空挺隊員越境は故意か偶然か

ウクライナ保安庁(SBU)は、軍がロシアの空挺部隊の兵士10人を、ウクライナ領内のロシアとの国境付近で拘束したと発表。=ロイター通信

ウクライナ保安庁(SBU)は、軍がロシアの空挺部隊の兵士10人を、ウクライナ領内のロシアとの国境付近で拘束したと発表。=ロイター通信

ウクライナ保安庁(SBU)は、軍がロシアの空挺部隊の兵士10人を、ウクライナ領内のロシアとの国境付近で拘束したと発表。ウラジーミル・プーチン大統領はベラルーシの首都ミンスクで27日未明、今のところ兵士が越境したという情報を持っておらず、ロシア連邦国防省の報告待ちだと、記者団に述べた。

 SBUに拘束されたロシアの空挺部隊の兵士は、ロシアとウクライナの国境を誤って越えてしまったという。軍の関係筋は「インテルファクス」紙に対し、このように伝えた。「兵士は確かにロシアとウクライナの国境付近を警備していた。国境設備のない、標示のない領域で、誤って越境してしまった可能性がある。わかっている限り、拘束時にウクライナ軍との衝突はなかったようだ」

 プーチン大統領は、ウクライナで拘束されたロシアの空挺部隊の兵士について、まだ報告を受け取っていないと話した。「私が知る限り、兵士は国境付近を警備していて、ウクライナ領内に入った可能性がある」

 また、ロシア領内にもウクライナ軍の兵士が数十人規模で越境したこともあると説明。「ウクライナ軍の兵士は5人や10人ではなく、数十人入ってきた。最近では450人」。この時はまったく問題にならなかったという。「今回もウクライナ側との問題にならないことを願う」とプーチン大統領。

 

拘束された空挺部隊の兵士

 SBUの発表によると、ロシアの空挺部隊の兵士は1週間前、定常任務地からロストフ・ナ・ドヌに送られたという。拘束された兵士はロシアの軍服を着ていたが、識別できる印はつけておらず、ギリースーツをまとっていた。技術兵器の識別印も塗装されていたという。

 「ドネツィク州アンヴロシイフカ地区ゼルカリネ村付近で、ウクライナ軍とSBUの共同作戦集団が、ロシア連邦軍空挺部隊第98スヴィル師団第331連隊(71211部隊)の軍人10人を拘束した。身分証および武器とともに拘束」とSBUのウェブサイトに記されている。

 「ウクライナ独立通信」によると、当初は砲兵大隊、偵察中隊、支援下部組織など、空挺集団に約400人いた。またここには、空挺部隊の戦闘車両30両、自走砲「ノナ」18両なども含まれていたという。

 拘束された兵士は、ウクライナ領内に入っていたことに気づかなかったと話している。指令部が演習開始を伝えたという。24日深夜、部隊は警報で起こされ、無線封止状態で隊列をなし、越境してウクライナのイロヴァイシク市に進んだと、ウクライナ軍は伝えている。

 第331連隊のイワン・メリチャコフ上等兵と名のる人物はこう動画で話している。「道路ではなく、野原を走っていた。どこで越境したのかもわからない」。自分たちへの爆撃が始まってから、ウクライナ領内に入ったことに気づいたという。

 

軍事専門家は

 独立軍事専門家で元大佐のヴィクトル・リトフキン氏は、ロシアNOWの取材に対し、こう話した。「尋問の動画を見ると、空挺部隊がどのようにしてそこに入ったのかがよくわかる。何時間にも渡る隊列移動で完全に迷ってしまった。ロシア政府は自国の兵士をウクライナ南東部の戦闘に送っていない。縦隊が進む時、常に前衛と側衛がいる。この兵士は縦隊から外れていたようだ。深夜に迷って、そのまま越境した。国境には国境であることを知らせる標示も指示器も特にないため、ウクライナ側に入ったとしても驚きではない」

 戦略評価研究所のアレクサンドル・コノヴァロフ所長は、ウクライナ領内でロシアの空挺部隊の兵士が拘束されたことは、ウクライナ政府にとって、プレゼントとなり、ロシア政府が南東部の戦闘行動に関与していることを証明し易くなったと話す。「アメリカとEUが対ロシア制裁を強化するかもしれない。ウクライナは軍の創設と最新兵器の供給への支援を、より積極的に頼むようになるだろう。西側にそれをさせるための手段が増える。西側はしばらく抑制するであろうが」

 関税同盟の協議においては、「ポロシェンコの切り札」になったのではないか。