ウクライナ南東部で独自に選挙

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 ウクライナ南東部のドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国の代表は、ウクライナの統一地方選(10月25日)とは別に、独自の選挙を実施することを決定。ウクライナ政府はこれがミンスク和平合意への違反であるとして、批判した。専門家は、選挙の実施が紛争の凍結および対ロシア制裁の延長につながり得ると考える。

 ルハンシク人民共和国で11月1日、ドネツィク人民共和国で10月18日に選挙を実施する法令に、それぞれの共和国の最高指導者が署名した。選挙はミンスク和平合意に違反していないと主張している。

 選挙は複数の段階を経て、2016年に完了する。ウクライナ南東部の「分離領域」での選挙は、ウクライナ紛争の政治的解決をめざすミンスク合意の重要な要素である。最近の合意によると、選挙の実施手順は、ウクライナ政府と南東部の直接対話によって定められなければならないが、対話はまだ実現していない。選挙はウクライナ法および南東部の地位に関する特別法の規定にしたがって行われなければならない。

 特別法の施行は、キエフの決定により、ミンスク合意によって定められる選挙前ではなく、選挙後になった。それも、キエフの定める条件で選挙を実施した場合の話だ。それは両共和国の居場所が事実上なくなることを意味するため、代表らは断固反対している。

 ロシアのメディアグループ「RBC」によると、両共和国はミンスク合意の政治ステップを踏むよう求めている。具体的には選挙に関する新法の採決、特別な地位に関する法律の施行、憲法改革、恩赦である。これは、両共和国が、譲歩の可能性――すなわちウクライナ政府の立場にも合うような選挙の実施――を協議できるプラ​​ットフォームである。

 

「国の基盤」

 ウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、両共和国の最高指導者の決定についてコメントしながら、ロシアに対する制裁を強化するよう呼びかけ、またこの選挙と昨年11月2日に行われた両共和国の最高指導者の選挙を比較。昨年の軍事衝突の激化と2014年9月づけのミンスク合意の破綻の理由を、この選挙に見いだした。

 ドネツィク人民共和国のアレクサンドル・ザハルチェンコ首相は、選挙の意義について話しながら、「これらは概して国にとって重要」だと述べた。「これらの選挙によって建国の段階を終了する。これは我々が築いてきた基盤の石であり、今後は壁と屋根を構築していく。選挙後に自立した国を披露する」とザハルチェンコ首相は、選挙に監視団を招き、公正かつ民主的に行うことを強調し、このように述べた。

 

かけひきの道具

 投票日はすでに発表されたが、専門家は南東部とウクライナ政府がこの問題について歩み寄ることは可能だと考える。フランスのパリで10月2日に行われる「ノルマンディー形式」(ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナ)の4者協議によって、多くが変わってくる。「高等経済学院」世界経済学部のアンドレイ・スズダリツェフ副学部長によると、ウクライナ政府にとっての選挙の重要性と、新たな対ロシア制裁の呼びかけを考えると、選挙はノルマンディー4者協議のための”かけひきの道具”になっているという。選挙について合意できれば、紛争の長期的な凍結や、軍の実際的な撤退につながる可能性もある。

 だが合意できないからといって、必ずしも戦闘が再開するわけではない。というのも、「紛争の激化はウクライナにもロシアにも大きな損害を与える」からだと、スズダリツェフ副学部長は考える。紛争はいずれにしても、沿ドニエストルのモデルにしたがい、凍結される。沿ドニエストルでは、政治的解決のない状態で、未承認国家が20年以上も事実上存在している。

 

制裁の延長

 ウクライナ世界戦略研究所のヴァジム・カラショフ所長によると、今のところ「ウクライナ法に則って選挙が行われる仮説的可能性」は10月2日の協議も含めて残っているという。

 不可能になった場合は、沿ドニエストルのシナリオがくりかえされる可能性もやはりあるという。「選挙が独自に実施された場合、ミンスク合意は破断する。そして紛争が凍結される。ミンスク和平合意の不履行は何を意味するか。これは(欧米による対ロシア)経済制裁が1月末まで延長され、ウクライナが国境管理を取り戻せず、停戦ラインが中途半端な境界になるということ。つまり沿ドニエストル」とカラショフ所長。