ミハイル・クレメンチエフ撮影/タス通信
プーチン大統領は26日、ウクライナ東部で戦闘活動を行うウクライナ志願兵部隊について触れ、「これはもはや軍というより、外国人部隊、この場合はNATO外国人部隊であり、当然ながら、ウクライナの国益を目的としていない」と話し、さらにこう続けた。「あるのはまったく違う目的であり、ロシアの抑え込みという地政学的な目的の達成に関連している。それはウクライナ国民の利益とはまったく相いれないもの」
イェンス・ストルテンベルグNATO事務総長は同日、外交語とはかけ離れた表現を使いながら、プーチン大統領のこの発言を「たわごと」と呼んだ。
ウクライナの依存
プーチン大統領の発言には、ウクライナ政府の方針が自立していないことを改めて強調する狙いがあったのではないかと、ロシアの専門家は話す。「むろん、ウクライナ正規軍はNATOの組織ではないが、ウクライナ政権があまり自国の判断で活動していない実態を、プーチン大統領が指摘したのではないか」と、国家戦略研究所のヴィクトル・ミリタリョフ副所長はロシアNOWに説明した。
プーチン大統領が言わんとしていることは、NATO、特にアメリカが、「ウクライナ政権とその軍を、ロシアに対する地政学的挑発に利用している」ということだと、ミリタリョフ副所長。
アメリカがウクライナ軍とウクライナ志願兵部隊を使い、欧州連合(EU)の世界的競争力を下げながら、ロシアとヨーロッパの関係に亀裂を生じさせようとしている、という意味だったのではないかと、国家戦略評議会のヨシフ・ジスキン共同議長は考える。
インターネット雑誌「日刊誌」の副編集長で軍事専門家のアレクサンドル・ゴリツ氏は、プーチン大統領が発言によって無意識のうちにロシアを「紛争の参加者」にした、と考える。「戦闘が行われているのは、ロシアではなく、ウクライナ。ロシアを抑え込むことが目的だというならば、ウクライナ志願兵部隊は誰と戦っているのか」
欧米へのシグナル
専門家らは、今回の発言が以前よりも厳しい点を指摘する。ミリタリョフ副所長によると、プーチン大統領は明確に定められた目的のために、今回「最大限に厳しく」話している。また、ウクライナ政府の独立性の欠如を指摘しながら、ウクライナ情勢についての直接対話をアメリカに呼びかけているのではないかという。仲介形式の和平への取り組みが幾度となくブロックされたことを受けての、対話呼びかけの可能性もある。
ジスキン共同議長は、アメリカだけでなく、EUに対する呼びかけでもあると考える。「EUが半架空の大西洋連携にもとづくのではなく、EUの利益にもとづいて政策を構築すべきだという、シグナルを送っている」
一方で、欧米への呼びかけではないと考える専門家もいる。ゴリツ氏によると、プーチン大統領本人のいらだちが発言に反映されているという。「ノルマンディー協議」(プーチン大統領、ポロシェンコ大統領、メルケル首相、オランド大統領)の枠組みの中で紛争を凍結することができず、またそれによってウクライナのNATO非加盟を保証することもできなかったといういらだちだ、と。
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