プーチン大統領は世界の主な問題においてロシアの立場が揺るがないことを強調し、また山積している問題の協議に欧米を招集している。=ミハイル・ヴォスクレセーンスキイ撮影/ロシア通信
ニコライ・ズロビン氏、アメリカ世界利益センター所長(ロシア通信掲載)
ロシアが全体主義国にならないことを保証するというのが、主な主張だった。これは世界が求めていたメッセージである。アメリカや現状に対してより厳しい言い方がなされると思っていたが、プーチン大統領は真剣に歩み寄ろうとしているようだ。ウクライナ問題に関する答えはかなり譲歩しているものだった。
アメリカはこの演説を批判しながらも、良い部分を見いだそうとしているだろう。良い部分とは、辛辣な評価がなかったこと。プーチン大統領が批判されるとすれば、ロシアの行動に対する批判がないこと。何かがうまくいかない時は、自国の非がなんであったかも考える必要がある。国際情勢悪化には、ロシアにも責任がある。ウクライナだけでなく、それ以前のことにも。ロシアがもっと賢く行動できる局面はたくさんあった。
アレクセイ・フェネンコ氏、ロシア科学アカデミー国際安全問題研究所上級研究員(ロシア通信掲載)
プーチン大統領の今回の演説は、有名なミュンヘン演説(2007年)の続きであり、また国際関係の現状変更の呼びかけである。
演説の中で、冷戦は終わったが、世界がある結論を出して終わったというわけではない、と述べていた。世界関係のシステムは冷戦後、再建を必要としていたが、アメリカは自国の勝利を宣言し、再建の必要性なしと判断。全世界を自国の下に、自国の利益の下に収めたような印象を与えた。だがアメリカは一極世界にせず、「偽二極システム」のようなものを復活させようとしている。一方的な行動の限界を明確に定め、安全、人権、主権の原則の利益の間にあるジレンマを解決する必要があるとプーチン大統領は述べた。
ロシアはアメリカ式の新たな世界秩序の構築を受け入れないというのが、プーチン大統領の考え。いまだに冷戦時代と同様、国際関係の基本とは、アメリカの核バランスとその潜在的な力の優位性である。新たな世界治安というよりも、現代化されたヤルタ・ポツダムの世界秩序の中に生きているとでも言おうか。
プーチン大統領の演説から反アメリカ的な部分を除くと、駆け引きのルールの見直しに関する議論が始まる時期に突入したという点が見えてくる。我々はいまだに、1943~1945年の大国・戦勝国によって定められた規則に従って生きている。現代の世界システムの発展論理のすべては、それが見直されるかというところに行きつく。
プーチン大統領は世界秩序を補正すべくアメリカに呼びかけている。その補正がどのようなものになるのかは今のところ不明だが、このような呼びかけはある程度なされている。
ヴィクトル・リトフキン氏、独立軍事専門家
プーチン大統領は非常に厳しく、しかしながら現実的に、現代世界の支配に向けられたアメリカの政策を描写した。この支配とは、知的、経済的分野での優位性ではなく、軍事力およびアメリカ政府の考え方にどこか合わない、世界の国の政権の破壊に向けられている。
プーチン大統領は、アメリカとそのNATO同盟国に対して、ロシアが自国の利益をしっかりと守り、いかなる脅迫も制裁もロシアの利益に関わるような根本的な問題に対するクレムリンの姿勢を変えないと、明白に伝えた。
ロシアの足場は極めて堅牢であり、欧米に従わなくともやっていける。ロシアはBRICS諸国および欧米の圧力に屈しない国など、全大陸の主要な国と協力しながら、独自の外交政策を続けて行く。
ロシアは核大国であり、力づくで対話しようとしても逆効果であることをプーチン大統領は強調した。
*引用記事:
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