DPA/Vostockphoto撮影
「ヴェドモスチ」紙は、欧州人権裁判所がロシアに対するウクライナの提訴を受理したと伝えている。
訴因の1つ目はクリミアのウクライナからの分離とロシアへの編入、その後のウクライナ東部の情勢に関するもの。また、エスニック・マーカーでのクリミア・タタールに対する差別、クリミアおよびセヴァストポリに暮らすウクライナ市民が自動的にロシア市民と認識されていること、ウクライナ市民のままでいたいと表明した人への圧力について、ウクライナはロシアを非難している。
ロシアはあわせて11条の欧州人権条約に違反している、との訴えである。
2つ目は今年夏に起きた、ロシアへの出国を目的としたウクライナ東部の3つの孤児グループの誘拐と考えられる行為に関するもの。
ロシアは与えられた4ヶ月で裁判資料を確認し、管轄機関の立場を考慮に入れながら回答を用意する。
「ガゼータ・ル」紙は、ヘルマン・ファンロンパイ欧州理事会議長が、ウクライナに地方分権を呼びかけたと書いている。
欧州連合(EU)のフェデリカ・モゲリーニ外交安全保障上級代表も最近、同じことをオーストリアの新聞のインタビューで述べていた。
ファンロンパイ議長は12月初めに退任するため、ヨーロッパの外交政策に影響をおよぼすことができなくなる。だが相次いで同じ要求がなされていることは、ヨーロッパ人の間でウクライナの問題に対する考え方が変わっていることを示しているのかもしれない。
ウクライナは最終的に国家分裂につながることを懸念し、中央集権的性質の変化を否定している。そのため、不快感をもって、ヨーロッパの政治家の声明を受け止めている。
ウクライナ世界戦略研究所のヴァジム・カラショフ所長によると、ウクライナはこの声明を静かな不満をもって受け止めている。ヨーロッパはウクライナの連邦化と引き換えに情勢を解決させ、ロシアとの関係を復活させようと試みているという。また、ウクライナ政府は社会の人質となっているため、現状での連邦化受け入れは不可能であるという。
「世界政治の中のロシア」誌のフョードル・ルキヤノフ編集長は、EU関係者の声明がヨーロッパの反ロシア的ムードの弱まりではなく、親ウクライナ的ムードの弱まりを示していると説明した。これはウクライナで改革が進まないことへの失望感と関係しているという。
「コメルサント」紙は、ドイツのアンゲラ・メルケル首相が再びロシアを厳しく批判したと伝えている。
メルケル首相は、「ロシア側の行動はヨーロッパの平和に疑問符を与え、国際法に違反する」と述べた。ただ、ロシアに対する経済制裁は依然として不可欠であることを強調しながらも、ロシアとの協議継続には賛成している。
メルケル首相の要求により、12月1、2日に予定されていた、ロシアとドイツの市民社会フォーラム「サンクトペテルブルクの対話」調整委員会の幹部の会合が中止となった。2001年から続いている「サンクトペテルブルクの対話」は、グルジア問題で揺れていた時期でも行われていたが、ウクライナ情勢を受けて、10月29~31日にソチで予定されていた今年のイベントが、初めて中止された。
メルケル首相は「サンクトペテルブルクの対話」の改革の必要性を訴えているが、ロシアの調整委員会の委員はこの要求を否定的に受け止めている。ドイツのフランクヴァルター・シュタインマイアー外相は、フォーラムを通じたロシアとの相互活動の継続の必要性を強調している。
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