ラブロフ演説を専門家はどう見る

写真提供:ロシア外務省

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第51回「ミュンヘン安全保障会議」が6日から8日までドイツ・ミュンヘンで開催され、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は中日の7日に演説した。ロシアの専門家は演説の内容を「厳しい」、「予想通り」と評価。ロシアはウクライナ情勢に限度を設けたため、あとはヨーロッパの断行を待つのみだという。

 ドイツのアンゲラ・メルケル首相とフランスのフランソワ・オランド大統領がロシアを訪問し、ウラジーミル・プーチン大統領とウクライナ情勢に関する緊急会談を行ったのは6日。タイミングをほぼ同じくして、ミュンヘン安全保障会議が始まった。

 緊急会談の詳細はまだ明らかになっていないが、ラブロフ外相はミュンヘンで「ロシアと欧州連合(EU)の連携は”強度試験”でもろさをあらわにした」と話した。これ以外にも、ヨーロッパ全土の安全保障やウクライナ情勢について発言を行ったが、楽観的なものはなかった。 ラブロフ外相の発言の裏には何があるのか。ロシアNOWが専門家に聞いた。

ラブロフ外相のメッセー

 ロシア科学アカデミー欧州研究所欧州安全保障部のドミトリー・ダニロフ部長は、ミュンヘン安全保障会議のラブロフ外相の演説が欧米に分水嶺を示したと話す。ロシアがウクライナ問題に対する自国の姿勢を根本的に覆すことはなく、欧米は「現実を受け入れる」ことが必要。また外交努力、特に「ノルマンディー形式」(ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの4者協議)での外交努力は行き詰まったため、ラブロフ外相が西側に対し、「いかにして面子を保ち、ウクライナと、またロシアと相互活動すべきか、という手がかり」を示した。欧米はウクライナ政府にもっと責任を負わせ、ウクライナの反政府派(現政権に反対している人々)との実際的な協議を始める必要があり、それ以外の道筋はないという。

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 欧米はこの仮説に耳を傾けるだろうか。恐らく、欧米との深刻な対立への用意が必要になる、と警告するのは、ロシア国立研究大学「高等経済学院」世界経済・世界政治学部のアンドレイ・スズダリツェフ副学部長。ヨーロッパはアメリカの同意、承認なしに行動を始めることができず、アメリカはロシアに対する強硬な発言を緩めることには反対している。「ロシアについての話題でヨーロッパとアメリカが割れることはないし、ヨーロッパにとって現在、ウクライナ問題に対するロシアの姿勢は主たる問題ではない」

 対立路線は続くと、国際人道・政治研究所のヴャチェスラフ・イグルノフ所長も考える。「そして恐らく、アメリカはラブロフ外相の演説を追加的な挑戦と受け止めるだろう」。だが演説は、「ロシアの現状をより理解しているヨーロッパに影響を与えることは確か。ヨーロッパはロシアについて、アメリカと対話を始めるであろう」という。

演説に変化はあった

 ロシアNOWが取材した専門家の誰もが、今回の演説で口調が強まった点を指摘していた。一方で、何ら新しいことをラブロフ外相は言っておらず、ロシアの外交政策の継続性を伝えただけだったという。

 政治・経済通信会社のドミトリー・オルロフ最高経営責任者(CEO)はこう話す。「演説は十分体系的だったし、ロシアは一貫している」。欧米がロシアを孤立させたり、国際的な問題の解決に対するロシアの影響力を弱めようとしたりする試みを受け入れられない、とロシアはかなり前から主張しており、「ラブロフ外相は、ウクライナ問題や他の問題についての協議に、さまざまな論拠、また厳しい論拠があることを示した」

 「このような厳しい演説は予想通りだったし、適切だった。今日、姿勢は明確になっており、国際的な協議において関係者が普通の議論をしても耳を傾けてもらえない」とイグルノフ所長。

 ダニロフ部長によると、メルケル首相はミュンヘン安全保障会議の演説の中で、ロシアに対する極めて批判的な西側の姿勢を何とか緩めようとしていたという。「もしかしたら、これは一定のシグナルかもしれない」が、ロシア政府もラブロフ外相も、今は西側のまったく異なる取り組みを待っている。「外交発言の弱化ではなく、歩み寄りに寄与するような実際的な行動」を待っているのだという。