外交で「配当金」を手にできるかどうかは、23日に予定されるロシア、米国、サウジアラビア、トルコの各国外相によるウィーン会談で明らかになるだろう。

 ウィーン会談の開催を呼びかけたのは米国だ。この会談は、その性格からして、カタールの首都ドーハで初めて試みられたフォーマットを拡大したものになる。カタール会談に参加したのは、ロシアのラブロフ外相、米国のケリー国務長官、サウジアラビアのジュベイル外相だった。ラブロフ外相はその会談の席で初めて、プーチン大統領のイスラム過激派対策の詳細を示した。その骨子は、シリアとイラクの政府軍、クルド人、その他の近隣諸国が参加して広範な統一戦線を築くというものだった。

 だがこの計画は、米国が率いる同盟国に受け入れられず、その後ロシアは、シリアで単独行動を展開するようになった。

 コメルサント紙の得た情報によれば、ウィーン会議に向けてロシアは、他の国、とくにイランを招くように提案したが、米国はこれを「歓迎しなかった」という。結局、招かれたのはトルコのみとなった。

  

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