画像:ナタリア・ミハイレンコ
日本とロシアは2014年、困難を経験した。これは世界の地政学的状況や、両国関係の範囲外にあるさまざまな要因と関係している。アメリカ、西側諸国と日本の特別な関係もそうである。しかしながら年間を通じて、取り返しのつかなくなるようなことは、何もなされなかった。日本とロシアの関係発展の潜在性は変わっておらず、新しい側面が生まれただけである。
個人レベルの外交
両国関係の今後の発展に関連する、新たな瞬間もあった。まず、日本とロシアの十分に安定した内政がこれに寄与している。また、日本の安倍晋三首相とロシアのウラジーミル・プーチン大統領の間には、強い信頼関係も確立された。ウクライナ情勢を受けて生じた一定の対立、日本の対ロシア経済制裁にもかかわらず、両国の政治家の関係は変わらなかったし、十分に持ちこたえた。信頼は変わっていない。
首脳は個人的な接触の可能性を保持している。すなわち首脳同士の電話会談や、イタリア・ミラノのアジア欧州会合(ASEM)首脳会議、中国・北京のアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議で行われた会談である。また、プーチン大統領の2015年の日本訪問についても合意されている。
個人レベルの交流には大きな意義がある。そして生じた傾向は、今後数年継続する。安倍首相率いる日本自由民主党は、先の衆院選で単独過半数を確保し、少なくとも2018年までは現状を維持できる。
安倍首相は1月の基調講演で、世界情勢の概念すなわち世界のできごとに対する幅広い取り組みを伴う世界観を示した。この観点から、日本にとってロシアとの関係は重要になってくる。世界の状況はめまぐるしく変化している。それが顕著なのはアジア太平洋地域。ここ数年で、中国が強くなっている地域である。その際、日本にとって重要なのは、安全保障の観点からも、経済的利益の観点からも、人道的関係の観点からも、アジア太平洋諸国とのバランスのとれた外交の維持である。
ロシアはすでに、多くの地政学的な問題の解決において、日本の信頼できるパートナーとしての地位を確立した。世界の主要なできごとに対する両国の見方は、大筋合致していると言える。当然のことながら、ウクライナ問題のことではなく、他の個別の問題のことである。ロシアは国際問題において、異なる立場をとり、どちらか一方の側につかない。日本はそれを理解し、評価してくれている。
経済協力
日本とロシアの間では、経済協力の可能性がまだ実現されていない。二国間対話の内容にかかわらず、エネルギーの問題はそうである。サハリンと日本列島の間のガスパイプラインを建設するプロジェクトには、いくらかの進展がある。このガスパイプラインは、両国を長期的につなげてくれる。経済プロジェクトであるが、国際政治的な意味も含んでいる。ガス・パートナーシップにとって重要なのが高い信頼関係であることは、実績が示している。
他にもいくつかの画期的な分野がある。北極海航路を通じた貨物輸送がそうである。これは日本からヨーロッパへの商品発送を可能にする航路だ。
ドミトリー・ストレリツォフ、モスクワ国際関係大学教授(ロシア日本研究者協会会長)
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