ロイター通信撮影
「コメルサント」紙は、ウクライナ軍によってボーイング777型旅客機が撃墜された可能性を示す証拠を、ロシア国防省が提示したと伝えている。
ボーイング777型機はウクライナ東部のドネツィク上空で、空域回廊から14キロメートル北にはずれた。どのような理由で航路をはずれたのかについては、フライト・レコーダーを解析しなければわからない。
ロシア国防省の関係筋によると、事故が発生した日、ドネツィクのウクライナ軍防空設備群には3~4機の対空ミサイル・システム「ブーク」があり、撃墜された航空機の空路がその活動領域に入っていた。ドネツィクにボーイング777型機が墜落した時、その地域に軍用機はなかったとする、ウクライナ政府の声明も否定。ウクライナ空軍の航空機、恐らくSu-25が上昇していたのを、ロシアの防空管制センターがとらえていた。
だがこれらの証拠に、欧米は納得していないようだ。
「独立新聞」は、今回の航空事故への“政治的な準備”が、ロシアにはできていなかったと伝えている。
ロシア政府はボーイング777型機の事故に関連して、均衡の保たれた、落ち着いた声明を発表しようとしている。
ここ数週間、ウクライナ紛争から徐々に退こうとするロシア政府の意向が見え隠れしていた。ロシア政府は義勇軍への影響力を持っておらず、何も強制できないことを強調している。だがウクライナ政府も欧米もそれを信用していない。
ウクライナ政府とロシア政府がウクライナ南東部の情勢について話せるような共通語がなく、ウクライナ政府にとって義勇軍はテロリストおよび分離独立派であり、ロシア政府にとって反テロ作戦は懲罰的作戦である。
国際調査委員会が、”分離独立派”によってボーイング777型機が撃墜されたとの結論を出した場合、ロシアは第三当事者の立場でいられなくなる。誰も義勇軍に忠告しなくなり、キエフとペトロ・ポロシェンコ大統領はその排除を完全に担い、ロシア政府が提案していた対話の構図はいかなるレベルでも受け入れ不可能と見なされる。また、新たな経済制裁と部分的な孤立の脅威が、ロシアにのしかかってくる。国内的には説得力のある、対外的には重要度の低い、事故に関する独自の詳細な説を発信することになる。
「ガゼータ・ル」紙は、「有罪ありき」という見出しで記事を書いている。
ボーイング777型機がドネツィクで墜落してから4日目で、欧米のロシアに対する非難は、入念な調査を外交的に呼びかけるまでに和らいだ。
この非常に困難な状況を平和的に打開する唯一の方法は、すべての側が言葉での非難と対立をやめることである。
事故をめぐる欧米の議論の激化は、両極端な印象を与える。それは誰もが実情を知っているが、何らかの原因でそれを明かせないか、または知っている情報が独自の誤解の域にほとんどとどまっているかである。
欧米はロシアのマスメディアがプロパガンダかつ客観的ではない情報を流していると非難するが、欧米のマスメディアは事故調査が始まる前の時点で、一斉にロシアを非難していた。現在必要なのは中身の薄い「外交的な協議」ではなく、最大限にオープンな調査、発表、またすべての信用できるデータの相互交換である。
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