同盟国にはならず友好国のまま

AP通信 撮影

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ロシア外務省は、ローザンヌでのイランと「6ヶ国」(国連安保理常任理事国+ドイツ)の協議では「イランの核開発計画をめぐる状況の最終的な解決に関する政治的な枠組み合意をまとめることができた」と公式に声明した。ロシアは、この歩み寄りをロシアがつねに主張してきた国際問題への政治的・外交的アプローチの勝利と受けとめているが、専門家らは、歩み寄りによって最大の利益を得るのはロシアではなく欧州連合(EU)であるとみている。

 ロシア外務省は、イランと「6ヶ国」によって達せられた合意を国際問題への政治的・外交的アプローチの勝利と位置づけている。ロシアは、まさにこれを求めていた。ロシア外務省は、今後のすべての措置がセルゲイ・ラヴロフ外相によってかつて提案された段階性と相互主義の原則に基づいて講じられる点を指摘している。ロシアは、イランの核開発計画に関する合意達成後にイランが地域の問題や紛争の解決により積極的に参加する可能性があると見ている。

 

“外交的勝利”は何をもたらすか? 

 一方、ロシアの専門家らは、制裁解除後のロシア・イラン関係の将来についてさまざまな見方をしている。

 政治紛争予想解決研究所の専門家であるアレクサンドル・クズネツォフ氏は、ロシアNOWへのインタビューでこう述べた。「この一年、イランは、主に米国と交渉を行い、ロシアは、6ヶ国の一部であったとはいえ、ほかの問題の解決に取り組んできたので、イランの核開発計画に関する合意の締結がロシアの国際的イメージに影響を及ぼすことはない」

 しかし、同氏は、現在ロシアで語られている米国とイランの考えられる接近に関する懸念は時期尚早であるとし、「オバマ氏はイランとの緊張緩和を望んでいるものの、アメリカ政府はイランの拡張を抑える政策を行っている」と述べた。

 一方、クズネツォフ氏は、「6ヶ国」との合意調印後のロシア・イラン関係の急展開も予想しておらず、こう述べる。「たしかに、ロシアとイランの間の政治的な協力関係は今もあり、イランの高官が定期的にモスクワを訪れており、ロシアはイラクに軍事・技術協力を行っており、両国はアサド政権への支援の面で協力している。しかし、戦略的パートナーシップについて語るのは時期尚早であり、イラン側には不満の理由がある。たとえば、イランは、上海協力機構(SCO)への加盟を目指しているが、ロシアは、カザフスタンと中国が反対していることから、この面であまりイランを援けようとしていない」

 

最大の配当を得るのはEU

 経済分野における二国間協力にしても、抑制要因がある。クズネツォフ氏は、次のように述べる。「ロシアは、これまでイランにおける自国の立場を強めるために制裁の期間を利用することはなく、今後は、EUや中国の側からの競争に晒されるため、可能性が狭まる。ロシアが必要とされるのは、平和利用される原子力、鉄道、電力といった一連の分野に限られ、合意の締結によっていちばん得をするのはEUである」

 イランから制裁が解除されれば、ロシアはイランにおいて西側諸国との競争に晒されることになり、イランには「駆け引きのためのより幅広いフィールド」が現れる。フョードル・ルキヤノフ外交・防衛政策会議議長は、ガゼータ・ル紙にそのように語った。

 ロシア科学アカデミー・世界経済国際関係研究所の主任専門家であるアレクセイ・アルバトフ氏も、同様の見方をしており、こう述べる。「経済協力を拡大することはできるが、武器の販売ではロシアが優るとしても、ほかの問題においてイランは自らの関係を拡大していつでも日本や米国に働きかける可能性がある」

 独立国家共同体(CIS)諸国研究所・カフカス部長のウラジーミル・エフセエフ氏は、もっと楽観的であり、ロシアNOWの取材に対し、イランからの制裁解除はすみやかに行われるわけではないので、ロシアにとって現在イランとの関係における可能性の窓は開かれているとし、次のように述べた。「秋にはブーシェフル(ブシェール)原発におけるもう一つの発電ユニットの建設が開始され、鉄道の改修に関するイラン側からの提案もある。両国は軍事協力の拡大を視野に入れており、海軍や空軍のための兵器の供給やミサイル防衛の整備も考えられ、合同の演習や兵員の訓練も実施されよう」