ウクライナ東部で停戦なるか

ロイター通信

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ロシア、ウクライナ、ドイツ、フランスの首脳が「ノルマンディー4者協議」後に発表した、ウクライナ東部の停戦合意は、15日午前0時(現地時間)に発効する。しかしながら、ロシアの軍事専門家は、停戦を妨げ得る要因があると指摘。その一つとなるのが、「デバリツェヴェ包囲圏」をめぐる状況である。

 ウラジーミル・プーチン大統領はベラルーシの首都ミンスクで12日昼(現地時間)に会見し、重火器の撤退、紛争当事者の間への安全保障地帯(緩衝地帯)の設置を含む、協議の結果を説明。215日午前0時からの停戦という「重要な部分で合意できた」と語った。

 プーチン大統領は同時に、いわゆる「デバリツェヴェ(ロシア名はデバリツェヴォ)包囲圏」をめぐる状況についてロシアとウクライナが異なった解釈をしているとして、困難の存在を指摘した。東部義勇軍によると、東部デバリツェヴェ市周辺で、数千人のウクライナ軍大部隊が包囲されているという。

 ウクライナ軍による「包囲圏」突破の試みがウクライナ東部の情勢を複雑化し、停戦合意に暗雲を投げかける可能性についても、プーチン大統領は指摘した。

 

行き詰まった状況

 アナリストによると、キエフ(ウクライナ中枢)はウクライナ軍が包囲されているという事実を認めたがっておらず、それが状況を行き詰まらせるという。

 軍事専門家のヴィクトル・ムラホフスキー氏は、状況判断のために現場に軍事専門家を派遣することが解決策になり得ると考えており、プーチン大統領もそれを提案していた。

 

 ただし、専門家の任務を成功させるためには、まず停戦発効を待つ必要があると、ムラホフスキー氏は強調する。発効なしに任務を遂行するのは無理だという。今のところ、停戦意欲を示すようなシグナルは、当事者からあまり発せられていない。 13日の時点で、東部義勇軍も、ウクライナ軍も、相手側からの銃撃が続いていると訴えていた。

 キエフが包囲を認めたがらないのは、政治的理由と心理的理由があると、専門家は考える。この状況はドネツィク空港周辺で何ヶ月も続いた衝突をほうふつとさせる。ここに戦略的意義はなかったが、キエフにとって対東部義勇軍戦の重要なシンボルとなっていた。ウクライナ軍は結果的に、空港のコントロールを維持できなかった。

 

包囲圏からの撤退

 ウクライナ軍を「包囲圏」から撤退させる必要があると、専門家は強調する。「独立新聞」の軍事オブザーバーであるウラジーミル・ムヒン氏によると、現地の地形の難しさにより、ウクライナ軍が自力で突破できる可能性はほぼなく、突破を試みれば多大な損害を招くことになるという。

 この時、専門家はドネツィク空港周辺で起きたできごとを思い出しながら、デバリツェヴェの別の成り行きを予測する。政治・軍事分析研究所のアレクサンドル・フラムチヒン副所長によると、ウクライナ軍は空港の時のように、長期間、場合によっては数ヶ月、そこに滞在した後、突破を試みる可能性があるという。

 

先行き不安

 概して今回の合意はこれまでの合意と同様、あまりうまくいかない可能性がある、とフラムチヒン副所長。外部勢力によっていわば押し付けられた形の合意であり、当事者のいずれも遵守に関心を持っていないとも言える。この時、キエフも東部義勇軍も、軍事面で望みを達成できておらず、またどちらの戦闘力もおとろえていない。フラムチヒン副所長はこれをふまえながら、15日以降おさまるであろう戦闘活動が、今夏にも再燃する可能性があると予測する。

 専門家は今回の合意の軍事的弱点として、ドネツィク近郊に沿った停戦ラインからの重火器の撤退が、義勇軍にとって、歩兵隊のみによる街の防衛を意味する点をあげる。これは、この領域における義勇軍の状況を脆弱にする。したがって、ウクライナ軍は停戦合意履行の大きな義務を負う。ウクライナ軍が最初に兵器を撤収しなければ、義勇軍の重火器撤収は自殺行為になってしまうのである。