ウクライナ紛争の死者は3360人

AP通信

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国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は、ウクライナにおける監視ミッションの六度目の報告で、ウクライナ南東部での戦闘による死者は3360人で負傷者は8446人であると発表した。ロシアの専門家らは、報告は、バランスのとれたものであるが、紛争当事者の供述やデータを十分に分析する時間がないために今のところはまだ出来事の全容を描き出すことができていない、と考えている。

 OHCHRは、ウクライナにおける監視ミッションの六度目の報告において、反テロ作戦地帯の居住地への砲撃は正規軍によっても分離主義者らの部隊によっても行われた、と伝えており、文書では、「居住区への無差別砲撃の事例のいくつかは、ウクライナ軍のものとみられる」と述べられている。

 国連の専門家らが指摘しているところでは、民間人の犠牲の多くは、居住区への無差別砲撃および重火器の使用によるものであり、民兵らが民間施設を隠れ処に選んだことも、民間人に犠牲をもたらす結果となった。

 

ウクライナにおける人間性に対する犯罪

 報告の一部では、ウクライナ東部で義勇兵や民兵の大隊によって行われた非人道的犯罪について述べられており、OHCHRは、「多くの解放される都市において警察の機能を引き受ける政府の管理下にある一部の義勇兵大隊によって行われた人権侵害に関する報告がひきつづき届いている」と伝えている。

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世界情勢10/8報道

 ウクライナのオリガルヒ(新興財閥)の管理下にある「アイダル」、「ドニェプル-1」、「キエフ-1」、「キエフ-2」といった大隊によって行われた犯罪として、監視グループのメンバーらは、人々の誘拐、勝手な拘束、残酷な仕打ち、殺人行為、金銭の強請を挙げており、国連の専門家らは、「政府は、義勇兵大隊を含む自国の部隊をより厳格に管理し、そのメンバーらによって行われたあらゆる犯罪に対する責任を保証しなくてはならない」と述べている。

 一方、分離主義者らも、支配地域の住民に対するテロ行為、殺人行為、人々の誘拐、拷問、残酷な仕打ち、住居の破壊、所有物の強奪などの責任を問われている。

 

ロシアの専門家の見方 

 ラジオ局「ルースカヤ・スルージバ・ノヴォスチェーイ(RSN)」が伝えるところでは、ロシア連邦大統領付属市民社会発展人権評議会のメンバーであるアンドレイ・ユーロフ氏は、ウクライナ情勢に関する国連の報告は十分バランスのとれたものである、としている。

 同氏は、ウクライナにおける国連の代表の数が少ないために十分な監視を実施することが不可能である点を指摘したうえで、「国連の報告は、常に客観的でないとしても、かなり高いバランス性で際立ち、最近の報告はさまざまな当事者の視点を考慮しようとしており、このことはすでに好い兆しです」と述べた。

 軍事専門家のヴィクトル・リトフキン氏は、こう語る。「それは、主にウクライナ側の情報に基づいているので、とうてい完全なデータとは言えません。ウクライナ当局は、単純なあるいは明らかな理由から住民の死者の数を少なくしています。国際社会に悪い面を晒したくないのです」

 同氏は、次の報告にはウクライナ東部の州で活動しているOSCE(欧州安全保障協力機構)のデータさらには分離主義者らや一般市民の情報も加えるべきである、とし、こう述べる。「戦場を後にした人々からのものを含む国内における蛮行に関するすべての情報を完全かつ全面的に分析する必要があります。それだけの情報でさえも惨事の全容を描き出すことは難しいでしょうが…」

 同氏は、今のところすべての民間人の墓所が発見されたわけではなくドネツィク(ドネツク)の中央死体安置室にはまだ身元が確認できていない400人の遺体がある点を指摘し、こう述べた。「すべてこれらの事実は、分析や書類の作成や客観的な結論を必要としています。私たちはウクライナにおける戦争の犠牲に関する全容を知るときにそれをウクライナ東部の州の住民に対するジェノサイドと呼ぶことができる、と私は思います」