マリウポリ砲撃で再び世界が注視

マリウポリ市ヴォストチヌイ団地に落ちたグラードミサイル、1月25日。=AP通信撮影

マリウポリ市ヴォストチヌイ団地に落ちたグラードミサイル、1月25日。=AP通信撮影

ウクライナ東部のマリウポリ市で24日、砲撃があり、少なくとも30人の一般市民が死亡した。欧州安全保障協力機構(OSCE)の監視員は東部義勇軍に非があるとしている。専門家は、対ロシア経済制裁の緩和あるいは解除の可能性が遠のいたと考える。ただ、ヨーロッパには経済問題も山積している。

 ウクライナ東部で衝突が発生し、悲劇および両当事者の非難の応酬がくり返されることとなった。住宅地への砲撃によって、少なくとも30人の一般市民が死亡。OSCE監視員はすぐに、義勇軍による砲撃であると主張した。 

 砲撃が起こる前に、ドネツィク人民共和国のアレクサンドル・ザハルチェンコ首相は、マリウポリへの攻撃開始について発表していた。ザハルチェンコ首相はその後、街を攻撃する意図はなく、作戦は「ウクライナ軍の拠点を抑え込む」ことを目的とした、挑発への対抗策だと説明した。

 義勇軍とロシアへの非難があるものの、ロシアの立場は、いまだに表明されていない。

 

ロシアの沈黙

 ロシア科学アカデミー世界経済・国際関係研究所国際安全センターのアレクセイ・アルバトフ所長は、ロシアの沈黙をOSCE監視員への同意と解釈することも可能だと考える。今後立場を表明しようとしているようにも思えないという。「ロシアではOSCEの客観性が認められているし、OSCEの結論を証明とすることも多い。特に、ウクライナ軍からの銃撃を断定している時」。事象によって同意したり、反対したりと態度を変えれば、「ダブル・スタンダード」になるという。

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ウクライナとロシアの自己決定

 国際人道・政治研究所のヴャチェスラフ・イグルノフ所長は、ロシアNOWの取材に対し、マリウポリをめぐる「ダブル・スタンダード」はいずれにしても回避できないと考える。オデッサの労働組合会館で連邦化支持派の市民が焼死した時(昨年52日)は、「国際的な独立広場支持者からは、ほとんど反応がなかった」。その反対派は、これとちょうど対称的な態度をとる。だが今回のマリウポリの砲撃は、対ロシアで利用されることになると、イグルノフ所長。

 

独立調査を求める

 ロシアがこの事件に対して表明を行うと考えるのは、ロシア国立研究大学「高等経済学院」欧州・国際共同研究センターのティモフェイ・ボルダチョフ所長。いつも通り、控えめで、いかなる当事者側にもつかない表明になるという。

 「ロシアはこれまでと同様、独立調査の実施にこだわる。OSCE監視員が事件直後に述べたことは、そのような調査の結果になり得ない。徹底的な解明はされていない」

 

経済制裁は

 マリウポリ砲撃が1回限りの事件ではなく、この街や他の街を巻き込んでの大々的な攻撃の序章となった場合、欧米の反応は極めて厳しくなると、アルバトフ所長は考える。「そうなれば制裁の新たな波は避けられない。制裁に続いて、ウクライナへの兵器供給、またブルガリアやルーマニアを含む、東欧におけるNATOの軍事関与の強化などの対策が講じられる」。ただ、義勇軍の計画を理解することは簡単ではないという。「今日言っていることが、明日になるとまったく変わっている」

 イグルノフ所長は、義勇軍が攻撃に転じた場合、新たな経済制裁が発動される可能性があると考える。とはいえ、ヨーロッパにはユーロを崩壊させかねないギリシャという問題があるため、制裁はそれほど厳格にならない可能性があるという。ロシアとの関係悪化は、ただでさえ敏感な今のヨーロッパの経済指標を、さらに低下させる。

 新たな打撃は、欧州連合(EU)よりも、アメリカからもたらされる可能性がある。ロシアの経済紙「コメルサント」は、アメリカ国務省の消息筋の話として、ヨーロッパが仮に措置を取らなくとも、アメリカが独自にロシアをSWIFTシステムから外す可能性を排除しないと書いている。しかしながら、「軍事的な麻痺」の後に、協議をともなう比較的平和な期間が再び訪れる、と考えるロシアの専門家の方が、今のところ多い。