中国のAP地域統合アプローチ

ロイター通信

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北京で開かれていたアジア太平洋経済協力(APEC)首脳会議が11日に閉幕した。この会議は中国がアジア太平洋(AP)地域でリーダーの座を目指していることを示した。その主な要因となっているのはアメリカの緩慢な立場、ロシアの中国との戦略的協力路線およびロシア極東発展路線。

APECの首脳宣言は、「地域経済統合の促進、多方面貿易システムの支援、あらゆる保護貿易主義への対抗、地域貿易分裂防止措置をAPECに期待する」と強調した。

 この呼びかけの答えとなるのがアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)創設プロセスの開始であり、APECのFTAAPへの投資ロードマップが追加事項となっている。議長国の習近平主席も、これが会議の主な成果だと述べた。

 これは中国の主な成果でもある。アジア太平洋地域の統合についての話はAPECが創設された時からあったため、すでに25年も経過していることになるが、中国はこの取り組みを会議で形作り、実現を主導しようとしている。

 中国の提案は、アメリカの環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の代案である。TPPも自由貿易圏で、アメリカ、日本、またこの地域のアメリカに近い国が参加しているが、中国とロシアは入っていない。

 アメリカのバラク・オバマ大統領は2年前、アジア太平洋地域を自国の利益がからむ重要な地域と呼び、中国抑制システムを構築している。このシステムの大部分はヨーロッパの関係を模倣しているものである。ヨーロッパでは欧州連合(EU)の領域が、北大西洋条約機構(NATO)の管轄領域とほぼ一致している。

 中国のマスコミがAPEC前にオバマ大統領の政策を「平凡」と言ったのは、このためのようだ。ロシアの専門家の意見もこれに近い。「アメリカは北京で何ら新しいことを提案していない」と、ロシアAPEC研究センターのグレブ・イワシェンツォフ副所長は述べた。

 中国は今回、対立の刺激となるような区分線の存在しない、包括的パートナーシップを提案。ロシアはこれを全面的に支持した。ウラジーミル・プーチン大統領はAPECの演説でこう述べた。「議長国である中国が作成した、FTAAP推進協力ロードマップを高く評価したい。ここに定められている措置は、APEC領域の統合の取り組みを調和させるもの」。同時に、「新しい合意は世界貿易機関(WTO)の多方面貿易システムに損害を与えるものであってはならない」と強調した。

これはTPPのアメリカのコンセプトの批判と、2012年ウラジオストクAPECのロシアの提案と共通している中国の立場への支持である。

 

アプローチの一致と貿易拡大

 ロシアと中国のアジア太平洋地域における協力へのアプローチが一致していることは、今回の会議などで示されている両国の経済貿易関係の著しい発展からもわかる。北京では中国への西側(「アルタイ」パイプライン)経由のガス輸出に関する覚書が、両国の間で調印された。これはヨーロッパのみを顧客としているこのルートの現状を変えるものである。

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 これ以外にも、ロシアの国営石油最大手「ロスネフチ」と「中国石油天然气勘探開発公司(CNODC)」は、東シベリアの非公開株式会社「ヴァンコルネフチ」の株式10%取得についての覚書に調印した。これは中国の輸入者への特恵である。中国への直接的な原油輸出も拡大している。ロスネフチのイーゴリ・セチン社長は、ロシアと中国が年間500万トンの追加的な原油輸出について合意したことを伝えた。

 ロスネフチと「中国石油天然气集団公司(CNPC)」は昨年6月、長期的な中国へのロシア産原油輸出契約を結んでいる。「25年間で3億6500万トン、取り引き額約2700億ドル(約27兆円)」とセチン社長はこの時話していた。

 対ロシア経済制裁の克服というよりも、2年前から言われていたロシアの東方への戦略的転換である。

これは中国との提携強化に限らない。ロシアの課題は、アジア太平洋地域で経済的な提携を行いながら、ロシアのシベリアと極東地域の経済を発展させることである。「大国の地位を復活させ、維持するには、これしかない。他の道は存在しない」とイワシェンツォフ副所長は述べた。

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