PACE脱退の可能性は

ロシア議会下院国際委員会アレクセイ・プシュコフ議長=ミハイル・ジャパリドゼ撮影/タス通信

ロシア議会下院国際委員会アレクセイ・プシュコフ議長=ミハイル・ジャパリドゼ撮影/タス通信

ロシアが欧州評議会議員会議(PACE)の脱退を決定する可能性がある。フランス・ストラスブールで1月28日、ロシア代表団のアレクセイ・プシコフ団長がこれをほのめかした。しかし、ロシアはPACEとの協力の重要性を理解しており、脱退は一時的なものではないかと、専門家やヨーロッパの政治家は考える。

 ウクライナ情勢を受け、PACEがロシアの議決権を4月まで剥奪することを決定したことについて、プシコフ団長は「ロシアは年末まで活動を辞退する。PACEが全ヨーロッパ議会間対話に深刻な打撃を与えるような、不適切な決定を行ったことを祝福する」と述べた。さらにこう続けた。「ロシアではこれまで、欧州評議会の脱退の可能性を許容してこなかったが、PACEの決定はこの可能性を議題に置く」

 ロシア代表団の関係筋は、ロシアNOWの取材に対し、PACEが2014年に発動した制裁を延長することを決定した場合、PACEへの参加について原則的な決定をしなければならなくなる、と述べた。「ロシアをセッションからセッションへと移しながら、ロシア代表団を緊張状態に置き続け、PACEの議決権も完全な活動の可能性も与えようとしない」と話し、ロシアが欧州評議会に合わせようとすればするほど、相手方の新しい要求が増えると説明した。

 「PACEは明らかに実行不可能な一連の要求を可決した。クリミアのウクライナへの返還およびロシア軍のクリミアからの撤退の話なのだから」とロシア代表団のアレクセイ・アレクサンドロフ上院議員はロシア通信のインタビューで語った。

 ロシアは年間約3230万ユーロ(約43億1000万円)のPACE加盟費の支払いを停止すべきだと、ロシアNOWが取材した関係筋は考える。これはPACE予算の10.5%である。

 

ロシアの今後の動きは?

 ロシア代表団に対する制裁の延長は、ロシアの脱退の問題を議題に浮上させる。プシコフ団長は今年の年末まで、「政情に応じて」問題が検討されると話している。

 欧州評議会のトールビョルン・ヤーグラン事務局長は、プシコフ団長の発言に触れながらこう述べた。「どこかの国を欧州評議会から除外する、または欧州評議会から脱退するなどと、互いに脅しあうべきではないと考えている。現代ヨーロッパでこのようなことが起こり、我々が再び民族を分割し、互いを除外し合うようになるとは思えない。我々は今日目の前に立ちはだかっている問題を克服しなければならない」

 ロシア科学アカデミー情勢分析センター戦略評価部のセルゲイ・ウトキン部長は、ロシアがPACEから脱退することはないと話す。「欧州評議会の全般的意義については、PACEを批判する者たちでさえ、そのほとんどがまだ疑問を突きつけるところまではいっていない、という印象を受けている。したがって、”決裂”は以前と似たような形になる可能性がある。議員たちが、まだ“扉が閉ざされていない”議会の活動にさえ参加することを拒否するという」

 今のところ、ロシアにとって他のヨーロッパ組織の重要性は増す一方だ。「我々は現在すべての議会活動を欧州安全保障協力機構(OSCE)議員会議、地中海諸国議員会議に移しており、ここからヨーロッパの問題について積極的に対話することになる。何よりも安全保障アーキテクチャ」と、ロシア上院国際問題委員会のイーゴリ・モロゾフ委員は述べた。

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