ウクライナ最高会議がドンバスの「特別の地位」を承認

ロイター通信

ロイター通信

ウクライナ最高会議は、ドネツィク(ドネツク)、ルハーンシク(ルガンスク)両州の地位に関する法案を採択した。しかし、両州の地位、および始動した和平に向けてのプロセスの見通しについては、専門家らの見解は一致していない。

 9月16日、ウクライナ最高会議は、ポロシェンコ大統領が提出したドネツィク(ドネツク)、ルハーンシク(ルガンスク)両州の地位に関する法案を採択した。議員らは、ウクライナ南東部のいくつかの地域に対し、向こう3年間にわたり自治を拡大する法案を支持した。現在のところ、ミンスク会談で始動した停戦体制は保たれているが、この合意の正統性に関しては、ロシア、ウクライナ両国の専門家の間で多くの議論を呼び起こしている。

 最高会議での採決で賛成票を投じたのは450名のうち277人。この法案では、ドンバス地方(ドネツィク、ルハーンシク両州などウクライナ南東部)の特別の地位、選挙の実施、ロシア語の使用の自由がうたわれており、ポロシェンコ大統領は、この法案の採択により、ウクライナ南東部の権力を「脱中心化」することが可能だと語った。また大統領は、この法案に応じた憲法改正を見込んでいるとも述べた。

 ドネツィク、ルハーンシク両州の地位に関する法案は、9月10日のウクライナ内閣の拡大会議を受けて、ポロシェンコ大統領が、最高会議に提出したもの。この拡大会議で大統領は初めて、譲歩の用意と、ドンバス地方の自治拡大の可能性とについて言及していた。

 ウクライナとロシアの大統領は、9月8日の電話会談で、東部における停戦体制が維持されており、捕虜の交換や被災地の住民への人道支援物資の搬送や違法な武装組織の排除が始まったことを確認し、ロシア指導部は、両首脳の対話が継続されることを確認した。

 ウクライナの内閣の会議で、ポロシェンコ大統領は、始動した和平プロセスの枠内でウクライナ東部により大きな自治を与える用意がある、と述べ、その際、ミンスクでの会議ではドネツィクとルハーンシクの両州の独立に関する問題が検討されなかった点を強調した。

 一方、ウクライナ当局は、反テロ作戦の軍隊の再編を進めており、民兵側の代表らは、ドネツィクとマリウーポリでは銃撃戦が行われているとしている。

 

和平プロセスの行方は 

 始動した和平プロセスの行方は、専門家の間に多くの議論を呼び起こしているが、専門家の意見は、ウクライナとロシアの首脳の会談は継続されるべきであるという点で一致している。

 研究総合大学・高等経済学院・欧州国際研究所のチモフェイ・ボルダチョーフ所長は、ウクライナ東部における和平プロセスは長く続かない、とし、こう語る。「ウクライナ当局は、停戦が達成されるとドネツィクとルハーンシクの両州に対する公然たる威嚇に着手した。ロシア国境における壁の建設や指定居住地のようなものの創設に関するウクライナ当局の声明は、このことを物語っている。ウクライナ当局の行動は、シニカルであり、彼らは、ポロシェンコ氏とプーチン氏の会談をロシアが紛争当事者であることの証左とみなしている」

 ウクライナの政治学者でキエフのグローバル戦略研究所の所長であるヴァジム・カラショーフ氏は、大規模な軍事作戦の停止をウクライナ東部で始動した和平プロセスの主な成功とみなし、こう述べる。

 「プーチン氏とポロシェンコ氏は、交渉プロセスの主な参加者であり役者である。現在の和平プランは「プーチンのプラン」と呼ばれ、6月に打ち出された和平プランは「ポロシェンコのプラン」と呼ばれ、これがすべてを物語っている。ミンスクでの交渉の行方を決定したのは、レオニード・クチマ氏やドネツィクとルハーンシクの両「人民共和国」の代表であるアレクサンドル・ザハルチェンコ氏やイーゴリ・プロトニツキー氏ではなく、停戦は、それが両国の首脳に好都合である間は続く」

 

誰が経済復興の金を出すのか 

 ドネツィク、ルハーンシク両州の政治的地位確定の問題は長引くだろう、と政治学者で分析機関「外交」の管理パートナーであるアンドレイ・スシェンツォーフ氏は考える。

 「和平プロセスにおける第一歩はどちらかといえば技術的な性格を帯びており、ドネツィクとルハーンシクの両州の将来の政治的ステータスをめぐるトレランスは見られない。今のところ、ポロシェンコ氏は、この問いに明確な答えを与えないこともでき、民兵側が支配地域を拡大しなかったことに満足している。ウクライナ当局にとってあらゆる点で不首尾な作戦は、予想しえた破局的結果には終わらなかった。向こう一~二年間、大統領は、国家の単一的性格を保持しつつ民兵側と折り合いをつけるべく努力する。大統領は、ドネツィクとルハーンシクの両州が議会選挙に参加することを期待しておらず、そこで選挙が実施されること自体を望んでいないかもしれないが、これによって、政治的ステータスに関する問題を長引かせることができる」

 政治学者でPIRセンターの評議会員であるユーリー・フョードロフ氏は、こう述べる。「ウクライナ当局には、政権の連帯や選挙の実施や何よりも現代的な軍隊の創設のための小休止が必要である。プーチン氏とその一味は、理論上、ドンバス全域を支配してクリミアへの回廊を創設することができる。OSCE(欧州安全保障協力機構)の課題は、ポロシェンコ氏とプーチン氏の間で達せられる合意に威厳を付与することであり、ウクライナに平和が訪れるのは、ウクライナ当局が、ドンバスの「一部の地域」を放棄し、それらの地域の独立を認め、そのことによってインフラの維持や経済の復興にかかる負担から自ら解放されるときであり、当面は、平和でも戦争でもない状態が続く」

 一方、ヴェルホヴナ・ラーダ(ウクライナの最高会議)は、始動した和平プロセスの枠内で、来週、ドネツィクとルハーンシクの両州の法的ステータスに関する法案を審議する意向だが、この法律が採択される保証はない。

 一方、ドネツィク、ルハーンシク両州の代表者も声明を発表し、最高会議で採択された法案は「将来の対話に向けての里程標」だと述べた。