EUをトルコに依存させるロシア

コンスタンチン・ザヴラージン撮影/ロシア新聞

コンスタンチン・ザヴラージン撮影/ロシア新聞

12月1日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領のトルコへの国賓訪問が行われた。それは、露土関係史上最短(わずか数時間)であるものの成果の面で極めて意義深い訪問となり、ロシアとトルコは、「サウスストリーム」に取って代わりトルコを地域で最大のエネルギー・ハブにする新しいガスパイプラインと総工費200億ドルの原発の建設に関して合意した。つまり、両大統領は、「サウスストリーム」の代替案を考えつき、EUは、ウクライナよりも野心的で力の強い新たな中継輸送国を得ることになる。

 専門家らによれば、12月1日のプーチン氏のアンカラ訪問およびトルコのレジェップ・エルドアン大統領との会談は、ロシアにとって最適な時に行われ、ロシア外務省・外交アカデミーの上級教員であるウラジーミル・アヴァトコフ氏はこう語る。「トルコの指導者が、ロシアとトルコの関係をこれほど温かく捉えているのは、おそらくアタチュルクの時代以降初めてでしょう。しかも、西側諸国をとても悪く言い、それらを侵略者呼ばわりし、イスラム世界に対するその私利私欲を難じながら…。それゆえ、トルコの一部のメディアは、すでに今回の訪問を孤独同士の出会いと評しているのです」

 EUの政策に不満を抱く「二つの孤独」は、EUに極めて有り難くないサプライズを贈った。先ず、ウラジーミル・プーチン氏は、記者会見でガスパイプライン「サウスストリーム」(輸送能力は約600億立方メートルとなるはずだった)の建設中止について声明し、「私たちは、その実現に対する障害が創り出されつつあるのを見て取っています。もしも欧州がそれを実現したくないなら、それは実現されないということです…。そんなことは何でもありません、結局、彼らが買い手なのですから」と述べた。

 石油ガス分野の専門家ドミトリイ・マルニチ氏によれば、「サウスストリーム」をめぐる状況において問題となっているのは、ロシアの降伏ではなく、EUの姿勢に影響を及ぼしてEUに「サウスストリーム」へ同意するかEUにとってはるかにより不都合な代替のパイプライン・プロジェクトを入手するかさせる試みである。ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長によると、プーチン氏の訪問の際、「サウスストリーム」経由で輸送される予定だった600億立方メートルのガスが黒海経由でトルコ方面へ輸送されることになるパイプラインの建設についての相互理解に関する覚書が調印された。その600億立方メートルのうち、140億立法メートルはトルコに留まり、残りはギリシャ方面へ運ばれる。

 本質において、ロシアにとってそれら二つプロジェクトの間に特別の差異はなく、どちらも、ウクライナをガス供給のスキーマから外すという枢要な問題を解決するものであり、費用も、だいたい同じである。もっとも、ロシアは、トルコ向けにはガスの価格を6%(噂ではトルコ側は15%を要求した)安くする義務を負ったが、それも、これだけ重要なプロジェクトであれば受け入れられる出費である。

 EUにとって「サウスストリーム」の建設中止は、経済的および政治的な損失を孕んでいる。第一に、一部の国は、中継輸送による収入を失い、プーチン氏によれば、ブルガリアは、年間4億ドルを損することになる。第二に、トルコは、ロシアやアゼルバイジャンそして将来的にはイランからもそこを経由してEUへ化石燃料が供給されるエネルギー・ハブに変わり、これらの輸送を管理することによって、トルコは、トルコのEU加盟の問題に関するものをはじめとする交渉で今よりはるかに有利に立てる。

 

ロシアとトルコの接近を促す背景 

 露土関係について述べるなら、ロシアとトルコは明らかに相互の国益の尊重に基づいて接近したい考えである。

 トルコにおけるロシアの設計に基づくアックユ原発建設のプロジェクトは、両国関係進展のシンボルとなりえ、プーチン大統領は、こう述べた。「このプロジェクトは、それが初めて『支払い、所有し、運転せよ』という原則に基づいて建設されている、つまり、ロシアの会社がその原発の所有者となる、という意味で、ユニークです。もちろん、それは、200億ドルという巨額の投資です」。なお、同原発の完成は、2022年の予定。

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世界情勢12/2報道

 専門家らは、トルコがロシアの陥った複雑な状況を利用しようとはしておらず南カフカスにおけるロシアの国益を尊重しつづけている点を指摘しており、モスクワ国立国際関係大学・カフカス問題地域安全保障センターのニコライ・シラエフ上級研究員は、こう述べる。「南カフカスに対するトルコのネオオスマニズムは過大評価され、アゼルバイジャンとの同盟関係の維持、グルジアに対する強い経済的および人道的影響力の保持、アルメニアとの係争と和解の均衡といった、南カフカスにおけるトルコの姿勢は、予測可能であり、トルコの際立った拡張といったものは、その地域には一切ありません」

 また、トルコは、最終的に、クリミア・タタール民族メジリスの反露路線への直接的支持を事実上拒否した。ウラジーミル・アヴァトコフ氏は、こう語る。「クリミアにおける住民投票およびクリミアのロシアへの編入の後、トルコの主だった政治家や外務省は、そうした行為の絶対的な違法性をさかんに訴え、ロシアは侵略をしてトルコが近年主張しつづけてきたクリミア・タタールの権利を制限しているとの非難の声が上がったが、クリミアをめぐる反露宣伝は、次第にトルコのメディアから姿を消しはじめた。経済協力の問題(クリミアの自由経済ゾーンへのトルコのビジネスマンの考えられる参加の問題を含む)が、国にとって優先的な問題だったのです」

 双方が合意できない唯一の問題は、シリア問題であるが、この面での意見の対立も、トルコとロシアの現在の協力のポテンシャルを凹ませることはできない。