中国と米国の「正面衝突」は起こるか?

アレクセイ・ヨルスチ

アレクセイ・ヨルスチ

APECTPP

 中国はすでにAPEC(アジア太平洋経済協力会議)のホストを務めたことがあり、2001年に上海でフォーラムが開催されているが、その際には中国にもAPECにも異なる課題があった。当時、中国は、ひたすら「勢いを増しつつあり」、上海が開催地に選ばれたのは、西側の投資や技術を誘致すべく発展著しい国の南部の省や市を「売り込む」必要性があったためであり、アメリカ主導で今日存在している環太平洋パートナーシップ(TPP)も、まだなかった。

 2013年7月、マレーシアで、プロジェクトに基づいた自由貿易ゾーン創設に関する交渉の第18ラウンドが行われた。日本は、交渉に加わるよう求められているが、ロシアは、今のところそうした正式の招待を受けていない。

 TPPがAPECと中国の地域的国益という一度に二隻の「船」を撃沈させようとしていることは、明らかである。アメリカは、APECという「船」を沈めることで中国を地域統合の周縁へ追いやるチャンスを手にし、これは、アジア太平洋地域におけるロシアの経済的な(ましてや統合的な)プレゼンスの規模は中国のそれとは比較にならないとはいえ、ロシアにとって不利益となる。

 この場合、問題なのは、まず第一に、米国と中国の地域における国益が衝突する可能性である。今日、中国は、地域統合の面で米国に引けを取らず、「アセアン+1(中国)」(2011年1月1日から)や「アセアン+6(中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランド)」へ積極的に参加している。中国経済の力を考慮すれば、APECでは「中国の核」といったものが急速に形成されつつあるとも言えよう。

 アメリカは、APECで支持を得られなかった協働の事項をTPPの協定に盛り込もうとしているが、アメリカのプロジェクトは、発展途上国への食糧輸出促進のための輸出クレジットの増大を目指している。

 

バリ島における「中国の足跡」 

 インドネシアで開かれた最近の第21回サミットでは、米中の正面衝突は見られなかった。その原因は、今回も(2012年のウラジオストク・サミットのときと同様に)米国のバラク・オバマ大統領が欠席したことにあるのかもしれないし、真っ向から対立する時期がまだ訪れていなかったことにあるのかもしれない。サミットは、中国とインドネシアの非公式の影響のもとで行われた。「安定したアジア太平洋地域はグローバルな成長のエンジン」という最終宣言およびその他の文書は、APECにとっておなじみの地域統合のスタンダードの枠内での経済の接近という従来のトレンドを反映していた。

 

APECと関税同盟を束ねたいロシア 

 APECにおけるロシアの「寄与」は、ロシア連邦のエネルギー(化石燃料、電力、平和な原子力)や輸送の可能性およびメリットの効率的利用といった面に見られ、ウラジオストクでは、アジアの主導的経済の資源の利用を含めたシベリアおよび極東の開発および統合の構想も紹介され、インドネシアでのウラジーミル・プーチン大統領の報告では、すべてこうしたことが簡潔に述べられていた(「アジア太平洋地域における持続的かつ長期的な経済成長の新たな源泉」)。

 APECにおける今のロシアの立場の特徴は、形成されつつあるユーラシア経済連合および関税同盟のプロジェクトへアジア太平洋地域の統合プロセスを適合させる志向である。もっとも、ロシアもカザフスタンもベラルーシも、現時点ではおそらく100パーセントの返答を期待していない。問題なのは、他のこと、つまり、それがAPEC+EEU(ユーラシア経済連合)であれ別のものであれ、ユーラシアと太平洋の統合プロジェクトを一つに束ねる可能性を将来に向けて不断に示したいというロシアおよびそのパートナー国の希望である。

 こうした状況のなかで、ロシアの役割は、「ユーラシア・アジア太平洋地域」という繋がりにおいて客観的に枢要なものとなりつつあり、北京サミットは、主な参加国にとってそうした問題の「認識」を深める重要な契機となりうる。そうした「認識」のローカルな例は、すでにあり、ウラジオストク(2012年)では、ヴェトナムおよびその他一連のAPEC加盟国が、ロシア連邦と自由貿易ゾーンを創設したいとの意向を表明している。

 

記事全文(露語)

セルゲイ・ルジャーニン、ロシア科学アカデミー極東研究所・副所長、歴史学博士。