マレーシア航空機はなぜ墜落したか

ロイター通信

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アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたボーイング777型機が、木曜日の晩にウクライナ南東部で墜落した。報道によれば、旅客機との交信はロシア・ウクライナ国境から50キロの地点で断たれており、現在、事故原因をめぐる複数の説が存在している。

ウクライナの当局側と民兵側の説 

 ウクライナのアントン・ゲラシチェンコ内相顧問は、自身のフェイスブックのページで、旅客機は地対空ミサイルシステム「ブーク」によって撃墜された、と伝えたが、ウクライナのヴィタリー・ヤリョーマ検事総長は、「ウクラインスカヤ・プラウダ」紙へのインタヴューで、ドネツィク(ドネツク)とルハーンシク(ルガンスク)の両「人民共和国」の民兵のもとには地対空ミサイルシステム「ブーク」やS-300はないとし、こう述べている。「旅客機が撃墜された後、軍は、テロリストらのもとにはミサイルシステム「ブーク」やS-300はなく、この兵器の奪取はなかった、と大統領に報告した」

 一方、「ドネツィク人民共和国」当局は、マレーシア航空機の墜落には関与していない、とし、同「共和国」のセルゲイ・カヴタラーゼ首相報道官は、「民兵側には、高度1万メートルの航空機を撃墜できるような兵器はなく、私たちが保有しているのは、最大でも高度3~4千メートルのものしか撃墜できない携帯式地対空ミサイルシステムである」と声明し、旅客機墜落の責任はウクライナ軍にある、と主張した。

 

墜落をテロと呼ぶウクライナのポロシェンコ大統領 

 ウクライナのスヴャトスラフ・ツェゴルコ大統領報道官は、自身のツィッターのブログに「撃墜された飛行機についてポロシェンコ:これは変事でも事故でもなくテロ行為である」と記した。

 ウクライナ大統領府は、旅客機はロシア領内から撃ち落とされた可能性があるとし、「国軍は、墜落現場の付近で空中の目標を撃墜する行動はいっさい行っていなかった」と声明した。 

 

ロシア側の説 

マレーシア航空ボーイング777型機墜落事故の概要

アムステルダムからクアラルンプールへ向かっていたマレーシア航空のボーイング777型機は、木曜日、ウクライナのドネツィク(ドネツク)州で墜落した。同機には、乗客283人と乗員15人が乗っていたが、航空会社の資料によれば、乗客のうち、154人はオランダ人、27人はオーストラリア人、23人はマレーシア人、11人はインドネシア人、6人はイギリス人、4人はドイツ人、4人はベルギー人、3人はフィリピン人、1人はカナダ人で、今のところ、41人の国籍は判明しておらず、あるデータによれば、23人はアメリカ人である。なお、15人の乗員は、全員マレーシア人だった。

 ロシア国防省の声明によれば、ドネツィクの南方30キロの居住地ストィラ付近に配置された地対空ミサイルシステム「ブークM1」の砲兵中隊の監視レーダー9s18「クーポル」の作動が、7月17日、ロシアの電波工学手段によって確認された。

 同省は、ミサイルシステム「ブークM1」の技術的特性が空中の目標に関する一砲兵大隊の砲兵中隊間の情報交換を可能とする点を指摘したうえで、居住地のアヴデエフカ(ドネツィクの北方8キロ)あるいはグルズスコ・ザリャンスコエ(ドネツィクの東方25キロ)に配置されたあらゆる砲兵中隊からミサイルが発射された可能性のある点を強調した。

ロシア軍の大佐で軍事専門家のヴィクトル・リトフキン氏はこう語る。

 「ロシア軍には、メディアがその発射に言及してその写真をさかんに公開している地対空ミサイルシステム「ブークM1」はなく、ロシア軍に配備されているのは、軍事にきわめて暗い人でも「ブークM1」とは見分けがつく地対空ミサイルシステム「ブークM2」であり、「ブークM1」は、ウクライナ軍に配備されている」

 同氏は、ロシア・ウクライナ国境にはミサイルシステム「ブークM2」が存在しうるものの、旅客機はロシアからかなり隔たった場所で撃墜されており、その地対空ミサイルシステムの射程は最高でも3万メートルである、という点を強調し、こう述べた。「ボーイング777は、ロシアの国境から50キロの地点に墜落したが、空中でばらばらになったわけではなく、墜落するまでさらに100キロ近く滑空している。それが空中で粉々になったのではなく地上に墜落して大破したという目撃者たちの証言が、これを裏づけている」

 

空中衝突 

 ロシアのネット新聞ドゥニー・ルは、ルハーンシク(ルガンスク)人民共和国の報道係の話として、ボーイング777型機は、ウクライナのスホーイ25型機と空中で衝突した可能性があるとし、こう記している。「ボーイング777旅客機の飛行を目撃していた人たちは、同機に対してウクライナ空軍機が攻撃する様子を目にした。その後、旅客機は、空中で二つに割れ、ドネツィク人民共和国の領内で墜落した。現在、撃墜された旅客機の捜索が行われている」

 キエフのボリスポリ空港で航空管制官として働いているスペイン人と名乗る男性は、自身のツィッターに、旅客機墜落の数分前に同機に接近する二機のウクライナ空軍機が確認された、と書き込んで、こう記している。「軍用機は、777がレーターから消えるまでの三分間、同機の傍らを飛行していた、たったの三分。ボーイングがレーダーから消えると、ウクライナ当局は、それは撃墜された、と私たちに伝えたが、かれらは、どうやってそんなに速くこれを知りえたのか?」。

 その後、このツィッターのユーザーのアカウントは削除されており、そのユーザーが実際にスペイン語系の航空管制官であるのか、それがデタラメであるのか、確かめようもない。

 

「不幸なケース」 

 欧州航空航法安全機構(ユーロコントロール)は、ウクライナ東部でのマレーシアのボーイング777旅客機の墜落事故を「不幸なケース」とみなしている。これについては、同機構の代表が、ドイツのメディアWelt-Onlineに語った。