AFP/East News撮影
11月18日にウィーンで始まったイランの核計画に関する大詰めの協議で、交渉参加国は、イランに対する西側の制裁解除の期限とメカニズムについて合意できなかった。イランは、協定調印後に制裁が直ちに解除されるよう主張したが、西側は、これを認めなかった。交渉では、イランが核施設に保有することを許された遠心分離機の数についても激しく議論された。結果として、期限とされる11月24日までに包括的合意に至ることはできず、六ヶ国は、近日中にイラン問題に関する今後の措置を定めることになった。
ロシアNOWの取材に応じた専門家らは、交渉参加国が期限までにイランの核問題に関する最終合意に調印できなかった主な原因は、各国が交渉の成功を望んでいることを理解しつつも互いに圧力をかけあった点にある、とみなしている。ロシア科学アカデミー・東洋学研究所の研究員であるスタニスラフ・プリトチン氏は、交渉の成功をいちばん望んでいたのは米国とイランである、とし、こう述べた。「バラク・オバマ大統領にとっては、イラン問題の解決は最近のアメリカの中東外交の失敗を埋め合わせるものとなり、ハサン・ロウハーニー大統領にとっては、選挙公約を守って制裁撤廃という結果を国民に示すことが肝要なのです」。また、世界経済国際関係研究所・国際安全保障センターのアレクセイ・アルバートフ所長は、核問題に関する交渉で進展が見られなかった原因は露中と西側の関係における地政学的な緊張にある、とし、こう語る。「現在、西側とイランというよりも六ヶ国内で鋭い対立が見られています。イランは、これを承知しており、西側やロシアの圧力を和らげるべく姿勢を硬化させているのです」。
イランの核計画に対するロシアのアプローチ
ロシアNOWの取材に応じた専門家らの考えは、ロシアはイランに関する交渉の全期間を通じて建設的かつ一貫した姿勢を取ってきたという点で一致している。11月24日のロシアのウラジーミル・プーチンとイランのハサン・ロウハーニーの両大統領の電話会談も、このことを裏づけており、双方は、イランの核計画に関する対話の継続に対する希望を表明した。
スタニスラフ・プリトチン氏は、「私たちにとって重要なのは、イランに対する制裁が解除されることによってロシアとのより緊密な経済関係の可能性が開かれることです」と述べ、逆に、アレクセイ・アルバートフ氏は、イランに対する制裁の撤廃はロシア経済にとってマイナスの影響を及ぼしかねない、とし、「イランが安い石油で世界のエネルギー市場を満たせば、ロシアの経済はいっそう深刻な打撃を蒙ります」と語り、さらに、西側はロシアにウクライナ問題で妥協させたい考えである、とみなしている。PIR-政治研究センターの専門家であるアンドレイ・バクリツキイ氏は、イランに対する制裁の解除およびその結果として考えられる石油価格のさらなる下落はロシアに対する圧力のツールとして利用されるとするアルバートフ氏とは意見を異にし、こう述べる。「ブシェールに続いて、ロシアは、イランで新たな核施設の建設に着手しているので、最終合意の達成とイランに対する制裁の撤廃は、逆に両国の協力の可能性を拡げます」。
ともあれ、専門家らは、交渉継続の重要性を謳った何らかの中間的な合意が近く調印されるとの見方では一致している。
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