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11月10日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、APEC(アジア太平洋経済協力会議)サミットで演説し、環太平洋地域諸国は互恵協力のポテンシャルを活用すべきであると述べた。
タス通信によれば、大統領はこう語った。「環太平洋地域の一部としてのロシアには、この急成長する経済・技術・投資の力の一大拠点が提供する競争面のメリットを活用する義務がある。一方、シベリアおよび極東の発展も、この強力な地域の国々にとってユニークなチャンスであり、そこに開けているパースペクティヴを効率的に利用して自国のポテンシャルをさらに強化する可能性である」
プーチン氏によれば、アジア太平洋地域との協力は、ロシアにとって戦略的かつ優先的な方向であり、ロシアは、自国の貿易に占めるアジア太平洋地域の割合を現在の25%から40%に増やすなどの同地域の国々との協力の発展を目指す一連の措置を予定した。
自由貿易ゾーンについて
ロシアは、環太平洋自由貿易ゾーン創設の構想を支持しており、このフォーマットとユーラシア経済連合の協働に期待している。
プーチン大統領は、APECサミットの場で、こう述べた。「私たちは、将来の環太平洋自由貿易ゾーンの創設に関する具体的措置の調整を中国でのAPECサミットの最大の成果とみなしている。そして、言うまでもなく、将来の環太平洋自由貿易ゾーンは、他の大きな地域的経済連合と協力すべきだ」
中国は枢要なパートナー
前日の11月9日、プーチン大統領にとって主要な会談となったのは、もちろん、中国の習近平国家主席との会談だった。
両首脳は、二国間協力のポジティヴな発展を確認し、プーチン大統領は、「国際法の枠内で平和を維持しそれをより安定したものとするためには」露中の協力がきわめて重要である点を指摘した。
首脳会談後、ロシアのドミトリー・ペスコフ大統領報道官は、プーチン大統領と習近平国家主席が「軍事技術協力といったデリケートなものを含む」さまざまな分野における二国間協力に際しての人民元による決済の可能性を協議したことを明らかにした。
目玉はガス
会談の結果、露中双方は、いわゆる「西方」ルート(西シベリアの産地から)によるロシアから中国へのガスの供給に関する覚書を含む17の文書に調印した。
「コメルサント」紙によれば、西方ルートによる供給に関する契約は2015年末までに調印され(後に、ノヴァク・エネルギー相は、早くも2015年前半には調印される、とした)、このルートでは年間300億立方メートルのガスが運ばれ、ガスは30年供給されるという。
「ガスプロム」のアレクセイ・ミレル社長は、こう語る。「工期が決定されたが、それは、東方ルートとまったく同じ、つまり、4年プラス2年であり、よって、契約の発効からパイプラインの始動までの期間は、4年から6年となる…」
ミレル社長によれば、このルートによる供給量は、年間600億立方メートルにも1000億立方メートルにも達しうる。
観測筋の評価によれば、調印された17の文書(極東における水力発電所の建設、貯蓄銀行と中国輸出入銀行の間のクレジット・ラインの開設、セメント工場の建設)のいずれもが、ロシアが実際に中国へシフトしていることを物語っている。
日本とチリの提案
北京滞在の初日、プーチン大統領は、日本とチリの首脳とも会談した。
日本の安倍晋三首相にとっては、「平和条約締結交渉が再開されてよかった」とのロシアの大統領の発言が重要であったが、注目すべきなのは、EUと米国による対露制裁に日本も参加しているなかで交渉が再開されている点である。
チリのミシェル・バチェレ大統領との会談では、主に経済協力の問題が取り上げられた。バチェレ大統領によれば、チリは、自由貿易ゾーン創設の問題におけるロシアおよび関税同盟加盟国との協力に期待している。一方、ロシアは、チリを、ロシアが欧州の食品の輸入を拒否するなかでロシアへの食品の輸入を増やすことのできる重要な農業製品輸出国とみている。
*以下の記事を参照
・タス通信
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