ロシア連邦エネルギー省によると、ウクライナはこれまでのガス料金の滞納額および1立法平方メートルあたり385ドル(約3万8500円)の前払金あわせて30億ドル(約3000億円)強を、ロシアの国営ガス会社「ガスプロム」に支払うことに合意したという。/「ガスプロム」社長アレクセイ・ミレル=AP通信
「独立新聞」は、「ベルリンの協議はガスプロム有利に閉幕」という見出しで、3者協議について伝えている。
ロシアは協議の中間結果を非常に楽観的にとらえている。ロシア連邦エネルギー省によると、ウクライナはこれまでのガス料金の滞納額および1立法平方メートルあたり385ドル(約3万8500円)の前払金あわせて30億ドル(約3000億円)強を、ロシアの国営ガス会社「ガスプロム」に支払うことに合意したという。だがこれに喜ぶのはまだ早い。条件は政府レベルで承認されなければならないため。しかもウクライナにガス紛争解決の用意があるという保証は、今のところない。さらに、アレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相の話す譲歩の内容は、ウクライナの国営ガス会社「ナフトガス」の要求と矛盾している。ウクライナは以前、ロシア産ガスの価格をヨーロッパのガス取引所の価格にすることを求めていた。
最終的な決定はロシアとウクライナの政府が協議した後に行われる。協議は10月2日か3日になる見込み。
ロシアの専門家は、ウクライナのアルセニー・ヤツェニュク首相のアメリカ人顧問らの影響により、この前進が新たな困難に変わる可能性を指摘する。
早期合意に期待しているのはヨーロッパとガスプロム。ウクライナは協議を長引かせる可能性がある。たとえ困難であろうとも、ロシアからのガス輸入なしに越冬しようと、備蓄を最小限にしている。ヨーロッパはロシアとウクライナの対立によって、寒い冬を過ごさなければいけなくなることを恐れているため、あくまでも早期合意を求める。専門家によると、ガスプロムは信頼できる供給者という評判をこの冬で落とすことを恐れている。そのため、ロシアはウクライナよりも問題解決に強く関心を持っている可能性があるという。
「コメルサント」紙は、ウクライナ東部の停戦および生活の状況について伝えている。
停戦合意がなされてからすでに3週間以上が経過しているが、ウクライナ軍も義勇軍も銃撃をやめていない。依然として緊張が続いているのは、ドネツィク州のドネツィク市、デバリツェヴェ市、およびマリウポリ方面。
このような中で、暖房シーズンがあと数週間に迫っているが、東部のインフラは紛争で深刻な被害を受けたまま。
ルハンシク人民共和国の幹部は冬の準備を始めており、ガス網の供給元をロシアに切り替えようとしている。専門家によると、ウクライナは技術的には、東部にガスを送ることができるという。ルハンシク近郊には天然ガス地下貯蔵施設と貯蔵ガス20億立法メートルがある。ただ、誰がこれを管理しているかは不明。
東部がキエフから独立しているのは電力供給の面でのみ。義勇軍の管理下にある領域には発電所がたくさんある。ただし、発電所の一部も紛争によって損壊している。
ウクライナのもう一つのエネルギー問題は、供給網の損壊である。工場やインフラを復元するのは相当困難であり、東部は暖房シーズンへの準備ができていない。
「ヴズグリャド」紙は、ウクライナ軍が撤退したばかりのウクライナ東部のニジニャ・クリンカ村(ドネツィク市の東北東60キロメートル)付近で、4ヶ所目の遺体埋葬場所が発見されたと伝えている。
現場にはすでに、欧州安全保障協力機構(OSCE)の国際監視団が入っている。ロシア外務省は、この一般市民の殺害を戦争犯罪と呼んだ。発見された遺体は後ろ手に縛られ、頭部に銃撃痕があることから、ロシア政府は迫害されたと考えている。ウクライナは発見された遺体に関する自国への非難に反論している。
同紙はこれ以外に、ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相の言葉「ウクライナの和平プロセスは始まった」を伝えている。アメリカ系「ブルームバーグ」チャンネルのインタビューに対し、ラブロフ外相は、対ロシア制裁を外してもらうためにアメリカの言うなりになることはないと話していた。「我々は何よりもウクライナ国民について考えている。ミンスクの合意の履行および完全な正常化に寄与できるよう、できる限りのことをすべて行う」
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