「ミンスク形式は唯一の選択肢」

一部専門家は、ミンスク合意の崩壊が即破局であるとは考えていない。=ロイター通信

一部専門家は、ミンスク合意の崩壊が即破局であるとは考えていない。=ロイター通信

ウクライナ東部で再燃した戦闘は、次の休戦協定をもって鎮静化されなければならない。協定の唯一の現実的基盤となり続けるのは、ロシアおよび欧州安全保障協力機構(OSCE)仲介のもと、キエフ(ウクライナ)の代表とドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国の代表によって昨年9月19日に調印された、いわゆる「ミンスク停戦合意」である。

ウクライナ和平協議には複数の形式が存在する。

2014年春に登場した「ジュネーヴ形式」。ウクライナ、ロシア、アメリカ、EUの代表が出席する協議が昨年4月17日、ジュネーヴで行われた。

2014年夏に登場した「ノルマンディー形式」。6月のノルマンディー上陸作戦70周年の式典で初会談を行ったことにちなんで名づけられた。ドイツ、フランス、ロシア、ウクライナの代表が出席。

2014年秋に登場した「ミンスク形式」。キエフの代表と東部共和国の代表が直接対話を行い、ロシアとOSCEも加わって、昨年9月5日、停戦合意がミンスクで調印された。その後、合意の違反について非難の応酬が続いた。

 分析機関「外交政策」の共同運営者であるアンドレイ・スシェンツォフ氏は、ロシアNOWの取材に対し、こう説明した。「ミンスク合意の文言は協議の基礎となり続ける。それによると、ドネツィクとルハンシクはウクライナの一部のままであり、3年間で、当事者受け入れ可能な条件のもと、その再統合を実現しなければならない」

 しかしながら、既存のミンスク合意はほとんど履行されていない。両共和国の証言によると、ウクライナは調印後まもなく、東部義勇軍の支配下にある街で銃撃を始め、第1項(停戦)に違反。次に両共和国の封鎖を発動し、第8項、第11項(東部の人道状況改善措置および経済再生プログラムの適用)に違反した。

 さらにウクライナのペトロ・ポロシェンコ大統領は、義勇軍について、内戦の一当事者ではなく、テロリストであると主張しながら、第7項(包括的な国民対話)を拒み、さらに許すのは「手がウクライナ人およびウクライナ軍人の血で汚れていない」者のみとして、第6項(完全な恩赦)を拒んだ。

 このような状況で義勇軍は、第4項(ロシアとウクライナの国境にモニタリングを導入)、第9項(ウクライナ法にもとづいて選挙を実施)、第10項(ウクライナ領域からの非合法武装集団、軍事技術、民兵および傭兵の撤退)を拒否した。

 

新たな停戦合意の調印の必要性

 旧ソ連圏専門家のアンドレイ・エピファンツェフ氏はこう話した。「当初からミンスク合意は効力薄弱であったし、9月の状況に戻ることはもはや不可能である」

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 だが、一部専門家は、ミンスク合意の崩壊が即破局であるとは考えていない。「ミンスク合意はもともと、その後の確定および拡大の余地のある一種の枠組みとして考案された。具体的な項目を当時、誰も注視していなかった」と、ロシア国立人文大学のセルゲイ・マルケドノフ准教授は述べた。

 「ウクライナは義勇軍がさらなる攻勢をかけてくることを警戒しながら、パニック状態で合意に署名を行った。ポロシェンコ大統領は長期的な解決への準備ができていなかった」とスシェンツォフ氏。

 ただし、ミンスク合意の失効について話すのは時期尚早である。「ミンスク形式に替わるものはないという理由で、この形式は復活する。ノルマンディー形式、ジュネーヴ形式のいずれも、現実的な境界の線引き、日常的な検証対策の作成などの問題に取り組んでいない」と、ロシア連邦外務省国際関係大学政治理論講座のキリル・コクトィシュ准教授は話す。

 

戦闘状況いかんで

 ミンスク合意の今後は、戦闘の段階に依存する。「新たな暫定停戦については、東部共和国の地位に関する項目が明確に記されなければならず、非合法武装集団の撤退または9月の境界線などの他の項目を除去する必要がある」とエピファンツェフ氏。

 エピファンツェフ氏によると、キエフが軍事的に敗北した場合、またはポロシェンコ政権が戦闘を継続できなくなるデフォルトが起こった場合、東部共和国をウクライナの一部として維持する案を断念しなければならなくなり、さらに共和国が期限切れにともない、国際法上の封鎖なしかつ平和的な構成主体となる協定を結ばなければならなくなる。キエフが自国の領土に対する主張を変えない場合、戦闘凍結および東部共和国の沿ドニエストル化の話になる。