ウクライナ南東部で独自の選挙

ヴァレーリイ・メルニコフ撮影/ロシア通信

ヴァレーリイ・メルニコフ撮影/ロシア通信

ウクライナ南東部の独立を宣言したドネツィク人民共和国とルハンシク人民共和国で2日、共和国代表および共和国最高会議議員の選挙が実施された。ウクライナ保安庁(SBU)は「強制変更または憲法体制転覆または国家政府選挙に向けられた行動」の事実にもとづき、刑事事件として立件した。またロシアも、選挙結果を「尊重する」としながらも、正式には承認しなかった。

 ドネツィク人民共和国の選挙では、アレクサンドル・ザハルチェンコ氏(現職)、ドネツィク人民共和国最高会議議員のユーリ・シヴォコネンコ氏、ビジネスマンで「南東」運動の代表を務めるアレクサンドル・コフマン氏の3人が首相選挙に出馬した。最高会議の議席を争ったのは「ドネツィク共和国」党と「自由ドンバス」党の2党。

 ルハンシク人民共和国の選挙では、イーゴリ・プロトニツキー氏(現職)、労働組合連合会の会長でルハンシク人民共和国保健省大臣のラリサ・アイラペチャン氏、実業家のヴィクトル・ペンネル氏の3人が首相選挙に出馬した。最高会議の議席を争ったのは「ルハンシクに平和」党、「ルハンシク経済同盟」党、「人民同盟」党の3党。

 

両人民共和国の選挙

 選挙権はスコットランドの住民投票と同様、16歳以上に与えられた。投票にはロシア、アブハジア、南オセチア、セルビア、モンテネグロなどの国際監視員51人とフランス人の欧州議会議員1人が立ち会った。

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 ドネツィク人民共和国中央選挙委員会のロマン・リャギン委員長は、投票の途中経過として、同共和国で50万人以上、ルハンシク人民共和国で30万人が投票に訪れたことを発表していた。ロシアにいる南東部の避難民も選挙に参加することができ、ヴォロネジ州だけでも締め切り3時間前の時点で投票率が60%に達していた。

 南東部政府の報道部は、ウクライナ政府による投票妨害があったことを伝えていた。「ウクライナ軍は1日17時30分、投票を行おうとしている有権者が2日に投票所に行けないように、ドネツィク人民共和国東側と西側の自動車道を封鎖していた」。そして、ウクライナ大隊「ドニエプル1」の偵察部隊の撃破も警告していた。

 

刑事事件として立件

 ウクライナ保安庁(SBU)は「強制変更または憲法体制転覆または国家政府選挙に向けられた行動」の事実にもとづき、刑事事件として立件した。またEUおよび他の国の選挙監視団を、ペルソナ・ノン・グラータと呼ぶと警告。「ウクライナでペルソナ・ノン・グラータと呼ばれるであろう、外国の偽監視団の保護のもとで、これらすべてが行われる」とSBUは交流サイト(SNS)のフェイスブックに書いた。

 ドネツィク人民共和国のザハルチェンコ首相は一方で、南東部の警察が「南東部住民に対する大虐殺」の事実にもとづき、刑事事件として立件すると警告した。

 

ロシアの立場

 欧米からの政治的、経済的圧力にもかかわらず、ロシアはこの選挙の実施を支持した。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は、「ドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国で2日に行われる選挙は、政府の合法化の観点から重要になる。ミンスク合意のもっとも重要な方向性の一つと考えている。意思表明は自由であり、外部からそれを押しつぶそうとする人はいないと考える」と述べていた。

 戦略評価研究所のアレクサンドル・コノヴァロフ所長はロシアNOWの取材に対し、ロシア政府はウクライナ政権の交代を憲法違反と指摘していたものの、ウクライナ最高会議の正式な選挙の結果を承認し、これによって新政権の合法性を認めていたと話した。「南東部の選挙結果の承認は人民共和国の承認を意味する。ロシアは今のところ、それをしようとはしていない。ウクライナの新政権に野党が存在すること、誰かが自立心を見せていることに、モスクワは反対していないが、ロシアとの相互関係に多くを期待しているドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国の新政府との今後の対話について、今のところ明確にイメージできない」

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 モスクワは今後も人道支援車列を南東部に送り、復興のための経済支援を続けるという。「紛争の残り火はくすぶり続け、ロシアは必要に応じて火に薪をくべるかもしれない。ドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国の選挙はモスクワにとって、キエフへの政治圧力のレバーになる」とコノヴァロフ所長。

 ロシア国立研究大学「高等経済学院」複合研究センターの上級研究員アンドレイ・スズダリツェフ氏はロシアNOWの取材に対し、南東部の住民が自分たちの立法権、司法権、行政権を定めようとする試みを歓迎する必要があると話した。「南東部住人が投票で自分の意見を表明することをロシアは承認したのではなく、支持した。ロシアは停戦維持と情勢解決のための政治対話の継続の保証を望んでいる。ウクライナがミンスク合意を破るようなことがあれば、ロシアは投票結果を承認するかもしれない。これは事実上、この地域の独立を認めることを意味する」

 このような状況はウクライナ情勢を深刻化させるだけであり、また南東部の政治勢力への今後の戦いの刺激になるという。また、ロシアの外交政策の地政学部分を大きく変化させるかもしれない。「選挙の承認はロシアのパートナーのブロックおよび経済の同盟ステータスに疑問符を投げかける可能性がある。カザフスタンとベラルーシがドネツィク人民共和国およびルハンシク人民共和国の選挙を認めないことは明らか。同盟国のステータスは浸食にさらされ、ロシアの外交政策の新たな減退を招くかもしれない」とスズダリツェフ氏。

 

*引用元:

SBUのフェイスブックのページ

ロシア通信