知事に犯罪集団の結成容疑

Viacheslav Prokofiev/タス通信
 ロシア連邦コミ共和国のヴャチェスラフ・ガイゼル首長が、組織犯罪グループを結成した容疑で逮捕された。知事レベルがこれほどの容疑で起訴されるのは、最近のロシア史では初めてのことである。ガイゼル首長以外に、14人も拘束されている。

 ロシア連邦捜査委員会は19日、ガイゼル首長率いる組織犯罪グループの19人を立件。うちガイゼル首長含む15人を勾留。別の一人を自宅軟禁とした。捜査委員会は残りの容疑者も探し、拘束すると伝えている。

 拘束された容疑者の中には、副首長(副知事)、共和国副議長、議会議長、元連邦上院コミ共和国代表など、コミ共和国の幹部がいる。

 

60キロと時計150

 本件はロシア連邦刑法典第210条「犯罪集団」および第159条「詐欺」にもとづいて、刑事事件として立件された。捜査委員会によると、捜査活動を始めたのは9年前だという。捜査委員会のウラジーミル・マルキン報道官は、ロシアの3地域で捜査員がロシア連邦保安庁(FSB)の職員とともに、80件以上の捜査を行ったと説明。

 捜査の過程で、宝飾品60キロ以上、3万ドルから100万ドルまで(約360万円から1億2000万円まで)の時計150本、オフショア用の会社の社印数十個、10億ルーブル(現行レートで約19億円)以上の横領資産を合法化する財務書類を押収した。

 マルキン報道官によると、容疑者の活動は地域および国を超えるといった規模の大きさ、階層構造化された犯罪組織、幹部とグループのメンバーの団結および密な連携などで、他とは異なっていたという。

 「タス通信」は共和国の捜査当局の関係筋の話として、ガイゼル氏の事件は何年にもわたり、大物役人や地方幹部が立件された多数の汚職事件の資料から少しずつまとめられていった、と伝えている。「ガイゼル・グループ」の利益は、多くの収益性の高い企業やエネルギー・住宅整備分野までおよんでいたという。共和党検察の関係筋によると、ガイゼル首長や他のメンバーには、コミ共和国の養鶏場および複数のホテルなどの企業を違法に民営化させた疑いがかかっているという。また、共和国内の他の企業に対する違法な対応も容疑に含まれている。

 

汚職防止がうまくいっていない証拠?

 ガイゼル事件は汚職防止に効果がないことを証明していると、政治研究基金「民主主義のための情報科学(INDEM)」の研究者で汚職問題に取り組んでいるウラジーミル・リムスキー氏が、ロシアNOWに話した。「ここで最も重要な点は、捜査委員会の公式報道でも伝えられているように、役人が大勢加わっていたこのグループが、9年も活動できたということ。グループは活動していなかった、つまりすべてがでっちあげだったか、または仮にグループがあったとしても、それなら、(コミ共和国で)財産や公共調達に関係していた誰にも周知のことだったはずだが、そんなことは何もなかった」

 リムスキー氏は、これを何らかの汚職グループの話であって、文字通りの階層構造化された犯罪組織の話ではないと考えている。コミ共和国の幹部がまとめて逮捕されたために、組織犯罪グループと呼ばれたのではないかという。これが本当に組織犯罪グループだったのなら、その長き活動期間は司法当局の活動がずさんであることを証明している、と。

 

長く骨の折れる証拠収集作業

 一方で、司法当局に勤務していた全国反汚職委員会のキリル・カバノフ委員長は、知事レベルを起訴する場合、「長く骨の折れる証拠収集作業」が必要だと考える。「今回は大統領の推薦も受けていた人物の話。そのため、書類一式を大統領にも提出する必要がある」と話し、ガイゼル氏の逮捕に長い時間がかかった理由を説明した。

 刑法典の「犯罪集団」の条項はこの場合、汚職事件を「予算資金からの収入の受領」にもとづく「多層ビジネス」として捜査する、適切かつ比較的厳しい条項になるという。その汚職の構図は、役人および政治家、ビジネスマンが加わる、高度に組織化された体系だと、カバノフ委員長は説明する。だが、ロシアの刑法典には穴があり、予算資金の横領の懲罰を罪の重さに比例させるような条項がないのだという。

 

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ヴャチェスラフ・ガイゼル氏

 ヴャチェスラフ・ガイゼル氏は、ドミトリー・メドベージェフ大統領(当時)の推薦により、2010年にコミ共和国の首長に就任した。2014年に得票率80%で再選。与党「統一ロシア」最高評議会の会員。