ウクライナ情勢に関するミンスク協議の行方は?

ロイター通信撮影

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ロシアのウラジーミル・プーチンとウクライナのペトロ・ポロシェンコの両大統領は、8月26日、ミンスクでの関税同盟・ウクライナ・サミットに出席する。両大統領の直接会談が行われるかは、今のところ不明だが、専門家らによれば、政治的危機の克服へ向けた進展は期待できない。

アレクセイ・アルバトフ、ロシア科学アカデミー・世界経済国際関係研究所・国際安全保障センター長、ロシア科学アカデミー会員 

 まず第一に、ウクライナは、自国が問題の政治的解決の途を模索しているとの印象を創り出そうとしています。欧州および米国は、軍事的ではなく政治的な問題解決を欲しているので、ウクライナは、何としてもロシアと合意に達したいふりをしようとするでしょう。

 ウクライナは、ミンスクでの協議で、ルハーンシク(ルガンスク)とドネツィク(ドネツク)の両人民共和国の民兵への支援の無条件の停止を求めるでしょうが、ロシアは、一貫して南東部の共和国への軍事的支援は行っていないと声明しているので、そうした条件は呑めません。ウクライナの条件を受け容れれば、ロシア側から分離主義勢力への支援を認めることになりますから。

 一方、ロシアは、ウクライナに対して、南東部における戦闘行動を停止して戦災に見舞われた共和国への人道支援物資を受け入れるよう求めています。

 まさに解決困難な袋小路の状態であり、ミンスクでの協議におけるウクライナ危機解決へ向けた進展を期待すべきではないでしょう。

 

アレクセイ・スーズダリツェフ、国立高等経済学院・欧州国際総合研究センター・主任研究員 

 議題は、形式的には、ウクライナが導入した対露制裁ですが、事実上は、ウクライナがロシアに布告した経済戦争です。欧州へのガス供給の問題も話し合われるでしょう。この問題に関する最近の協議は不調に終わりましたから。しかし、この問題でも進展は見られないでしょう。

 ポロシェンコ大統領は、EUの代表とともに参加し、ウクライナもEUも、形式的にはそれぞれの立場を示すでしょうが、契約がどうあるべきかについては真意が一致しています。

 ロシアのメディアは、欧州内の動揺やロシア産ガスの中継輸送に対するウクライナの考えられる制裁についてさかんに伝えていますが、実際には、そんなことはありません。欧州としては、それは大歓迎でしょう。ウクライナのそうした措置によって、ロシアに圧力を加えるもう一つの手段を利用できるわけですから。ガスは国境で売って、中継輸送を完全に放棄すれば、「サウスストリーム」など要らない、というわけです。ですから、ウクライナとEUから最後通牒が出されることでしょう。 

 

フョードル・ルキヤノフ、外交防衛政策会議幹部会議長、外交専門誌「グローバル政治の中のロシア」編集長 

 ミンスクでの協議は、EUの参加を交えてウクライナと関税同盟というフォーマットで行われますが、これは、かなり複雑とはいえスタンダードではない新しいフォーマットです。各参加者にとって、テーマははっきりしています。関税同盟加盟国のベラルーシ・カザフスタンは、EUとの協定批准後のウクライナとの経済関係の構築に、欧州は、ガスの契約および供給に、ロシアは、ウクライナ東部における停戦に、それぞれ関心を抱いています。これらの問題は、バランスを図りつつ包括的な解決を見いだすうえで互いに作用し合うので、速やかな成功のチャンスは、大きいとは言えません。

 ウクライナ南東部での停戦の問題における政治的進展は、達せられないでしょう。というのも、軍事行動は、残念ながら、協議参加者にとって自身の政治的立場を強めるための根拠のようなものだからです。ですから、停戦をしてから問題を解決するという論理は通用せず、すべてこれらの問題を包含する取引の枠組を定めてから停戦に漕ぎつけるという逆のアプローチが必要です。

 

セルゲイ・ミヘーエフ、政治学者 

 ミンスクでの協議は、何らかの形でロシアを、凋落しつつあるウクライナ経済のスポンサーにしようとするウクライナと、その背後にいる西側の試みにすぎません。ウクライナが政治的問題で譲歩するとは思えませんし、そうした問題が話し合われることもないでしょう。なぜなら、彼らの背後にいる米国を交えずに協議しても意味がありませんから。つまり、ウクライナは、関税同盟に働きかけて関税同盟とロシアにウクライナに対する経済政策を簡素化させるために協議を利用したいわけであり、この意味で、西側は、あちらが制裁の一部を解除するならこちらもそうしましょうという巧妙な仕掛けを作っていると言えます。けれども、悪者になるのは、いつだってロシアなのです。

 西側は、いつも同じ選択肢しか有しておらず、政治的には、ウクライナが完全に西側へシフトすること、経済的には、ロシアがロシアに敵対的な政治体制を支援する責任の一端を担うこと、を欲しています。1990年代および2000年代初めには、それがうまくいきましたが、2000年代半ばごろからうまくいかなくなって、緊張が生まれはじめ、マイダンへと発展したのです。

 今回の協議は、ウクライナ問題を背負いこみたくない欧米やウクライナにとって必要なものであり、むこうは、ロシアがウクライナ問題を背負うこと、ロシアの市場がウクライナ製品に対して今後も開放されること、ガスの問題がウクライナに有利に解決されること、を望んでいます。ロシア指導部やプーチン大統領がどう出るかはわかりませんが、現段階では、ロシアはウクライナ経済を支援すべきではないでしょう。ロシアにとって攻撃的なウクライナの政権を支持することになるのですから。

 ウクライナ国内の政治プロセス開始の問題における進展は、期待できません。これらの問題を、ウクライナは、一切避けようとしていますが、ロシアは、取り上げる可能性があります。ウクライナ政府の目的は、みんなを欺いて経済上の特恵待遇をものにすることであり、ロシアの目的は、少なくとも政治問題の協議になくてはなりません。