ロイター通信
「コメルサント」紙は、ウクライナ南東部のドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国で2日に独自の選挙が行われたことを受けて、欧州連合(EU)が制裁を強化しようとしている、と伝えている。
EUによると、選挙はミンスク合意の違反であり、ウクライナ情勢の解決ではなく、悪化傾向をともなう“凍結紛争”へと導くもの。アメリカも同様の評価を下している。ただしアメリカは今のところ、ロシアとウクライナ南東部への新たな制裁をいつ行うのかについて発表していない。
ただ、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、ロシアに対する分野別の制裁をEUは今回厳格化しないと述べている。制裁対象者の名簿が拡大されるだけになる可能性があるという。対象者はEU諸国への入国が禁じられ、銀行口座が凍結される。
EUの消息筋によると、個人に対する制裁が新たに発動される場合、対象者はドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国の関係者が中心となる。ロシアに対する制裁が厳格化されない理由として、EU加盟28ヶ国の賛成が必要となるが、それが非現実的であること、ロシア政府が今回の選挙結果を正式に承認していないことをあげている。
「モスコフスキー・コムソモレツ」紙は、ヴァレンチナ・マトヴィエンコ上院(連邦会議)議長がメルケル首相の発言を「前向きなシグナル」と評価したことを伝えている。
「ロシアを孤立させようとする試みはそろそろやめるべき。これはいかなる成果ももたらさず、緊張を強めるだけ」とマトヴィエンコ議長。ロシア、EU、アメリカは世界で高まっている脅威との戦いに集中すべきだという。
また、制裁が非生産的で、ロシアの立場やその外交政策を変え得るものではないとの理解が、西側で広がっているという。
「独立新聞」は、ウクライナ新首相の候補に関する協議が難航する中、有力候補のアルセニー・ヤツェニュク氏をめぐる騒動が勃発したと書いている。
ウクライナ最高会議の国家安全保障委員会の委員で、民族主義政党「自由党」の議員であるユーリ・シロチュク氏は、南東部の軍産複合体の設備を中央が失った原因の調査を総検事局に求めた。
シロチュク議員は、ヤツェニュク首相とパヴロ・シェレメタ元経済発展・貿易相の、犯罪的ともいえる活動の欠如に原因があると考えている。ウクライナの主要な問題とは、役人や政治家による慢性的な法および義務の不履行だという。行政府の職務怠慢の結果、軍産複合体の多くの企業の貴重な設備や技術書類が奪い去られたという。
ウクライナの軍・転換・軍縮研究センターのヴァレンチン・バドラク所長は、南東部で活動していた軍産複合体の一部企業の設備や書類が、実際に強奪されたと話した。
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